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SKから韓国情報工学まで、企業が密かに育てたウェブハード カルテル

[ワーカーズ・イシュー]ウェブハード カルテル、隠された共謀者たち(2)ウェブハード桂の恐竜『BNCP』はどのように育てられたか

ユン・ジヨン、キム・ハンジュ、パク・タソル記者 2018.11.27 11:24

[出処:キム・ヨンウク]

[ワーカーズ・イシュー]ウェブハード カルテル、隠された共謀者たち順序

(1) ウェブハード カルテル、ゆりかごから墓場まで|パク・タソル記者

(2) SKから韓国情報工学まで、企業が密かに育てた『ウェブハード カルテル』 |ユン・ジヨン、キム・ハンジュ、パク・タソル記者

(3) 不法撮影物流布で拘束される確率、0.047% |キム・ハンジュ記者

(4) ウェブハード カルテル、〈それが気になる〉 |パク・タソル記者

去る11月17日。 警察が韓国未来技術のヤン・ジノ会長を捜査する過程で「ウェブハード カルテル」の実体を確認したと明らかにした。 彼がウェブハード-フィルタリング-デジタル葬儀業者というトライアングルを構築し、 不法撮影物を流通して不当利益を得ていたという。 警察の捜査発表の前後、いよいよウェブハード カルテルの実体があらわれたという報道が続いた。 半月ほどでウェブハード王国が崩壊したとも言う。 多くの不法被害撮影物と被害者を量産したウェブハード カルテルの主犯たちが 一網打尽になったようだった。

だが警察が掃討したというヤン・ジノ一党は氷山の一角でしかない。 まだウェブハード カルテルには触ることもできなかった。 別名「ウェブハード界のサムスン」と呼ばれるウィディスクは、 ヤン・ジノが率いる小王国でしかない。 ヤン・ジノのトライアングルさえなくせば不法撮影物の被害者が消えるのだろうか。 とんでもない。 真実は、ウェブハード カルテルに資本がどう絡んでいるのかだ。 小規模業者が乱立しているように見えるウェブハード市場にも資本は隠れている。 彼らは法を迂回しながら、もっと密かに、静かに互いの関係を固める。 カルテルとは類似の分野に従事する企業の談合を通称する。 ワーカーズは「資本」が作り出したもう少し密かなウェブハード カルテルを探してみることにした。

#1. SKと崔泰源会長、彼らが育てたウェブハード

財界序列3位グループであるSKのSKテレコムは、 ウェブハード業者とフィルタリング業者も所有する大企業だ。 SKテレコムの経営公示にウェブハード業者(株)BNCPが登場したのは2011年頃だ。 BNCPの事業目的はオンディスク、ケイディスク、ファイルグリの3つのウェブハード業者を運営することだった。 2010年序盤にもオンディスクなどは不法、淫乱映像物の温床と言われていた。 だが当時、BNCPがそれなりの注目をあびたのは不法映像物ではなく「不法裏金」のためだった。 BNCPの持分100%を所有していたファンド運用社、 「ベネックスインベストメント(以下ベネックス)」が崔会長の裏金造成窓口に活用されていたからだ。 この事件で崔会長は2013年1月に法廷拘束され、4年の刑を宣告された。

崔泰源会長の裏金事件以後、 SKテレコムはBNCPの持分100%を直接保有した。 そしてSKテレコムは有償増資を繰り返し、BNCPの図体を膨らませていった。 2010年末には発行株式60万株、資本金3億ウォンに過ぎなかったBNCPは、 翌年には発行株式900万株、資本金45億ウォンの会社に成長した。 2011年にはBNCPの子会社(株)アイコンキューブを設立し、 ウェブハード ファイルグリを編入させた。 そして同年、アイコンキューブはポータル サイト、フリーチャルも買収した。 2014年にはBNCPを分割して(株)アイコンキューブホールディングスという投資会社を作った。

SKテレコムはフィルタリング業者も所有していた。 現在、(株)ミューレカとともに大韓民国のツートップ・フィルタリング業者とされるA社だ。 A社は2011年、ソモンのフィルタリング事業部を買収してフィルタリング事業に飛び込んだ。 それに先立つ2010年から、SKテレコムとSK C&Cはファンドを出資してA社の最大株主になった。 ファンド運用社はやはり崔会長の裏金窓口のベネックスだった。 複雑だが簡単な事実は、 SKグループがA社の株式56.69%を所有する「実際の所有主」だということだ。 SKがBNCPとA社を率いることになり、両社の協業も活発になった。 2011年、BNCPはA社が提供するコンテンツを上げるアップローダーに追加リワードを提供するイベントを行った。

BNCPはA社とともに「合法的流通」を掲げて事業を展開した。 だが不法淫乱映像物は根絶しなかった。 2012年8月、BNCPは検察の不法わいせつ物摘発の過程で押収捜索された。 そして2015年8月14日。 崔泰源会長が2年7か月で監獄から出所した。 光復70周年特別赦免だった。 その年末、SKテレコムは赤字累積による資本蚕食を理由に BNCPとアイコンキューブホールディングスをすべて売却した。

[出処:キム・ヨンウク]

#2. 相変らず健在なBNCP

2015年末、SKテレコムを離れたBNCPの近況はどうか。 結論だけ言えば、相変らず健在だ。 不法わいせつ物動画がアップロードされているのも相変わらずだ。 ヤン・ジノ会長事件が起きた直後から現在まで、 BNCPが運営するウェブハードには不法わいせつ物と推定される映像がアップロードされている。 「モーテル」、「ククモーテル行ったチキン女」、 「離別後結局流出! 皆嫁にいったよみんな一緒に楽しもう」などの露骨な題名の映像だ。 「隠しカメラ」や「流出」等の単語はサイトで禁止語だが、 「モルK」や「U出」等の変則語を入力すれば検索ができる。 不法わいせつ物と推定さる映像は、アップロードと削除が繰り返されて着実にアップロードされてくる。 フィルタリング業者のA社との提携も相変わらずだ。 これらのサイトの被害救済案内センターにはフィルタリング業者A社が紹介されている。

事業の元手、つまり資本金もまた他のウェブハード業者と較べると相変らず優秀だ。 実際にウェブハード界のサムスンと呼ばれるEZウォン・インターネットサービスの資本金は5億ウォン。 BNCPと共に3つのウェブハードを運営するK社の資本金は4億ウォンだ。 だがBNCPの資本金は24億1840万ウォンにのぼる。 アイコンキューブホールディングスの資本金も20億8160万ウォンほどだ。 赤字累積を理由に売却されたBNCPは、売却直後に売上が大幅に上昇した。 2015年には116億だった年間売上額は翌年の2016年には141億1千万ウォンと22%増加した。 業界平均346%に達する上昇率だ。 2013年から2015年まで着実に10億以上の赤字を出していたが、 2016年には6億9096万ウォンの営業利益をあげた。 業界平均の705%多い数値だ。

4年前、SKテレコムがBNCPとアイコンキューブホールディングスを誰に売却したのかは知らされていない。 BNCPの経営情報公示は2014年4月で止まっている。 政府機関の経営公示記録も、民間企業評価資料もすべて脱落している。 実所有主の正体もわからない。 わかる情報だとBNCPと子会社アイコンキューブが運営するオンディスク、 ケイディスク、ファイルグリの代表理事がキム某氏で同じだということ程度だ。 だがもう少し詳しく調べると、ある所に隠された連結の輪が現れる。 SKグループと親しい間と言われる(株)韓国情報工学とその周辺に布陣する人物だ。

#3. 新しい連結の輪、韓国情報工学

崔泰源SKグループ会長と 韓国情報工学のウ・ヨンソク代表理事の親密さはすでによく知られている。 彼らは2000年、ブイソサエティ(V-Society)という社交の集まりを結成した。 安哲秀(アン・チョルス)元パルン未来党代表をはじめ、 李雄烈(イ・ウンニョル)コオロン会長、イ・ジェウン ダウムコミュニケーション社長などの財閥オーナーとベンチャー事業家が主軸になっている集まりだった。 ユ・ヨンソク代表理事がブイソサエティの会長になり、 崔泰源会長がこれを積極的に率いた。 崔会長が拘束されると彼らが嘆願書を作成して提出する役割もした。

ベネックスが崔泰源会長の裏金造成窓口で問題になった直後の2013年3月。 ベネックスを買収したのは韓国情報工学の子会社であるファイテクインベストメント(以下ファイテク)であった。 当時業界ではファイテクが屈指のベンチャーキャピタルのベネックスを買収し、 ダビデがゴリアテを飲み込んだという話しも流れた。 崔会長とユ代表の親しい関係が買収合併に影響したということが定説として受け入れられた。 当時のマスコミの報道によれば、 ファイテクはベネックスを買収した後もBNCPの経営実績をSKに定期的に報告したと言う。

ベネックスは2010年からフィルタリング業者のA社の最大株主であった。 だからこうした買収合併は、A社の実際の所有主が韓国情報工学になるという意味でもあった。 実際に買収合併前後にBNCP-A社-韓国情報工学と子会社の間には、 多くの人的交換があった。

[出処:不法映像物画面キャプチャー]

#4. BNCP、隠れた人物たち

韓国情報工学の元代表理事で、4つの子会社で社内理事と代表理事を歴任したJ氏は、 2012年から13年までBNCP代表理事だった。 2013年から16年まではA社代表理事と社内理事も歴任した。 J氏の後任にBNCP代表理事になったB氏は、 韓国情報工学子会社のネモMNアドとネモコマースで各々代表理事、 社内理事を歴任した人物だ。

現韓国情報工学経営企画常務でファイテク代表理事を経たC氏は、 2016年までBNCP非常務理事とアイコンキューブホールディングス監査を引き受けた。 韓国情報工学の子会社ネモMNアドの現代表理事D氏も昨年までアイコンキューブホールディングスの非常務理事だった。 16年まではBNCP監査も兼職した。 現ソマンサ監査のE氏もネモコマース代表理事で、BNCP非常務理事を兼職した。

現在オンディスク、ケイディスク、ファイルグリの3つのウェブハード業者の代表理事はキム某氏だ。 彼が韓国情報工学とA社などで要職についていた記録はない。 だがキム氏の後には他の人物がいる。 2015〜16年の間にBNCP代表理事だったU氏だ。 U氏は現在BNCP社内理事をしている。 同時にアイコンキューブホールディングスの代表理事と社内理事を兼職している。 彼は過去にBNCPとアイコンキューブでも各々代表理事だった。

彼の名前は現在韓国情報工学子会社役員リストにも見つかる。 彼は昨年4月から韓国情報工学子会社の中で最も大きい(株)ネモコマースの社内理事に名前を連ねた。 ネモコマースの代表理事と社内理事は合計3人。 現韓国情報工学代表理事のユ・ヨンソク代表と現韓国情報工学非常務理事のC氏、 そしてユ氏だ。 監査は現韓国情報工学代表理事のイ・セボク氏だ。 またU氏は韓国情報工学のもうひとつの子会社の一つである(株)ヌマンの社内理事にも登載されている。 昨年までアイコンキューブホールディングス非常務理事だったD氏も ユ氏とともにヌマンの社内理事として在職している。 BNCPとアイコンキューブホールディングスが運営するウェブハード業者の 「個人情報3者提供案内」には(株)ネモコマースが真っ先に記載されている。 ネモコマースはショッピングモール統合管理サービスを提供する会社だ。

SKテレコムがBNCPを所有していた時期の2012年から、 韓国情報工学の関係者はBNCPとアイコンキューブ、 アイコンキューブホールディングスの代表理事と社内理事、監査などに 名前を連ねてきた。 韓国情報工学および子会社役員であり、 BCNP-アイコンキューブホールディングスの役員を経た人物だけで6人だ。

一方、ワーカーズは取材の過程でもうひとつの事実を発見した。 韓国情報工学代表理事をはじめ、4つの子会社役員、そしてBNCP、A社代表理事をあまねく経たJ氏が、 民主労組運動陣営が設立した某労働財団の監査として活動しているという事実だ。 ワーカーズは韓国情報工学とBNCPとの関係を調べるためにAに何度か連絡を試みたがつながらなかった。 U氏はインタビューを拒否した。 韓国情報工学側は「現在はBNCPとは何の関係もない」とし 「U氏が代表理事に登載されている理由は私たちも知らない。 役員プールがなくて残っているのかもしれないという話があり、 ただ理由なく維持している」と明らかにした。

#5. フィルタリング業者、A社

A社とミューレカはフィルタリング業界のツートップと言われる。 A社も事業報告書で 「ウェブハード フィルタリング市場は競争会社(株)ミューレカと弊社が両分している」とし 「2017年の国内ウェブハード フィルタリング占有率1位」だと明らかにした。 A社は広告メッセージ、コンテンツ流通、コンテンツ フィルタリング事業をしている。 そのうちフィルタリング事業は申告された映像物を点検、削除するOPSソリューション販売とコンテンツ著作権手数料、 そして「デジタル消滅事業サービス利用料」で収益をあげる。 デジタル消滅事業は個人映像流出依頼に対するサービスのことだ。 よく言われる「葬儀事業」だ。

これに関してA社の関係者は 「C代表がいた時、新規事業アイデア水準で出てきたわけだが、金にならないので進めなかった」とし 「根本的にウィディスクのようなウェブハード業者が葬儀サービスを運営することについての問題意識があった」と説明した。 昨年、A社がフィルタリング サービスで得た売上額は11億5700万ウォンで、 売り上げ全体の7.2%を占める。 現在、A社はオンディスクを含み、合計26のウェブハード業者にフィルタリング サービスを提供している。

前述の通り、A社は2011年にはSKグループが、2013年には韓国情報工学の子会社ファイテクが最大株主だった所だ。 だからこの時期、ウェブハード業者のBNCPとフィルタリング業者のA社間の人的交流も活発に行われた。 韓国情報工学の代表だったC氏は2012年にBNCP代表理事に就任、 2013年にはA社代表理事へと席を移した。 2011年にBNCP代表理事だったF氏は同時期にA社の副社長を兼職していた。 当時、A社の代表理事だったG氏もBNCPの社外重役を兼ねていた。 G氏の場合、80年代に学生運動をして服役した履歴があり、 大統領選挙の時に文在寅キャンプで活動した。 崔泰源会長が運営するブイソサエティの会員でもあった。 現在は地方自治体傘下機関の代表理事をしている。

一方、A社の関係者は 「SKから韓国情報工学にファンド(ベネックス)が渡ってきた時には役員が行き来したが、 今は関係がない」と説明した。 続いて「われわれは不法撮影物流通の問題を解決しなければならないと話してきたが、 これを無視したのは政府」だとし 「それでも私たちのような企業等だけに責任が転嫁されているのは困る」と吐露した。

A社は1999年にサムスンの映像事業団から分社して生まれた。 当時の代表理事は権五鉉(クォン・オヒョン)現サムスン電子会長だった。

#6. そしてミューレカ

去る10月、ヤン・ジノ会長はフィルタリング業者の(株)ミューレカを売却した。 ミューレカを買収した業者はピープルコネクトという所だ。(株)ガビアグループの孫会社で、 ガビアの系列会社KINXの従属会社だ。 現在ピープルコネクトの役員がミューレカの新しい登記理事として登載されている。 ガビアグループは1998年にドメイン登録事業を始め、 20年間クラウド、グループウェア、セキュリティなどに事業を拡張してきた企業だ。

新しい主人に出会ったミューレカの足跡を追えば、 ある地点でBNCP-アイコンキューブホールディングスという連結の輪が発見される。 ピープルコネクトの親会社KINXの前職監査リストには、 現アイコンキューブホールディングス代表理事のU氏がいる。 U氏は2009年から2012年までKINX監査として登載されていた。 それだけではない。 U氏はガビアの関係会社である(株)SPソフトの代表理事職も兼職している。 U氏の役職はBNCPとアイコンキューブホールディングス-韓国情報工学-ガビアグループ系列会社まで、縦横無尽だ。

ワーカーズはミューレカ買収の背景を聞くために、 ピープルコネクトに連絡を試みたがつながらなかった。 ミューレカも電話回線を切っている状態だ。 ミューレカに対する世論が悪化して、 ガビアグループが買収放棄を考慮しているという話も出ている。 ある関係者は「ミューレカで起きた問題が今爆発したので、 企業の信頼度を考慮して買収放棄を考慮しているという話を聞いた」と話した。

一方、ミューレカとガビアグループなどで活動した「進歩者」たちの動きも眼につく。 進歩陣営で活動する労働文学家のH氏は以前、ミューレカの監査職になっていた。 H氏は「現在はウィディスクで働いて問題になった進歩陣営の人物I、K氏をそこに紹介したのが私」だとし 「ヤン・ジノがそんな人とは思わなかった」と説明した。 現在、ガビアグループと2つの系列会社で監査職をしているK氏の場合、 韓国の代表的市民団体の執行委員長として活動している。[ワーカーズ49号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-11-26 21:19:04 / Last modified on 2018-11-30 01:25:44 Copyright: Default

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