本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:[不法社長探して3万里](8)巡回闘争8日目
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1427728603388St...
Status: published
View


仲間たちと一緒に終わらせて堂々と笑おう

[不法社長探して3万里](8)巡回闘争8日目

オ・ジファン(現代車牙山非正規職組合員) 2015.03.30 14:12

3月25日(水)、出勤宣伝戦と記者会見のために政府庁舎がある世宗特別自治市に向かった。 雇用労働部前に到着すると、すでに警察が陣を敷いて警戒勤務に立っていた。 わずか6人の巡回闘争団を歓迎するために、本当にたくさん警察が動員された。 政府庁舎の中には保育園があり、公務員たちが子供たちを連れて出勤する姿を簡単に見ることができた。 ある解雇者が「ああ、あの子たちが大きくなったら、みんな非正規職になるなのに...」と舌を打つ。

8時に出勤宣伝戦を始め、さほど経過せず庁舎警備のおじさんがさっと話しかける。 「私たちも前は民主労組があったのに、今は完全にこわれた。 最近は民主労総であれ韓国労総であれ、労組と言うだけで大変なことになる」。 政府機関傘下の労働者たちの組合結成をこうしてひどい弾圧をしているのに、 この国で労働者の権利が保障されることを期待できようか!

非正規職問題も同じだ。 昨年10月の国政監査で新政治民主連合の韓貞愛(ハン・ジョンエ)議員によれば、 雇用労働部と傘下の政府機関で非正規職は昨年により増えたが、 無期契約職転換は不十分であることが明らかになった。 青年インターンの正規職採用もほとんどなかった。 政府の非正規職対策がでたらめだということを政府自身が立証しているのだ。 その上、朴槿恵政権になって、雇用労働部長官は「不法があればいつでも駆けつけて正す」と約束した。 だが雇用労働部が最近3年間、不法派遣と判定した労働者の数はせいぜい1万人に過ぎない。 国内10大財閥が雇用する非正規職数だけで43万人になり、300人以上事業場が雇用している非正規職は87万5千人だ。 不法派遣、人商売の本体である財閥大企業には全く手を付けない。 うわべでしかない中小零細事業場の何か所かだけを摘発して恩着せがましくしているのだ。

午前10時、民主労総忠南本部と共同で雇用労働部前で記者会見を進めた。 「雇用労働部は不法派遣是正措置に積極的に動け」、 「不法下請企業を閉鎖しろ」。 私たちの叫びがどれほど彼らに伝わったのかわからない。 次はもっと多くの隊伍とここに来ると約束し、サムスン電子サービス牙山センターへと向かった。 昼休みにもかかわらず、イ・ジェホ分会長と組合員たちが喜んで宣伝戦に参加してくれた。

巡回闘争団は昼食の後、午後2時30分に現代自動車牙山工場正門に到着した。 2月26日に大法院は牙山工場で7人が提起した勤労者地位確認訴訟で、全員を不法派遣と判決した。 敗訴者3人も、不法派遣だが、単に勤労期間が2年を経過していないために敗訴しただけだ。 最近5年間、現代車は不法派遣という大法院判決だけで三回目だ。 だが現代車使用者側の態度は不動の姿勢だ。 使用者側は牙山工場判決も「個別の判決」でしかないと、オウムのように従来の立場を繰り返した。 その上、勝訴者4人も個別的な事案だと主張して、現代車支部団体協約36条による原職復帰などに関する労使協議を拒否している。 そんなとき、使用者側は最近「雇用履行案内文」というやつを内容証明で送ってきた。 ところが雇用履行案内文の題名を新規採用公告に変えれば、あとの内容は完全に同じだ。 裁判所判決と団体協約は知らない、とにかく会社の採用手続き(書類提出、教育、身体検査、配置)に応じろということだ。 大法院の判決が出ても会社の採用手続きに従えというのは結局、 現在訴訟中の組合員に訴訟を放棄して新規採用に応募しろという無言の圧迫だ。

この日も出勤闘争を準備していると、会社の人事チームが内容証明を持って訪ねてきた。 勝訴者の私とキム・ギシク同志は「労働組合と話せ」と人事チームを追いかえした。 現代車に対する大法院判決は、単に勝訴者だけの勝利ではなく、現代車非正規職労働者たちの血がにじむ闘争の結果だ。 私一人が正規職なることが重要なのではなく、不法労働を現代車から完全に追放し、ひいては非正規職を撤廃するための小さな基礎になると決心をする。 帰途に新規採用に合格した数人の組合員が眼についた。 あれほど夢見た正規職の作業服と名札を付けたのに、彼らは頭を深く下げたまま宣伝戦の隊伍を無視して通り過ぎた。 「仲間たちと一緒に終わらせて堂々と笑おう」というチョンシクの言葉が胸に刺さる。

この日最後のスケジュールの唐津現代製鉄に到着した。 唐津工場は2013年のアルゴンガス窒息で5人の下請労働者が死んだのに続き、 これからも労働者たちが死に続ける吸血鬼のような工場だ。 死亡事故が続き、鄭夢九(チョン・モング)が労災をなくす5千億ウォンを投入すると報道された。 だがこの金は労災を予防するための安全設備を拡充するために使われるのではなく、 工場全体での監視と統制を強化しただけだ。 労災は減らず、単にさらに巧妙に隠蔽されただけだ。

午後5時半からB、C地区の正門前で退勤する正規職、非正規職を対象に、 現代製鉄非正規職支会幹部と共に宣伝物を配りピケッティングをした。 数人の非正規職労働者が「お疲れ様」と挨拶をする。 現代製鉄非正規職支会は2012年末に結成され、現在の組合員数は900人を越えた。 正規職労働者数は4千人、非正規職は2、3次を入れて1万人に迫るという。 初めに非正規職労働組合ができた時、使用者側は「すぐに崩れる」と悪扇動をしたが、 2年ほどの間粘り強く闘争を展開し、最近はっきりと組織化が拡大した。

支会のイ・ファンテ政策部長は「今年も相変らず組織拡大が課題だが、今組織した組合員、幹部の意識と力量を強化して、現場闘争を拡大するために力を注ぎたい」と今後の計画を語った。 現在も多くの業者で懸案闘争が進行中だという。 下請企業が再契約に変わるたびに退職金の算定で賞与金の一部を踏み倒すなど、名ばかり社長らのひどい態度が続いている。 現場闘争の理由も本当にさまざまだ。 昨年の夏、2次業者の装備運送社だけに酷暑期の氷菓子類が支払われず、組合員たちの抗議でこれを勝ち取ったエピソードも聞かせてくれた。 現代車非正規職も、初めから正規職化を要求したのではなかった。 業者ごとに手袋の支払いを要求するなど、多様な現場闘争がさらに大きな闘争の基礎になった。 ふと「権利の上に安住する者は保護されない」という有名な法言を思いだす。 死の工場、絶望の工場ではなく、下請労働者が自ら立ち上がり、生きる喜びを感じられる職場になることを望みたい。

連載目次

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-31 00:16:43 / Last modified on 2015-04-01 10:57:48 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について