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現代車不法派遣合意と談話文、座り込みフレーム〜資本との対応戦略はなく

[現代車非正規職金属労組座り込み](6)企画連載を終えるにあたり

チョン・ジェウン記者 2015.03.13 18:09

[現代車非正規職金属労組座り込み]目次

(1) 企画連載を始めるにあたり

(2) 蔚山非正規職支会長インタビュー

(3) 現代車支部長インタビュー

(4) 8・18合意の議論

(5) 委員長談話文の議論

(6) 企画連載を終えるにあたり

現代自動車不法派遣をめぐる8・18合意と廃棄、 金属労組委員長の談話文と46日間座り込みへと続いた対立は、 情勢の変化によりフレームを維持したり変化させながら、 多様な主導者の利害とからんで複雑に進められた。

現代車8・18合意が資本とのフレームで、非正規運動の困難と限界をそのまま反映した結果だとすれば、 金属労組定期代議員大会での8・18合意廃棄の過程は不法派遣に対する労組運動の悩みと内部対立の反映だ。 だが「不法派遣正規職化」という闘争目標は、不法派遣を認めた裁判所の判決と定期代議員大会の合意案廃棄にもかかわらず、 相変らず「宣言的意味」という現実的限界を持っている。 資本と金属労組、労組運動陣営の対立で、すでに押されてしまったことの結果だ。 こうした結果は現代車使用者側は一歩抜けた状態で、8・18合意当事者間の対立が主なフレームになっていることが確認される。

これはイ・ギョンフン現代車支部長の8・18合意に関する 「私は8・18合意を基礎にすべきだという考えは変わりがない。 私は蔚山非正規職支会と金属労組にすでにはっきり立場を明らかにした。 (新規採用規模を)3500人から4000人まで拡大しようといった当事者がイ・ギョンフンなのに、 この合意を翻意してまた交渉をしようというのは天下に笑われるではないか?」という言葉からも十分に確認できる。 また、合意当事者の現代車非正規職牙山支会と全州支会は、金属労組の承認とは別に 「組合員総会可決」という内部形式と内容的手続きを終えることで、 現代車資本は抜けたまま「8.18合意案」の処理問題はひっそり労組内部の問題になった。 こうした状況で、金属労組代議員大会の規定力と権威により現代車支部と牙山、全州支会を説得できたのだろうか。 内部問題ではなく、現代車使用者側と「8・18合意」をめぐる戦線を作る力量と計画が蔚山支会と金属労組にはあったのだろうか。

「宣言的意味」も耐えることができなかった金属中央執行委員会?

取材の結果と金属労組会議の資料によれば、 8・18合意は裁判所判決にもかかわらず、定期代議員大会で「合意廃棄」対「合意尊重」のフレームで問題になる。 また、議題の性格に関する論議がおき、チョン・ギュソク委員長は修正同意案でこれを処理する。 これについて中央執行委員会では 「十分な説明と(チョン・ギュソク委員長の)議事進行の問題」で「合意尊重」の立場が提起されたと見られる。

ハプニングだったとはいうが、聞き方によれば相当な圧力に聞こえることがあるイ・ギョンフン現代車支部長の「セルフ懲戒要求」は、 定期代議員大会の決定を中央執行委員がどう思うのかを見せる例だ。 「現代車支部と現代車非正規職牙山/全州支会は規約に違反した」という定期代議員大会の決定は、 「支会ごとの判断で会社と合意することがよくあるが、これらすべての合意を支会規則違反で処理することはできない」という慣行の問題につながった。 これは、意図や真情性とは無関係に中央執行委員の多くの共感を得たと見られる。 金属労組のチョ・ソンオク副委員長も 「金属労組規約違反で懲戒することになると、すべての中央執行委員が懲戒されるという話になった。 慣行上の問題があるためだ」と明らかにした。

こうした雰囲気は労組の内外で 「現代車支部長 対 金属労組委員長」、「現代車支部長と中央執行委員会 対 金属労組委員長」、「現代車支部立場同調 対 非同調勢力」などで対立のフレームが作られる。 中央執行委員会は「定期代議員大会評価」の議論の結果、 「8・18合意尊重と謝罪」という代議員大会の宣言的な意味の合意廃棄決定まで疑われる評価案を提出し、委員長談話文の形で出す。 もちろん、この談話文は事前に現代車支部と蔚山非正規職支会で内容が共有された。 だが談話文が引き起こす波紋は誰も予測できなかったようだ。

保守言論と使用者側は、金属労組の交渉権を揺さぶる仕組みで足早く対応する。 迅速に反応した資本と違い、金属労組不法派遣闘争は 「委員長談話文」の発表と共にどん底に陥る。 「大会決定事項の翻意だ。翻意ではない」という内部のフレームに閉じ込められたままで。

▲現代車蔚山非正規職支会と牙山社内下請支会一部、活動家が金属労組で46日間座り込みをした。[出処:チャムセサン資料写真]

座り込み後、8・18合意尊重か? 廃棄か?

談話文の発表後、すべての問題は金属労組委員長室座り込みに同調する勢力、しない勢力に吸い込まれる。 だが「大会決定事項の翻意だ。翻意ではない」であれ、「8・18合意尊重か、廃棄か」であれ、 どちら側も不法派遣問題を資本とのフレームに転換することはできなかった。

むしろ8・18合意と委員長談話文を率いた勢力は、金属労組の後に隠れたようだ。 金属労組が困難に陥っている間、8・18合意当事者の現代車非正規職牙山と全州支会、現代車支部は「合意尊重」を訴えなかった。 また、「定期代議員大会評価案」を率いた中央執行委員さえ、 問題を会議場の外に出そうとしなかった。 ただ金属労組役員名義の「大会決定の翻意ではない」という困難な回答をしただけだ。

相次ぐ「現代車不法派遣」の判決にもかかわらず、 民主労組運動陣営は不法派遣を社会的な議題として新しく浮上させたり、 非正規労働者闘争に拡散させることができない。 結果として8・18合意をめぐる論争は、 不法派遣問題を現代車事業場内、金属労組の組織内部の問題に置換させた。

ここまで来てしまうのは、資本主義内での労働組合運動の限界であるかのように、 労使合意ですべての問題を解決する事業場内の慣行に始まった部分もある。 産別労組だが、巨大企業支部の交渉構造に引きずられて行く金属労組の現実問題でもある。 また、それぞれの考え方と状態により問題を回避した各単位の責任もある。 金属労組は「3者合意ない交渉には不参加」という組織内の政治的立場を出しただけで、 不法派遣に対する15万金属労組にふさわしい社会的、産業的問題意識さえなかったと見られる。 8・18合意の前に非正規職3支会が「各支会の判断を尊重」するという各自の道を選択したのは、 「共同交渉と共同闘争」という過程が問題なのではなく、事実上の連帯闘争の放棄だった。 労働者たちの不法派遣闘争は、こうして事業場内の合意に収斂されたのだ。 こうした8.18合意の後、裁判所の判決で不法派遣闘争は起死回生し、 「合意案廃棄」の決定とこれをめぐる議論をまた引き起こした。 このような点で、蔚山支会が交渉に不参加するようにしたことと、 8・18合意当日「蔚山支会には適用しないという文言を入れる」ことにして座り込みを解除したことで、 「卑怯な原則主義者」という批判から完全に自由にはなれない。

3月3日の臨時代議員大会は流会になった。 それも、問題になった「定期代議員大会評価案」を扱う過程で成立定数不足で。 誰かにとっては残念かもしれず、誰かには何の関係もないかもしれない。 だが、不法派遣をめぐる7か月ほどの議論は「労働組合が作る議題」が広がるのではなく、 縮小され、内部の問題に帰結する過程を見せた。 新しい闘争に立ち上がろうという「象徴的宣言」さえ合意が難しいほど根深い対立と不信を表わした。 資本とのフレームよりも、事業場内部、または労働運動陣営内部の対立と不信の問題だけが際立って残された。 金属労組と民主労組運動陣営、現代車支部と非正規職支会すべての問題だ。 現実の運動で互いをどう説得するのか。 互いへの不信と毒舌を収め、共に労働対資本で対抗するのか。

▲3月3日の金属労組臨時大会は問題になった「定期代議員大会評価案」を扱う過程で成立定数不足で流会になった。[出処:金属労働者]

付記
チョン・ジェウン記者はメディア忠清の記者です。この記事はメディア忠清にも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-15 23:08:49 / Last modified on 2015-03-15 23:09:13 Copyright: Default

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