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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記 : 子どもたちにとって学校が安全な場所ではない!?
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●根津公子の都教委傍聴記(2025年6月12日)

子どもたちにとって学校が安全な場所ではない!?

 公開議題は2件、「中学校における35人学級の実施について」と「昨年度の児童・生徒を教職員等における性暴力から守るための第三者相談窓口の実績について」。

 非公開議題は「懲戒処分等」が議案(重い処分)にも報告(軽い処分)にもあり、また、「『いじめ防止対策推進法』第30条第1項及び第28条に基づく報告について」がありました。同法28条・重大ないじめ(=いじめによって児童生徒の生命、心身、または財産に重大な被害が生じた疑いがある場合、またはいじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合)があった場合は、30条1項・「学校は教育委員会を通じて地方公共団体の長に報告する義務がある」としています。今日の案件は、新たに発生したのか、これまでに調査してきた案件なのかさえ、傍聴者には不明です。

 公開議案の提案及び発言は15分で終了しました。

1.「中学校における35人学級の実施について」

 2021年度から小学校で段階的に35人学級を実施して来て、今年度は6年生まで35人学級となった。そこで来年度からは中学校でこれを実施。来年度は1年生で、順を追って2028年度に3年生で実施する。35人学級実施は、「きめ細かな教育や働き方改革を推進する」(「東京都教育施策大綱」に記載)ためとのことでした。ここまでを聞くと、東京都独自の施策かと勘違いしそうでしたが、文科省の動きに合わせたものでした。

 現行の40人学級よりは35人学級の方がいいことは間違いありませんが、日本の学級定数はまだまだ低い。北欧諸国など、教育先進国と呼ばれる国々の学級定数は20人前後です。軍事費に回している予算を子どもたちのために使え!と言いたい。教育委員たちがなぜそう考えないのか、まったく理解できません。

2.「昨年度児童・生徒を教職員等における性暴力から守るための第三者相談窓口の実績について」

 相談は、電話・メールで受け付けるほか、「相談シート」を全公立学校の児童・生徒に配布し、郵送やオンラインでも受け付けている。受け付けた相談は、区市町村教委や学校経営支援センター(都教委の出先機関)を通じて事実確認を行い、事実が認められた場合は指導や注意喚起を行うほか、重大な非違があった場合には服務事故として対処したとのことです。

 昨年度の実績は、次の通り。
相談件数総計1033件。うち、「公立学校の教職員に関する相談」は、「教職員による性暴力等が疑われる相談」43件、「教職員の指導に関する相談」607件で計650件。1033−650=383件の相談は、「児童・生徒同士のトラブル」や「家庭のトラブル」等の相談で、「教職員」とは直接関係のない案件でした。

 「教職員による性暴力等が疑われる相談」では、「事実が認められたもの」が2件、これは懲戒処分等の対応をした。「事実が認められなかったもの」21件、「事実確認が困難であったもの」(退職等で)10件、「調査を継続しているもの」10件。

 「教職員の指導に関する相談」では、「事実が認められたもの」135件、「事実が認められなかったもの」267件、「事実確認が困難であったもの」205件ということです。

 子どもに対する教職員の性暴力や指導について、これだけの相談が寄せられたことについて、私は実際に相談に持って行った数は氷山の一角なのではと思ってしまいます。というのは、セクハラや体罰等での教職員の懲戒処分案件と数(都教委発表)を見るからです。懲戒処分に至らずとも、それに近い行為をした教職員はかなりいるのではと思うのです。

 都教委が相談内容に「教職員による性暴力等が疑われる相談」を明記するのは、都教委自身が「教職員による性暴力」が多いと見ているからかとも思います。

 ちょうど今朝の新聞報道に次の記載がありました。「2教諭を免職処分:都教育委員会は、児童にわいせつな行為をした多摩地域の小学校男性教諭(44)ら2人を懲戒処分にしたと発表した。 都教委によると、男性教諭は2023年10月に当時の勤務校内で担任する女児の陰部を触った。翌年、不同意わいせつ容疑で警視庁に逮捕された。(中略)また、コンビニで約2500円分の商品を盗んだとして町田市の小学校男性教諭(47)を懲戒免職処分とした。そのほか、停職など6件の処分も発表した。」

 ほとんどの教員が、教育に信念や情熱をもって教員になったのだと思います。わいせつや窃盗などの非違行為に走ってしまったのは、仕事に情熱をかけることのできない職場環境であることと無縁ではないと私は思うのです。自衛隊内のいじめはよく言われることですが、学校現場では、その暴力が力の弱い子どもに向かうのだと思います。

 都教委が(他県教委も)教員管理や職階制をやめて、以前のように学校のことは教職員に任せるようにすれば、教員の精神的病気も非違行為も少なくなり、子どもたちにとって学校が安心して過ごせる場になると思います。都教委及び教育委員には、ぜひ考えてほしいです。


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