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私は基本所得が欲しいけど、君は?

[ワーカーズ開講準備号]基本所得姉さん、私たちを救えるのですか?(1)

ユン・ジヨン記者 2017.02.23 11:53

[扉]今回は『基本所得』だ。 半額登録金、基礎老齢年金に続いて新しく発掘された大統領選挙用の福祉問題だ。 万人に平等な基本所得とは。 なぜか、今の窮乏した生活と不平等な構造を一気に解消する万能の鍵のようだ。 だが私たちが暮らしている資本主義社会はそれほど扱い易い相手ではない。 資本主義メカニズムが不平等を内在していることを知らない人はいない。 力が傾いていることからして不公平だが、彼らが素直に金と不平等の権力を差し出そうとするだろうか。 何か別の内心が隠されているようだ。 「チャムセサンXワーカーズ」は気になった。 基本所得が施行される未来の社会では、私たちの人生は平等だろうか。 そして崖っぷちに立つ人々を救い出せるだろうか。 悩んだ末に5回にわたり、企画連載記事を載せることにした。

[出処:チャムセサン資料写真]

基本所得が欲しかった。 何も聞かずに金をくれるとは! いや、最初から大金を望んだわけではなく、1か月に30万ウォンでももらえれば幸いだと思った。 膨らんだ胸を抱いて苦悶に陥った。 基本所得をもらったら何をしようか? 先ずは住宅賃貸ローンの利子を返さなければならず、後で賃貸価格を上げてくれと言われるかもしれないので、ちょっと貯金もしなくちゃ。 携帯電話料金も安定的に基本所得で解決できれば良い。 1か月10万ウォンかかる交通費、意外に負担になる生理用ナプキンの費用も解決しなければならない。 そしてその気になれず、ただ我慢していた腰痛の治療も一度受けてみようか? 金が出て行くところは限界も終わりもなかった。 そして相次ぐ疑問。 果たして基本所得だけで住居、交通、生活必需品、医療費を払えるのだろうか? いったいいくらもらえば生活の安定を企てられるのか? 本当にそれだけの金を誰もに配ることが現実的なのだろうか?

基本所得が政界のホットイシューに浮上しただけに、人々の関心も高いように見える。 女性だけが加入できるという、かなり有名なインターネットカフェに助言を求めた。 「基本所得をどう思いますか?」 多くはないが、かなり具体的なコメントがついた。 ある人は「韓国よりもはるかに裕福で、人口ははるかに少ないスイスで数年前、国民投票を聞いた時も失敗したのに、果たしてできるのか、ちょっと疑問に感じる」と答えた。 別のある人は「時間当りの基本賃金が1万ウォンにもならない国で、非正規職が正規職より多い国ではまだ時期尚早」だといった。 「雇用を増やすほうが良い」という人もいた。 基本所得の問題は、まさに労働問題と社会福祉制度の問題に置換された。 ではなぜ今になって基本所得がホットな話題になっているのか。 果たして私たちが望むものは「基本所得」そのものなのだろうか。 さらに多くの人々の話が必要だった。

基本所得をもらったらまっさきに何をする?

もっと直接的に聞いて、具体的に聞きたかった。 基本所得をもらったらまず最初に何をしたいのか。 そしてあなたの労働はどう変わると予想するか。 主観式形態の2種類の質問を投じた。 そしてSNSと固定電話で、質問に参加した100人の回答を分析した。 シンプルな質問に生活密着型の回答が付けられた。 基本所得で住居、医療、教育などの福祉領域の支出の費用に当てるという人が一番多かった。 住居と老後のために貯蓄をするという人もかなりいた。 ある人は余裕があり、自発的な労働ができると楽観し、 別のある人は労働環境には変化がないか、さらに悪くなると悲観した。

基本所得をどう使うかという最初の質問項目。 一番高い割合を記録した回答は、住居、医療、教育などの基本的福祉の費用に当てるということだった。 二十四人の回答者、すなわち24%がこれを選んだ。 このうち教育と住居がそれぞれ9%、病院・健康が6%を占めた。 具体的には「家賃の心配をせずに暮らしたい」という回答から、 「毎学期500万ウォンの登録金にあてる」、 「歪んでいる下半身固定治療」などに基本所得を使いたいと答えた。

二番目に多く選ばれた項目は「貯蓄」だった。 合計23%の回答者が「住居空間の用意」と「老後の対策」のために貯蓄をするとした。 家賃の高さと不安な老後の生活のために十分貯金をするということであった。 結局、貯蓄の用途は住居、老後などの基本的な福祉の問題で包括された。 中には貯蓄した金で旅行に行くという回答者もいた。 17%の回答者は基本所得で「旅行と余暇生活」を増やすといった。 基本所得が施行されれば、これまで贅沢と思われていた旅行、文化生活などをする余裕が生まれるのではないかということだ。 基本所得で生活費を補うという回答者も14%であった。 子供の小遣、保育費、未払いの携帯電話料金、公共料金、食費などが生活費の範疇に含まれた。 ある回答者は「1歳にもならない赤ん坊を実家のお母さんに任せて出勤している」とし 「お母さんに毎月60万ウォンを差し上げているが、ギリギリだ。 その金があれば子供の保育費ですべて使ってしまうのではないだろうか」と答えた。 別の回答者は「1件単位で賃金を受ける形式なので、生活費を充当するのは難しい」とし 「60万ウォンもらえれば、人と会ってご飯を食べるのにみんな使うことになりようだ」と答えた。

6%の人々は基本所得をもらえれば「借金」を返すといった。 ある人は「ない金を工面して返している学資ローンを返したい」とし、 別のある人は「家賃のローンの利子と元金をはやく償還したい」と話した。 よく見ると、借金の名目も住居と教育費などの基本的な福祉の問題に直結していた。 この他にも5人の回答者が「辞職する」とし、 また5人の回答者は「(写真などの芸術)作業をする」と話した。 文化芸術家にとって基本所得はまさに「生計費」だった。 しかし基本所得自体に反対する意見もあった。 ある回答者は「基本所得政策は、適切な社会政策でもなく、 進歩陣営や労働者運動が主張する政策でもない」とし 「政策そのものの検討をせず、こうした方式で質問をして記事が出ることも遺憾」と指摘した。

基本所得が施行されれば我々の労働はどう変わるのか?

ある人は基本所得が我々の労働条件を向上させると話す。 完全雇用が不可能な時代だけに、労働中心の社会福祉政策ではなく、条件のない基本所得が必要だと主張したりもする。 正反対の意見もある。 不安定労働が固定し、労働者の交渉力はさらに弱まり、労働条件が下降平準化するという憂慮だ。 もし本当に基本所得が施行されれば、我々の労働はどう変わるのだろうか? 各々異なる期待と憂慮を抱いている100人の声を聞いてみよう。

やはり憂慮より期待の方が大きかった。 39%の回答者が「余裕を持って自律的な労働ができるようになる」と答えた。 生存のための苦痛な労働ではなく、価値ある労働を探すようになるという期待が高かった。 ある回答者は「あまり空気を読まなくてもよくなって、もっと自由で能率的になるのではないだろうか」とした。 「借金のためにやりたくない仕事を無理にする必要がなくなりそうだ」、 「動機が付与され、さらに一生懸命働けそうだ」と答えた人々もいた。

似た趣旨で「労働時間が減る」と答えた割合も11%だった。 あえて残業、特別勤務などの超過労働をしなくても生活に余裕ができるということだ。 ある回答者は「今の給与では生活費でぎりぎりの水準なので、 基本所得が施行されれば緊急な医療費などに当てるために無理しなくてもよくなる」と話した。 基本所得が現在の低賃金を補填する役割を果たすだろうということだ。 別の回答者は「残業せず週4日だけ働ける」と答え、 さらに別の回答者は「残業特別勤務にしがみつく必要が少なくなる」と答えた。

だが33%の相当数の回答者は現在の労働環境に変化がないか、あるいはさらに悪化すると展望した。 ある回答者は「月60万ウォンでつらい職場をやめ、私が望む労働ができるというのはまったくおかしい」と話した。 「いくら物価が上がっても(事業主は)簡単には賃金を上げないだろう」、 「企業主が基本所得を理由にしてさらに多くの低賃金雇用を作るだろう」と展望する人もいた。 基本所得を言い訳として賃上げが停滞し、結局は労働者の交渉力まで悪化するという憂慮であった。

「その金ではコンビニのアルバイトも辞められない」、 「その程度の金額で労働者の生活や労働環境が画期的に変わるのは難しいと思う」という回答もあった。 一部は基本所得がむしろ労働者の生活の質を悪化させると答えた。 ある回答者は「税金はさらに多く払わなければならないので中位所得なら同じ」とし 「だが社会的な総生産性は低下し、育児、老人療養などの公共サービスが必要な階層には支出が下がるため、 一部の市民の生活の質は低下する」と憂慮した。

毎月通帳にきちんと入ってくる基本所得。 それは果たして私たちの生活と労働をどう変化えるのだろうか。 私たちが望む住居と教育、医療、保育、老後の面倒をすべて見られるようなマスターキーなのだろうか。 あるいは今の劣悪な現実を隠すための過大包装なのだろうか。 これから「基本所得」と共に暮らす未来の日常を想像してみよう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-02-27 08:46:47 / Last modified on 2017-02-27 08:50:50 Copyright: Default

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