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労働者を奴隷と見るのはどの資本も全く同じ

[不法社長探して3万里](2)巡回闘争2日目

チェ・ビョンスン(現代車支部組合員) 2015.03.20 13:44

戦争

死守隊の仲間たちから、深夜に東洋セメントの管理者が「49鉱区」に電撃投入されたという報告がきた。 集結地が慌ただしい。 状況発生! 出動だ。 新鉱山(49鉱区)の入口に集結した東洋セメント支部の組合員たちがバリケードを越えた。

使用者側は、労働組合の組合員を個別に説得し、同僚を裏切って作業に復帰することを強要した。 管理者の保護の下で説得された一部の「組合員」が作業再開のために現場に入ってきた。 組合員たちが防いだが、数で押し通す使用者側の暴力にわれわれのバリケードが突破された。 戦争が始まった。

防ごうとする者と入ろうとする者! だがこの工場は誰のものか?

東洋セメント支部の組合員は、新鉱山の開発を始めた93年からここにいた。 道を整備し、坑道を掘り、石灰石を発破した。 装備を手入れして磨いたのも、東洋セメント支部の組合員たちだった。 この石灰石の山の高さは最初は415メートルだった。 だが今では100メートル低い320〜280メートルだ。

その長い時間、東洋セメント支部の組合員は安全な現場を作り、いい職場になった。 ところが東洋資本は管理者を動員して追い出そうとしている。 それで工場の主人が自分の作業場を守ろうとするのはあまりにも当然のことではないか? 生活の基盤を守るために東洋セメント支部の組合員は戦争を宣言した。

静寂

奮進とクラッシャー(粉砕機)の音で騒がしいはずの工場が静かだ。 新鉱山(49鉱区)に静寂が流れた理由はこうだ。 東洋セメント支部組合員たちは、トンイルとトゥソンという社内下請業者で働いていた。 だが本当の社長は東洋セメント(代表理事チェ・ジョング)だという事実を知った。 それで雇用労働部に陳情書を提出した。 雇用労働部は2015.2.13.、次のように陳情の結論を通知した。

トンイル(株)、(有)トゥソン企業は、事業主としての独自性と事業経営の独立性を欠いており、 東洋セメント(株)の労務代行期間と同一視できる程、その存在が形式的・名目的に過ぎず、 東洋セメント(株)は実質的にトンイル(株)、(有)トゥソン企業所属の勤労者から直接勤労を提供され、 賃金を含む諸般の勤労条件を決めたところ、 トンイル(株)、(有)トゥソン企業の勤労者らと東洋セメント(株)は暗黙的な勤労契約関係にあると判断されます。

わが支庁では東洋セメント(株)にトンイル(株)、(有)トゥソン企業の勤労者らと 勤労契約締結など直接雇用のために、 諸般の措置を取るように通知(勤労者派遣関係は成立しない)したことをおしらせします。

ところが雇用労働部の判定を履行すべき東洋セメントは、 トンイル(株)との請負契約解止を通知した。 結局、旧正月の一日前の2015.2.17.、 請負解約により社内下請労働者101人に集団解雇を通知した。

当事務所は東洋(株)、タムルジェイホ(株)と請負契約を締結・運営した請負社で、 2015年02月28日付で元請請負社から請負契約解止の通知を受けたため、 2015年02月28日以後は当事務所はこれ以上の事業持続が不可能で、 勤労関係契約の終了を通告するのでこの点をご了承ください。

工場で働いた労働者全員が解雇され、当然工場は止まった。 逆説的に49鉱区の本当の主人が誰なのかが確認される瞬間であり、 解雇通知をした本当の社長が東洋セメントであることを再度確認した瞬間だった。

セメントは石灰石を主原料とする。 石灰石を割り、トラックに載せて垂直坑道に入れると1次粉砕機が作動し、 石灰石を細かく砕く。 これがベルトコンベアに乗って流れ、2次粉砕機に入ってさらに細かく砕かれた石灰石は、 圧力で動くコンベアに乗って生産工場に入る。 何と長さ10キロ程度だ。 まず穴を掘り、発破をして、ショベルカーでトラックにのせて垂直坑道に入れ、 粉砕機に入れるすべての過程は一つの連結過程にある。 トンイルセメントとトゥソンセメントが存在できないように、 東洋セメントを作る労働者はトンイル(株)で、(有)トゥソン企業に中ハ数多い。 だから朴槿恵(パク・クネ)が任命した李基権(イ・ギコン)が長官をしている雇用労働部も、 トンイル(株)と(有)トゥソン企業の実体は認められないと判定した。 つまり幽霊会社、偽装請負だ。

怒り

蔚珍には韓国水力原子力で10年以上働いた別の労働者がいた。 彼らは今すべて解雇者だ。 なぜか? 派遣法により2年を超過した日から正規職に転換するよう検討してくれと韓国水力原子力に要求したという理由で解雇(解約)されたからだ。

労務士に諮問を求め、韓国水力原子力の次長に 「私たちが調べてみると不法派遣にあたるようだ。 会社も調べて措置を取ってほしい」という言葉を伝えた。 そして2週間後の2010.6.2.、夜間勤務をしていた2人は勤務日誌の決済を受けに行くと、早期退勤命令を受け、 退勤しようとするとキーカードと車両出入証を強制的に奪われた。 そして残る11人は携帯メッセージで解雇通知を受けた。 理由は業者との契約期間が2010.6.3.で終了したからだ。 だが13人の労働者は10年前に入社した時に勤労契約書を作成しなかった。 したがって6月3日までは勤労契約を結ぶこともなかった。 請負契約が終了したという下請企業は、まだ蔚珍の韓水原で堂々と業務をしており、 彼らが働いていた作業は他の労働者に代替された。

くやしくて眠れなかった。 それで闘争を決心した。 労働組合もなく、助けてくれる人もいなかった。 賞与金、成果金もなく月200万ウォン(退職時2010年)だけで働いた青春が惜しくて、 テントを作り、青年会のスピーカーを借りた。 蔚珍韓水原の前でテント座り込みをしながら、大邱とソウルを行き来して、 訴訟の準備をした。 クォン・ヨングク弁護士を訪ねて行き、訴訟を代理人を要請したが確答がない。 それでも放棄せず一週間後にまた上京して確答を受けた。 テント座り込みが長びき、5人の同僚が訴訟放棄を条件として蔚珍韓水原の下請企業に就職した。 懐柔と脅迫がひどかったが、残る8人全員が固く団結した。 韓水原が私たちにした非人間的な待遇が、私たちの心から離れなかったためだ。 テント座り込みは1か月を越え、家族は苦しんでいる。 やむを得ず直接の闘争をやめて、訴訟は続けていくことにした。 怒りが私の人生を変えた。

絶叫

東洋セメントを作った偽装請負労働者が話す。

「昨年、2メートルが以上雪が降った時、何の装備もなく丸腰でこの雪を片づけました。」
「車が通れないほど険しい道を今は安全に通れるようにしました。」
「垂直坑道に石が混じって詰まれば命がけで発破作業をしました。」
「経歴25年で班長という職責を持っていても時給は5520ウォンです。 200時間以上残業をして生計をたてました。」

あまりにもくやしくて心にわだかった言葉を吐き出す。 そうして25年を生きてきた人生が残念で、定年を7か月残した先輩も闘争隊列の一番前に立つ。 奮進との死闘、3組3交代で安全も保証されない夜間作業、 それでも会社がうまく行けば私にもいいことがあると信じて暮らしてきた、 長い時間への惜しみ、私の人生そのものだった作業場に入れない、 その傷心が、長いため息と共に表現される。 しかしそんな苦痛を分けあい、共に闘争しようといった20年の親交があった同僚が、 会社の管理者の保護を受けて働いていることに悲嘆に暮れる。

定年退職を前にした先輩から仕事を出してやった後輩の背信は到底言葉にできない。 後輩にちょっと仕事をやろうと先輩を説得した先輩たちにはさらに申し訳なくて、 苦しい胸のうちを絞りながら、20年の親交のある同僚に 「頼むから人間らしく生きよう」と哀願する。 この絶叫に涙が出る。 「解雇」という殺人武器で先輩と後輩として、互いの人生を生きてきた労働者を敵にするその卑劣さは、 現代自動車も東洋セメントも違わないことを確認する。 資本にとって労働者は人ではなく、金を稼ぐ機械だからか? ある老いた労働者が叫ぶ。

「われわれはもう東洋の奴隷ではない。直接雇用を勝ち取るぞ!」
「解雇は殺人だ。チェ・ジョングを拘束しろ!」

希望

死にそうな現実にも、いつも生きるための穴はある。 光が何なのかがわからない時は全てが闇だが、 希望を感じれば微かな光を発見することができる。 われわれはそうして一日一日を生きていく。 そして10年闘争をした労働者と、一日闘争した労働者が共感し、 疎通することができる。 一日が積もり積もって10年になるからだ。

10年戦った労働者と17日間戦っている労働者が出会った。 互いの闘争の経験を話して、学ぶ。 なぜストライキが、闘争が労働者の学校なのか、直に感じられる。 多くの言葉は、自分がぜひ言いたいことを語っているようだ。 以心伝心とはこんな時に使う言葉だ。

10年あきらめずに現場を守る労働者と、今は生計活動をしているが、闘争を放棄しない労働者が出会った。 自分が体験した苦痛に共感する労働者と会って調子が出る。 生まれて初めて会った人なのに、よどみなく自分の話をする。 顔色を伺う必要もない。 闘争が私たちにくれるプレゼントだ。 遠くから来た労働者のために食事を提供し、また会って、ぜひ酒一杯飲もうと言って互いの手を取り合う。 明日のスケジュールがあるが、席をはずすことが容易ではない。

私たちが希望があると信じるのは、私と同じ気持ちを持つ人が、ここに、あそこに、随所にいるからだ。 私たちが希望を放棄しない理由は、勝利できるという信頼があるからだ。 私たちが勝利できると確信する理由は、まさに私たちが団結しているからだ。 いや、私たちを分断し、放棄させ、奴隷として暮らし続けることを強要する 現代自動車、東洋セメント、韓国水力原子力に負ける程、われわれは弱くはないからだ。

東洋セメントの作業場からながめる風景はすばらしい。 東洋セメント支部の支部長チェ・チャンドン同志が 「ぜひ勝って、ここから日の出を見せてあげましょう。 ここほど日の出が美しいところはありません」。 ぼんやりとした砂ホコリが晴れればもっときれいに海が見える。 本当に本当に美しいという。 今でもこんなに美しいのに。

付記
巡回闘争後援口座:農協302-0800-6304-91 /キム・ギシク

連載目次

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-21 18:55:16 / Last modified on 2015-04-01 10:55:37 Copyright: Default

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