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〔週刊 本の発見〕もう一つの国境政策の可能性〜『国境政策のパラドクス』
21世紀は、国際移民の時代だと言われる。たしかに世界を見渡すと、国際移動はいたるところで簡素化され、先進国のパスポートを持っていれば、世界の大半の国々に自由に渡航することができる。ただ問題は、このように移動の自由を保障されているのが、世界の一部の人々に限られていることだ。「地球人口の三分の一が世界中をすばやく自由に行き来する手段を持っているのに対して、残りの三分の二には自由に移動する権利が認められていない。このようなパラドクスを体現するのが、海や砂漠を横断して放浪を続ける非正規移民の姿である」(49頁)。国境政策をめぐる日仏の共同研究の成果として2014年に刊行された本書は、ヨーロッパと日本の国境政策の矛盾を明らかにすることで、もう一つの国境政策の可能性を探る。以下では、ヨーロッパの国境政策の現状を論じた5つの章に即して、本書の問題提起を確認していく。(菊池恵介) 続き

どさくさ紛れの閣議決定許さない!〜「自衛隊を中東に送るな」緊急行動に300人
12月27日午前8時、首相官邸前で「自衛隊を中東に送ろうとする閣議決定に反対!」の緊急行動が開かれた。呼びかけは「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。朝の早い緊急行動にも関わらず首相官邸前には、300人が結集した。安部首相は、調査研究の名を借り「戦争の火種」を作ろうとしている。早速、コールが響く。「戦争反対」「自衛隊を中東に送るな」「閣議決定絶対反対」の声が首相官邸を突き刺す。はじめに、高田健共同代表が安倍首相を糾弾した。「自衛隊の脱法行為を許さない。そもそも中東の火種を作ったのはトランプ。安部首相はトランプに意見を言わないといけない」。国会議員から挨拶が続く。山岸一生(立憲)「安倍政権は情報を出さない。桜も中東派兵も同様だ」、福島瑞穂(社民)「仕事納めのどさくさに紛れの閣議決定は許さない。調査研究なんて嘘だ」、井上哲士(共産)「7年目の安倍長期政権が中東派兵。武力行使を進める。自衛隊員の命まで奪おうとする。絶対反対しよう」。(宮川敏一) 続き *写真提供=ムキンポさん

佐野サービスエリアの「雇用と職場環境」守ろう!〜「支援する会」が結成される
12月23日(月)18時30分、佐野市勤労会館で、「佐野サービスエリアの労働者を支援する会結成大会」が開かれた。当事者を代表して加藤正樹委員長(ケイセイ・フーズ労組/写真)から挨拶があった。「労働組合に素人な自分がここまできたのは、あまりにも職場の労働環境が悪すぎる。人もいない、設備も悪い等々。これは何とかしないとの思いから始まった」「一つひとつ改善提案するも、なかなか進まない。会社が妨害してくる等々で解雇。8月ストライキになった。一度は戻ったが、経営者は変わっても同様な攻撃は続いた」とこれまでの思いを語り、「3月末の契約更新がNEXCOとできなければ、会社はなくなり組合員は途方に暮れる。今後はNEXCOへの働きかけと世間に訴えるストライキで譲歩を迫りたい」と理解と支援を訴えた。参加した組合員一人ひとりからも一言の挨拶があった。会場では、「支援する会」の入会が進められ、支援する声が続いた。(宮川敏一) 報告

ケン・ローチの『家族を想うとき』はすごい〜木下昌明の映画の部屋
ケン・ローチの『家族を想うとき』はすごい。しかし、働くものにとってはやりきれなさが残るかもしれない。では、見なければいいかというと、いや、だからこそ見てほしいといいたい。舞台はイギリスの地方都市。そこで賃貸ぐらしをしている4人家族の物語である。主人公のリッキーは40代で、いままで建築の仕事に携わってきたが、マイホームを持とうと一念発起して宅配ドライバーとなるところからはじまる。ここではグローバル経済によって労働のあり方が大きく変わったことが問われている。それは、リッキーが現場を取り仕切るマロニーという男と面接しているトップシーンによく表れている。マロニーは背が高くがつしりした体駆で、おにぎりのような頭をしている。この俳優は現役の警官だそうだが、ぴったりの感じだ。そのかれが「うちはオーナー制で雇用関係はなく、タイムカードもなく、収入は給料でなく運送料である。勝つも負けるも自分次第だ」と言う。(木下昌明) 続き映画公式サイト

感動と笑いと怒りと〜レイバーフェスタ2019に200人が集う
12月21日(土)のレイバーフェスタ2019は、午前の川柳発表、映画『東京干潟』上映と村上浩康監督トークから、午後の音楽・寸劇・短編映像・3分ビデオまで、感動と笑いと怒りの表現に満ちた充実した内容になった。参加者は200人で遠くは札幌からの参加者もいた。「世界の闘いの歌」で初めて出演したアリソン・オバオンさんの歌声は聴衆を魅了した。3曲の歌は労働・平和・祖国フィリピンを歌ったものだった。非正規労働者自身による寸劇「メトロコマース版・女三人吉三」は、爆笑と差別への怒りを引き起こした。ニッポンの今《映像+トーク》『関西生コン弾圧事件』では、上映後、小谷野毅さんが現在進行する凄まじい組合弾圧の実態を語った。『がんを育てた男・その後』で登壇したのは木下昌明さんと山口正紀さん。がんにどう向き合いどう生きていったらいいのか。医者まかせにせず「ものいう患者」になることの大切さを訴えていた。恒例の3分ビデオは17本一挙上映で、フェスタの盛り上がりも最高潮に達した。最後に上映された3分ビデオ『帰れる場所』は高い評価を受けたが、2020年に一部避難解除になる双葉町の行く末を問うものだった。(M)フェスタ報告感想(堀切さとみ)感想(柴田武男)

嘘を重ねる安倍首相を絶対に逃さない!〜12.19議員会館前行動に2200人
自衛隊の中東派兵反対!「桜を見る会」うやむやにさせない!権力私物化反対!安倍内閣退陣「19日行動」は、12月19日18:30、衆院議員第2会館前で開かれた。毎月続く「19日国会行動」は、「嘘を重ねる安倍首相を絶対に逃さない」の思いを共有して行動開始した。いつものように菱山南帆子さん(写真)のコール「戦争反対!桜を見る会徹底追及!」で始まった。共同代表の小田川義和さんは「節目の集会として今年最後の19日国会行動を盛り上げて行きたい」主催者挨拶をした。国会議員からは福島瑞穂議員(社民)「危ない所に行く中東派兵を調査研究と言う。嘘つくな!」、日吉雄太議員(立憲)「法務委員会に所属しているが、河井法務大臣に質問した翌日に辞任。説明もしないそんな安倍政権を打倒しましょう」、柚木道義議員(無所属)「今日も桜見る会ヒアリングに出てきた。安倍総理後援会を税金で招待はとんでもないこと、許さない!」、宮本徹議員(共産)「核合意を離脱したトランプ! 危機を煽るのは米国。中東派兵より米国を抑えるのが安倍政権の役割だ」とアピールがあった。(宮川敏一) 続き渡部通信

「景色が違う。生きててよかった」〜12.18 伊藤詩織さん裁判報告会
12月18日午後7時半、東京新宿の柏木教会の礼拝堂に入ってきた伊藤詩織さんに、大きな拍手が贈られました。「2017年に損害賠償を求めて提訴し、今日まで闘い抜いてきました。伊藤さんは自分一人の問題ではない、性暴力にあった被害者が声を上げられる社会をつくりたいと、そんな思いで歩んでこられました」という司会者のあいさつで始まった裁判報告会。伊藤さんはこの2年間を振り返り「#Me Too」運動で性暴力の被害者たちの声が聞こえ始めたことなど、「今日のこの景色は以前と違う」と話しました。そして、多くの人たちが集まって問題に目を向け、サバイバーの声に耳をかたむけ、このようなことが起こらなくするために考えてくれていると話し、「この2年間、死ななくてよかった。生きててよかった」と涙で声を詰まらせました。会場からはあたたかな拍手が沸き起こりました。(尾澤邦子) 報告

皆倉さん!いい映画を遺してくれてありがとう〜『フツーの仕事がしたい』追悼上映会
ドキュメンタリー映画『フツーの仕事がしたい』の主人公である皆倉信和さんは、10月19日セメント出荷基地内で仕事中に心筋梗塞で倒れ、49歳で亡くなった。かれを追悼する同作品の上映会が、12月18日、全日建連帯労組の主催で連合会館で開かれた。約50人が映画を鑑賞し皆倉さんを偲んだ。月552時間にも及ぶ労働時間、低賃金に限界を感じて労働組合に加入したセメント輸送運転手の皆倉さん。映し出されるスクリーンで「ハッキリ言ってどん底でした。 労働組合と出会うまでは」と語っている。そして仲間とつかんだ勝利解決で「有休や社会保険がある安心した仕事」を獲得することができた。上映後、竹信三恵子・東海林智・木下昌明の3氏からスピーチがあった。木下さんは「ボロボロの状況の中で、皆倉さんは一人でも会社とわたりあい意志を貫いたことが立派だった。これがこの映画の命だ。皆倉さん!いい映画を遺してくれてありがとう」と語った。(M) 報告動画(8分半)

「君が代不起立」のたたかいは終わらない〜根津公子さん「高裁結審日」に語る
河原井・根津「君が代」裁判で最後の2009年事件が、12月18日東京高裁で結審を迎えた。判決は来年(2020年)3月25日の予定だ。13年にわたる闘いが実質、幕を下ろすことになる。結審の当日、原告の一人、根津公子さん(69歳/写真)に話を聞いた。冒頭、裁判の感想を尋ねると「裁判はおわっても一生、日の丸・君が代問題とは縁を切らないつもり。裁判はその一過程だった」という答えが返ってきた。根津さんは、合計5件の判決をもらっている。勝敗は1勝4敗。けして良い成績ではないが、「1勝した2007年事件の須藤判決がわたしを救ってくれた。他の4敗の方が間違っていると思うことができた」と語る。停職6か月の処分を、3回もされながら不起立を続けた思いは何だったのか。「最初は子どもたちに嘘はつけないと思った。退職が迫ってくると、なぜ不起立なのかを若い教員たちに理解してもらいたかった。そのために行動を続けた」と。(佐々木有美) 続き動画(8分)渡部通信

〔週刊 本の発見〕読むは三文の得〜『崖っぷちの時代と川柳』
まずタイトルに引きつけられる。「危機の時代」はありふれていて工夫がない。「激動の時代」はどこかよそよそしい。「崖っぷち」には切迫感があり、他人事でない。さすが川柳子の本と思う。〈レイバーネット日本川柳班〉の本は『がつんと一句!―ワーキングプア川柳』(2010年)を皮切りに、『原発川柳句集―五七五に込めた時代の記録』(2013年)そして昨年暮れの『反戦川柳句集―「戦争したくない」を贈ります』とつづいて、これは4冊目の本になる。が、本といってもパンフレット様で、そこに気軽に手にとり、とにかく役立ててほしいとの狙いが感じられる。内容は、今年5月に開かれた〈『反戦川柳句集』出版記念シンポジウム〉の記録がおもで、高鶴礼子、宇部功、寺内徹乗、楜沢健の四氏は、いずれも川柳の今をとらえ、課題を提起している。それぞれの言葉に共通するのは〈川柳班〉へのつよい期待である。(志真秀弘) 続き *写真=本を手にする乱鬼龍氏(12/11レイバーネットTV)

『誰がために憲法はある』が都内の中・高で自主上映された
12月14日、井上淳一監督作品で渡辺美佐子さん主演の映画『誰がために憲法はある』(写真)の上映とトークが、都内の武蔵中学・高校であった。この映画は、前半は松元ヒロの『憲法くん』を渡辺美佐子さんが朗読。その後、渡辺さんたちの演劇活動、原爆の朗読劇『夏の雲は忘れない』が今年で終演するので、それを中心に据えて、参加女優へのインタビューや上演会での朗読場面を映していく。加えて、この朗読劇を創る動機となった渡辺さんの小学生時代の同級生にまつわる物語で構成されているちょっと“不思議”な映画だ。『夏の雲は忘れない』は、2007年秋の地人会の解散に伴って終演した『この子たちの夏』を新たに引き継ぐものとして2008年に渡辺美佐子ほか、女優たち18人ではじめた。憲法の映画を作ろうと模索しているときに、手に入れた自民党の改憲草案。これをパロディー化しようとしたが躊躇があり、結局今のような形になっていったという。(笠原眞弓) 続き

非正規の思いつづる「メトロコマース版・女三人吉三」公演〜レイバーフェスタ2019
「きょうの仕事はつらかった。あとは焼酎をあおるだけ」こんなセリフで始まる寸劇「メトロコマース版・女三人吉三(おんなさんにんきちさ)/写真」の続編が、12月21日のレイバーフェスタで初披露される。歌舞伎スタイルで登場する4人の役者は、すべて東京メトロ売店員のメトロレディーたち。4人は非正規の「契約社員B」として10年以上働いてきたものの、同じ仕事をする正社員との格差はひどかった。賃金・賞与は約半分で、退職金はゼロだった。こんなセリフも出てくる。「なさけねぇのは雇い止め。退職金はビタ一文でやしねぇ。花束くれろとは言わねぇが、せめてご苦労さまでしたと言ってもバチはあたるめぇ」そして物語は、組合づくりから非正規差別是正を求める裁判闘争へと展開する。東京高裁では一部是正があったのものの抜本的是正とはほど遠い現実で、この「東部労組メトロコマース支部のたたかい」はいま最高裁に上がっている。15分の寸劇「女三人吉三」には非正規の思いがつまっている。ぜひご覧ください。(フェスタ事務局) ニュースNO.3フェスタ詳細メール予約

真夏のオリ・パラ観戦は即刻やめるべき〜「死の行軍」に教育現場は困惑
東京都教育委員会は2018年10月5日、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」について、都内の子どもたちが直接観戦する機会を提供すると発表しました。参加対象は、希望する都内すべての公立・私立学校。チケット費用は東京都が負担し学校単位で観戦する、といいます。しかしいま「観戦辞退」が相次いでいます。この問題で根津公子さんが、八王子市の小学校の「観戦に係る最終意向調査票」を情報公開で入手しました。その中で現場の困惑が浮き彫りにされています。たとえば、「第四小:最近の地球温暖化で熱中症が心配である。子供たちの安全を第1に考えたい。熱中症、昼食時の食中毒等の事故も想定される。また、八王子は有明までの距離も長く、安全に引率できるか不安も大きい」などです。オリ・パラ教育の「集大成」の観は、真夏のさ中子どもたちに「死の行軍」とでも言えるものを強制しているようなものです。真夏の学校単位のオリ・パラ観戦は即刻やめるべきです。(渡部通信より) 全文 *写真=「東京2020大会、子どもに競技観戦の機会提供」を呼びかける都教委のHP

『家族を想うとき』全国的な大ヒットスタート〜83歳の名匠の怒りが日本の観客を突き刺す
ケン・ローチ監督最新作『家族を想うとき』を 12/13(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開中だが、大ヒットのきざしだ。ヒューマントラストシネマ有楽町では、週末に、計12回の上映のうち6回が満席。新宿武蔵野館でも同様に計10回のうち4回が満席となったほか、横浜ジャック&ベティ、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座など多くの劇場で、100人を超える入場者となる回が続出するなど、東京に偏らない全国的なヒットでスタートした。土日2日間では動員5,566人、興収7,551,650円を記録。上映後の満足度も非常に高く、Filmarksの「初日満足度ランキング」で本作が堂々の1位にランクイン。 Twitterの感想では「コンビニのフランチャイズオーナー問題だったり、配達員の労働問題だったり、働き方、稼ぎ方が多様化している日本でも絶対に観られるべき一本。的確な演出と、貧困層を描くケン・ローチの胆力がすごい」などの熱い感想が続出している。 続き感想(浅井健治)

フェイクとデマの手口を暴露する!〜レイバーネットTVで加藤直樹さん
ことし最後になった12月11日のレイバーネットTVは、本を通して2019年を振り返った。視聴者アンケートで寄せられた「今年の一押し本」にはさまざまなジャンルの注目本が集まり、それぞれの推薦コメントからも時代が見えてきた。特集のメインゲストは『TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことしたい人たち』著者の加藤直樹さん。「関東大震災の朝鮮人虐殺はなかった」と主張する右派の本がどういう手口でフェイクとデマをつくっているのかを、名探偵のように解読していく。「なかった」派の本は、「井戸に毒を入れた」とか「武装して警官と闘っている」などの当時の新聞記事を根拠にしているが、その記事自体がウワサ・伝聞情報に過ぎなかったことを加藤さんは、公的資料を駆使して明らかにする。数々のトリックを使って事実をねじ曲げるかれらは「歴史修正主義」どころか「歴史改ざん主義」であると、加藤さんは断言した。目からうろこの内容で、ギャラリー観客も耳をそばだてて聞いていた。(レイバーネットTVプロジェクト) 報告(笠原眞弓)アーカイブ録画(92分) *写真=熱弁する加藤直樹さん(中央)

「日韓友好関係は市民の力で」〜38度線に近い江原道春川市でフォーラム開催
両国政府の関係が最悪と言われる中で「日韓友好関係は市民の力で進めていこう」と12月5日〜7日、氷点下12℃と凍てつく江原道の道庁所在地春川市の翰林(ハリム)大学校で、「北東アジア平和共存のための日韓平和フォーラム」が開催された。日本からは私たち「日韓市民交流を進める希望連帯」の52名など140人が参加し、6日のフォーラム及び7日のDMZ(非武装中立地帯)訪問を主に実施した。主催は医学看護領域では有数の私立校、翰林聖心大学校東アジア平和研究所、翰林大学校日本学研究所で、江原道庁や春川支庁など多くの官民機関が後援し、地域をあげての一大イベントになった。フォーラムの基調講演には、韓国から1920年生まれの哲学者金亨錫延世大学名誉教授、日本から秋葉忠利元広島市長が登壇、シンポジウムには、李洙勳(前駐日使)、金顯哲教授(前大統領府経済補佐官)、小森陽一(東大名誉教授、九条の会事務局長)、糸数慶子(前参議院議員)が出席するなど、市民世論に大きな影響力を持つ発言者が揃った。(白石孝) 続き

〔週刊 本の発見〕非正規労働の若者の虚しさと生きにくさ〜『歌集 滑走路』
この歌集のテーマは、非正規労働を生きる若者の、生活の虚しさであり、生きにくさである。出口のないトンネルを進むような日々の中に、希望を見出し、創り、二度とない人生を、つましい暮らしの中で生き抜いた。日頃見慣れたどんなに味気ない風景も、言葉にすればささやかな彩りが加わる。受け入れがたい理不尽な状況も、言葉にすれば救われたようになる。言葉が持つ昇華する力を、これほどまでに味わえる作品に出会えたのは初めてだ。達成感も充実感もなく、自己の尊厳などはなから存在しないワークングプアの仕事漬けの日々が、短歌という究極の、凝縮された言語の形式で表現される。彼の短歌を読む私は、彼の生活の空気感までも疑似体験できるようだ。わずか31文字の表現で、どこにでも見かける非正規労働者の若者の光景が目に浮かぶ。いや、光景だけではない。日々の仕事による心と身体の疲れが、決して癒やされることなく重石のようにのしかかる、その気だるさも、何気なく自分に放たれた心無い言葉に言い返せなかっただろう悔しさも、確かに伝わってくる。(渡辺照子) 続き

「新藤兼人賞」を受賞した映画『東京干潟』の魅力〜レイバーフェスタで上映
『東京干潟』という、一見地味なタイトルに「スルーしようかなぁ〜」と弱気になっているあなたへ、映画『東京干潟』の魅力をお伝えします。この夏、ポレポレ東中野でロングラン上映し話題となった『東京干潟』。監督の村上浩康さんは、本作『東京干潟』と『蟹の惑星』の2作を評価され、2019年度「新藤兼人賞」金賞に選ばれました。金賞にドキュメンタリー映画の監督が選ばれるのは「新藤兼人賞」が設立されてから初快挙です。その他、門真国際映画祭ドキュメンタリー部門で最優秀作品賞を受賞。山形国際ドキュメンタリー映画祭日本プログラムでの上映も行われました。今年公開された映画の中で、必見の一本ですが「見逃した」人も少なくないはず。すでに東京と横浜の劇場では、アンコール上映が決定しています。一足早く、レイバーフェスタでご覧ください。舞台は、東京・多摩川。羽田空港をのぞむ河口。この場所に小屋を建て、シジミを獲りながら生活をする「ホームレス」のおじいさんが主人公。彼は持続可能な生態系をまもるため、大きなシジミしか獲りません。(土屋トカチ) フェスタニュースNO.212/21フェスタ詳細

「官製ヘイト・歴史改ざん」を徹底批判〜前川喜平さん講演会
12月10日午後6時半、東京・水道橋の「スペースたんぽぽ」はあふれんばかりの人でいっぱいでした。元文部科学事務次官の前川喜平さんの講演会。「これは官製ヘイトだ」「高校・幼稚園『無償化制度』から朝鮮学校排除」について語るというので私も参加。前々日に予約を入れましたが「77番」とのこと。部屋に入り切れるのだろうかと不安になり、ちょっと早めに会場に行って一番前の席を確保。前川さんは「教育を受ける権利というのは人権です。人権とは、人が人として持っている権利で、国籍は関係ありません。人はひとしく教育を受ける権利を持っています。しかし、同じ教育を受けさせることが平等とは言えません。ひとりひとり違う能力を持っているのですから、その人に応じた教育を保障することが大事です。在日コリアンにはその望む教育を保障すべきです。それが教育の機会均等です。政府は率先して人権教育をおこなうべきなのです」と話していました。(尾澤邦子) 続き

レイバーネットTV(12/11)放送 : 特集「本で振りかえる2019年〜フェイク言論をあばく」
ことし最後のレイバーネットTVは、11日に放送します。この番組のために募集した「あなたの一押し本」アンケートには18人が答えてくれました。番組で紹介します。特集は「本で振りかえる2019年〜フェイク言論をあばく」で、ゲストは『TRICK トリック』の筆者・ノンフィクション作家の加藤直樹さんです。加藤さんはその本で、「関東大震災の朝鮮人虐殺はなかった」説の虚偽の手口を徹底的に暴いています。いま安倍政権のもとで闊歩する歴史修正主義とのたたかいはとても重要になっています。「この人に聞く」のコーナーでは、れいわ新選組の渡辺てる子さんが登場します。派遣・シングル マザー・ホームレスの体験をぶつけて政治の世界に飛び込んだ渡辺さん。これから「れいわ」はどう動いていくのか? いま何が問われているのか? など、じっくり話を伺います。アーカイブを御活用ください。(レイバーネットTVプロジェクト) 番宣

アフガニスタン、中村哲、マフマルバフ、前皇后美智子〜太田昌国のコラム
中村哲の言動からは、そのときどきで深い示唆を受けてきた。私がもっとも印象的に思ったのは、2001年タリバーンが「偶像崇拝は認めない」として、仏像を破壊する布告を出し、実際にバーミヤンの仏像を破壊した直後の中村氏の発言である。800メートルの距離をもって左右に並ぶ二つの大石仏は、一方は高さ55メートル、他方は38メートルの大きさ。その印象的姿は、写真や絵画を通して、世界中の人びとによく知られていた。したがって、タリバーンが実際にこれを爆破し破壊したとき、「歴史への無理解」や「文化遺産の破壊」を非難する声が世界各地で沸き起こった。そのとき、中村は書いた。「我々は(タリバーン)非難の合唱に加わらない。餓死者100万人という中で、今議論する暇はない。人類の文化、文明とは何か。考える機会を与えてくれた神に感謝する。真の『人類共通の文化遺産』とは、平和・相互扶助の精神である。それは我々の心の中に築かれるべきものだ」(太田昌国) 続き

「何もかもが腐りきり日本が死んでいく」〜国会閉会「逃げ切り」に抗議する市民たち
「桜を見る会」の疑惑に答えることなく、国会閉幕で「逃げ切り」をはかった安倍政権。その閉会日(12/9)に官前に集まった怒りの市民たち約30人がいた。いつも手作りのプラカードで新宿西口でスタンディングをつづけている大木晴子さん。この日は「安倍政権がシュレッダーに掛けたのは民主主義なのです」の言葉を掲げていた。「私も71歳。こんなひどい安倍さんの世の中を若い人に残すわけにはいかない。そのために何ができるかをいつも考えている。でも電車や街頭で周りを見ていると、無関心で目が生きていない人ばかりで同じ顔に見える。どうか無関心にならないで下さい。無関心は平和の敵です」と危機感をらわにしていた。ある男性はマイクでぶちまけた。「何もかもが腐りきっている! 書類は捨てられる。隠蔽、ねつ造、廃棄、何でもあり。他の国だったら捕まっている。自由も民主主義も愛も希望もつぶされる、それは日本が死んでいくということではないですか!」と。(M) 続き動画(5分48秒)朝日デジタル

「解決なしに年は越せない!」〜JAL不当解雇9年、JAL本社包囲大集会に650人
12月9日18:30、東京・天王洲にあるJAL本社を包囲する大集会が132本の旗の下、650人の結集で開かれた。不当解雇から9年「職場に戻せと訴え続けてきた」思いを当事者、当該組合、支援者がJAL本社にぶっつけた! パイロット・山口宏弥団長は、「解雇はみせしめだ。アルコール問題もみせしめだ」と会社の姿勢を批判した。客室乗務員・内田妙子団長も「解決なしに年は越せない。原告の苦しさを知ってほしい」と訴えた。熱気に包まれた本社前は、当事者、当該組合、支援者が一体となって「早期解決」「職場に戻せ」のコールをJAL本社に訴えた!(宮川敏一) 報告

関西生コン : 釈放された西山直洋さん、違法な取り調べや逮捕のねらいを語る
12月5日昼、西山直洋さん(関生支部執行委員/写真)に大阪地裁の食堂でインタビューした。西山さんは11月14日、和歌山広域協組事件で不当逮捕されたが、12月4日朝、処分保留で21日ぶりに釈放された。3回目の逮捕だったが闘志満々。疲れた様子も見せず、違法な取り調べの様子や逮捕のねらいについて語ってくれた。●主な一問一答――取り調べはどんな様子? 西山「黙秘しますと告げ、名前も言わなかった。“西山”と勝手に書いた調書を作ろうとしたから、抗議してやめさせた。こちらも話さないから、ほとんど取り調べはなかった。おもしろかったのは、警察とのこんなやりとり。警察=今回は完全に公判維持できる。私=無理やで。労働組合活動については刑事免責となっているのを知らんのか? 警察=自分らのは組合活動じゃない。あきらかな脅迫だ。私=暴力団を使ったことに抗議したらいかんのか?警察=自分ら、刑事免責とかいうが、労働組合法にはそんなこと書いてない。自分ら、暴力せえへんかったらなんでもいけると思うてるやろ」(ニュースより) ニュース17号

慰安婦問題めぐり「保守系論客」と大バトル〜映画『主戦場』上映会
12月8日「憲法を考える映画の会」主催の『主戦場』上映会に参加した。会場の東京・文京区民センターは満席で、200人は軽く超えていた。そこになんと映画に「保守系論客」として出演しているケント・ギルバート氏と藤岡信勝氏がやってきた。その支援者も10名以上はいて、いったいどうなることかと不安な気持ちになった。じつは保守系のSNSに以下のような<詐欺映画「主戦場」を観るツアー>の呼びかけがなされていたのだ。「ジョン・レノンの命日である12月8日、都内で詐欺映画『主戦場』上映会があります。場所はつくる会のおひざ元で、保守系イベントの聖地・文京区民センターという、実にアグレッシブな上映会。つきましては、『主戦場』被害者の皆さんと同映画を観るツアーを企画しています」。上映妨害があるのでないかと主催者もピリピリしていたが、なにごともなく約2時間の上映中はみんな静かに鑑賞していた。10分の休憩をはさんで約1時間の感想会がもたれた。(松原明) 続き

豪雨の中でもやりぬく〜辺野古新基地への土砂搬出を止めるために
12月6日、豪雨の中、沖縄県名護市安和(あわ)の琉球セメント桟橋では、辺野古新基地への土砂搬出を阻止するための市民による行動が早朝から取り組まれた。辺野古新基地へは本部町塩川の採石場から土砂が一旦ここに運ばれ、海路で辺野古に運び込まれる。土砂搬出阻止行動はこの1年間連日行われてきた。行動1周年の12月3日にはこの場所を中心に海と陸から「安和海上大行動浜大集会」がもたれた。6日の行動に那覇市から参加した大城さんは、「安倍首相が倒れても、次がいます。闘いを続けるしかありません」と語った。大城さんは、毎週この行動に参加している。(湯本雅典) 報告動画(2分44秒)

フランス : マクロンの年金改革に反対して大規模ストライキとデモ
12月5日、フランス全国でマクロン政権の年金改革に反対して、大規模なゼネストとデモが行われた。150万人(内務省発表は80万人)の動員は、1995年の大スト・デモや2006年のCPE反対の大運動に匹敵する歴史的な日となった。労働法を改悪し、フランスの社会福祉制度を次々に破壊するマクロン政権に対し、労働組合と様々な世代の大勢の市民(黄色いベストも)が結集。パリでは、暴力を挑発しデモ隊を分割しようとする治安部隊を消防団員たちが後退させるシーンもあり、催涙弾やゴム弾が今回も使われたが、コース以外の道も使って東駅からナシオン広場まで人々は元気に歩いた(寒い日だったが)。マクロンの年金改革(従来の賦課方式から積立部分を増大するポイント制へ)に示される思想は、自分だけよければいいという我欲(と自己負担)だ。これに対して、従来の世代間扶養、社会による高齢者や弱者への援助を貫く哲学は「みんな一緒に」の相互扶助。気候変動による危機に面して、相互扶助の社会にならなければ人類は滅びる。(パリ、飛幡祐規) 続き

「国労つぶし総評つぶし社会党をつぶした」〜中曽根元首相の本当の「功績」
中曽根元首相が11月29日、101歳で亡くなった。メディアはかれの「功績」を称えている。しかしかれが何をやっのか? その証拠映像がNHKテレビに残っている。2005年11月20日、中曽根氏はNHKテレビインタビュー(写真)でこう語っている。「国労は総評の中心だから、いずれこれを崩壊させなくてはならない。それで総理大臣になったときに国鉄の民有化を真剣にやった。みなさんのおかげで出来た。民有化に一番反対していた国労は崩壊した。そしたら総評が崩壊し、社会党が崩壊した。それは一念でやった」と。当時の左派労働運動(総評)をつぶし、社会党をつぶすことまで意図していたとあけすけに語っている。総理大臣が労組法が禁じる「不当労働行為」という犯罪を堂々とやったのだ。「国家的不当労働行為」といわれた分割・民営化で1047人の国鉄労働者が解雇された。それから23年のたたかいを経て争議は「和解」に終わったが、その人たちの中曽根に対する怒りは沈殿している。分割・民営化は労働者だけでなく、同時に地方を切り捨てるものだった。(M) 続き

〔週刊 本の発見〕人を殺すことの異常性が薄れて行く〜『増補 普通の人びと』
近年では、「ダイバーシティ(多様性)」なる概念が重視され、言わばそれと対立する「普通」とはそもそも何なのか、むしろ人間には、「普通」という定理めいた基準自が無いのではないか、という趣旨の捉え方が広まりつつあるように思う(それは、より以前から存在した――健常者と障害者との等化に代表される――「ノーマライゼーション」という考え方の発展形のようにも見える)。しかしながら、大西自らを振り返っても、日常何かにつけて、「フツーじゃないな」とか「フツー××するだろう」とかの表現は、未だについつい口を衝《つ》いてしまいがちである。当然ながら人の多様性は尊重されるべきにせよ、その上で、「一般」「大抵」「通常」「原則」――あるいは一層曖昧で、しかし便利に使われる「みんな」――のように、集団における一定多数派を措定した把握を完全に捨て去ることは困難であるように思う。『普通の人びと』という極めて平凡な題名である本書(原題も”Ordinary Men”)は、1992年に米国で出版、1997年に日本語訳も発行されて大きな話題となった一冊である。(大西赤人) 続き

シュレッダーにかけよう!アベ政治〜官邸前に1000人の怒りの声
夜になって一段と冷え込んだ12月4日、「権力私物化やめろ、政治の腐敗に怒りを!安倍政治をおわらせよう!12・4官邸前大行動」が行なわれ、「逃げ切りを許さない」と1000人の怒りの声が官邸前に轟いた。アメリカとの自由貿易協定(FTA)、教員の「変形労働時間制」を参議院本会議で強行採決したとの報告があった。またアフガニスタンでペシャワール会・中村哲医師が銃撃により死亡したとの悲しいニュースも伝えられた。怒りと悲しみで胸が張り裂けそうだった。社民・吉田忠智参院議員、共産・宮本徹衆院議員、立憲・杉尾哲哉参院議員、沖縄の風・伊波洋一参院議員の連帯の挨拶があり、犯罪者の証拠隠滅のごとき行為を繰り返す安倍政権の逃げ切りを許さず、「野党合同追及本部」として「桜を見る会」について政府への合同ヒアリングを継続するとのことだ。(近藤徹) 写真速報全動画(UPLAN)

話題のドキュメンタリー『東京干潟』を見逃すな!〜ニュースNO.1を発行
■レイバーフェスタニュースNO.1を発行しました。フェスタ開催まであと3週間を切りました。なお、参加予定のかたはメール予約がお得です。■フェスタでは話題のドキュメンタリー映画『東京干潟』(写真)を上映する。ことしポレポレ東中野で大ヒットした『東京干潟』。監督の村上浩康さんは2019年度「新藤兼人賞」金賞に選ばれた。映画は、多摩川の河口でシジミを獲るホームレスの老人を描く。彼は捨てられた十数匹の猫と共に、干潟の小屋で10年以上暮らしている。80代半ばと思えない強靭な肉体を持つ老人は、シジミを売ったわずかな金で猫のエサと日々の糧を得ている。「かれを通して戦後の日本もみえてくる」(木下昌明)。10時35分からの上映。監督トークもあり。主人公の「シジミおじさん」がやってくるかも。お見逃しなく。■主催者挨拶はレイバーネット運営委員の渡辺てる子さん。「てるちゃん」は、ことし参院選で「れいわ新選組」から立候補し、元派遣労働者・シングルマザー・ホームレスの実体験を生で訴え、大きな共感を呼びました。12時50分からです。(フェスタニュースより) ニュース全文フェスタ詳細メール予約

米国労働運動 : GMストライキ妥結後に真相が明るみに
6週間のストライキを闘ったジェネラルモーターズ(GM)労働者たちは協約案を批准して、ストライキを終え仕事に戻った。新しい協約では労働条件の多くは現状維持だったが、一番大きな前進は2007年以降に採用されたライン労働者はそれまでより低い二層賃金が適用されており、8年掛かって一層賃金に追いついていたのが、4年に短縮されたことだった。しかし、この勝利は部分的だったことが判明した。現在二層賃金を適用されている労働者は4年間の協約期間中に一層賃金に到達するが、これから採用される労働者はこれまでどおり8年掛かるのだ。「今年からは全員が4年で一層賃金に行けると思っていた。」とデトロイトの技術センターで働くジェシー・ケリーは言う。「とても驚いている。全員が4年で行けるという印象だった。」とトラック工場で働く二層賃金労働者のショーン・クロフォードは言う。全米自動車労UAWの妥結説明文書では現在の労働者の獲得物の説明しかなく、これから採用される労働者の昇給については触れていなかった。(レイバーネット国際部 翻訳記事) 続き


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