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根津公子の都教委傍聴記:なぜいじめが起きるのか、都教委は考えて!
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●根津公子の都教委傍聴記(2025年10月9日)

なぜいじめが起きるのか、都教委は考えて!

 久しぶりの傍聴報告となります。この3か月間、定例会が非公開議題(懲戒処分や人事)ばかりだったり、公開議題が都立高校入学者選抜試験だけだったり(なぜか、スピーキングテストの加点問題については論議しない)で傍聴する意味がなかったからです。今日の議題は、議案が「来年度の特別支援学校高等部1年生の募集人員について」、報告が「高校生いじめ防止協議会の開催について」と「『英語でジョブチャレンジ2025』について」。事務方からの報告、それに対する教育委員からのコメントや質問を含めて25分弱の定例会でした。

■高校生いじめ防止協議会の開催について

 一昨年から始めた企画で、「いじめ防止」に関する取組の強化を図るため、希望する都立高校生が集まって協議し都教委に施策を提言するというもの。都教委が6月に募集通知を各学校に通知し、7月に決定。希望した10人の高校生が8月に都教委から委嘱状を交付され、その高校生委員が4回の打ち合わせをしたうえで、11月1日に高校生委員からの提案・意見書の提出がされるということです。これまでに高校生委員から出された取組案は、いじめ防止についてのショート動画の作成、『いじめ総合対策【子供版】』(都教委作成)を使って高校生が小中学生に授業する授業案の提示が出されているとのことです。

 この企画を悪いとは思いませんが、いじめ防止について都教委がすべき第1はこれではないと私は思います。なぜ子どもがいじめに走るのか、いじめを首謀する子どもの学校生活・家庭生活がどうなのか、また、いじめに同調・加担しないと自分がいじめられると思う子どもの心理はどうなのか、さらには、教員集団が子どもたちにどう接したらいいかを知り論議すべきと思います。

 90年代の10年間、私が働いていた中学校には、間違いなく、いじめはありませんでした。小学校時代にはいじめで不登校になりがちだった子も、「中学校は楽しい」と言い、休むことがなくなりました。それは、私たち教員集団が、子どもを管理するのではなく、生徒の自治で学校生活を送れるよう助言したからでした。生徒たちで話しあって決め実行する。こうなると、生徒の誰もが学校生活で「私のすべきこと」を見つけ、学校生活が楽しくなり、いじめに走る必要がなくなります。いじめに走るのは、自身の気持ちが満たされないからであって、いじめが悪いことは小さな子どもでも知っています。それは、子どもも大人も同じ。このところ、愛知、神奈川、東京、北海道の現職の教員が子どもを盗撮したということが報道されていますが、これらの教員も、自身の行為が悪いことは承知で、しかし、仕事をすることで心が満たされなかったのだと思います。自身の意思ではなく指示・命令で動かされることが、どういう結果をもたらすかを、指示・命令で学校を動かしている都教委は考えるべきです。

■「英語でジョブチャレンジ2025」について

 この取組は昨年度から始めたもので、英語を使う職場で高校生がその業務等を体験し、それによって、世界を視野に活躍する意識の向上、英語への学習意欲の向上を図るというもの。募集定員175人のところ、1,3倍の申し込みがあったとのことです。英国大使館(参加生徒数8人)、読売新聞東京本社(5人 以下、生徒数は省略)、野村ホールディングス、鹿島建設、日本航空、ゼブラ株式会社等23企業・団体で、高校生が1日または2日の仕事を体験。体験後、高校生はグループ毎にプレゼンテーション資料を作成し英語で発表、受入れ先の企業・団体から生徒にフィ―ドバックがなされたとのことです(8月22日)。

 参加した生徒の満足度は96%、受け入れ企業・団体のこの取組への評価は91%が「とてもよい」だったそうです。この企画も悪いとは思いませんが、都教委が言う「世界を視野に」の「世界」に近隣・アジア諸国は入っているのだろうか、日本が侵略した国々への謝罪や補償が先なのではないか、と思わざるを得ません。

 また、英語力のある高校生は、このように優遇するけれど、夜間定時制高校の存続を求める動きには耳を貸さない都教委、および教育委員の面々。なぜにこうも差別的なのかと悲しくなります。それから、この取組は、「都立高校の魅力」発信の企画なのかなとも思いました。

 教員の盗撮・犯罪行為について上述しましたが、今朝の新聞に「不同意わいせつなど男性教諭計4人失職」の見出しで、主幹教諭(52歳)、教諭(27歳)、主幹教諭(46歳)、教諭(35歳)が失職した、都教委は「服務事故が立て続けに起き、遺憾。再発防止に向け引き続き研修などを行う」としている、とありました。都教委のHPを見たら、4件の失職の他に、万引きをしての懲戒免職など懲戒処分が6件あがっていました。

 研修を重ねさせても犯罪行為がなくならないのはなぜかが、都教委にはわからないのでしょう。まずはそれを考えることです。指示・命令で動かされる仕事が心を満たさないことを、都教委は知るべきです。昇進を目指し都教委の顔色を窺って主幹になっても、仕事で心は満たされなかった。それによる犯罪なんだと。主幹などの中間管理職の犯罪・懲戒処分が多いことは、都教委も知っているはずです。


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