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LNJ Logo 韓国:[3・8世界女性の日特別企画(4)]東豆川、相変らず排除された女性たちの都市
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東豆川、相変らず排除された女性たちの都市

[3・8世界女性の日特別企画(4)]排除された女性たちの都市

ユン・ジヨン、ウン・ヘジン記者 2020.03.06 10:25

〈3・8世界女性の日特別企画〉

(1) 東豆川、トッコリマウルには

(2) 基地村の村、洗濯する女性たち

(3) 基地村お母さんとマミー(mommy)

(4) 東豆川、相変らず排除された女性たちの都市

(5) 東豆川のエジプト女性難民、モナ

捨てられた傷、モンキーハウスと無縁墓地

逍遥山駐車場の近くには、打ち捨てられた廃虚の建物一つが隠れている。 地図にも出てこない所。 あえて探そうとしなければ眼に触れない所。 まるで誰かが隠したかのように、雑草と苔で埋め尽くされた建物。 そこは以前、東豆川の基地村で働いていた女性を閉じ込めた性売買女性落検者収容所、 モンキーハウスだ。

朴正煕(パク・チョンヒ)政府は駐韓米軍の駐屯のために、 基地村の性売買産業を活性化させた。 基地村の性労働女性たちを「ドルを稼ぐ愛国者」と祝賀した。 実際に東豆川基地村の米軍専用クラブで一年間で稼いだ金は約40万ドルにのぼる。 当時、韓国の年間総輸出額(4千万ドル)の1%に達する規模だった。 だが「ドル愛国者」という愛称が面目を失うように、 政府は性病管理を目的として彼女たちを強圧的に監禁したりした。

基地村の性労働女性が国家から監禁されたのは「モンキーハウス」と呼ばれた 落検者収容所だった。 突然、そして強圧的に監禁された女性たちは、ここでペニシリン注射を打った。 彼女らは深刻な痛みを味わい、一部は過敏性ショックで死亡した。 収容所から脱出するために窓から飛び降りる女性もいた。 収容所の格子に閉じ込められた女性たちは、まるで動物園の猿のようだから、 ペニシリンの副作用で腰が曲がった姿がちょうど猿のようだからとし、 そこは「モンキーハウス」と呼ばれた。

多くの女性の傷と暴力で汚されたモンキーハウスは今、 逍遥山駐車場の近くに捨てられたように放置されている。 こわれたガラス窓と、崩れ落ちた天井と、足の踏み場なく勝手に積まれたゴミ、 赤いスプレーで壁に書かれた落書きまで、 その姿は過去にそこに閉じ込められていた女性たちの人生ほどに惨めだ。

名もなく死んでいった女性たちは、東豆川市上牌洞にある無縁故墓地に埋められた。 落検者収容所のように、彼女らの墓は上牌の共同墓地のあちこちに静かに隠されている。 人が埋められた土饅頭だろうか、ただの土なのだろうか、 よく見なければ彼女らの痕跡は見えない。 墓碑どころか名前も、生活の記録もなく、ただ小さな木の棒一本に彫られた三桁の数字だけが彼女らの存在を語る。 誰も訪れず、だから復元されていないそこに過去に女性たちが味わった暴力が共に埋まっている。

[出処:ワーカーズ取材チーム]

一番賑やかだった都市、一番きらびやかだった町

東豆川は米軍基地によって興亡盛衰を経験した都市だ。 1950年には7200人だった東豆川の人口は、 米軍基地と基地村の形成で1970年代には6万人と、10倍に増えた。 1966年当時、全国の基地村で働いていた2万人の女性のうち、 6千人以上が東豆川で働いた [1] 。 そして東豆川の経済活動人口の47%が米軍関連のサービス業に従事し、28%は商売をした。 その中でもキャンプ・ケーシーがある保山洞は、東豆川一帯で一番賑やかな基地村が形成された町だった。

だが2004年のイラク戦争の時、東豆川に駐屯していた米軍の50%が抜け、 平沢米国基地移転で兵力が分散し、現在では米軍の規模は10分の1水準に減った。 米軍部隊を中心として形成されてきた保山洞一帯の商圏は自然に没落の道をたどった。

保山駅キャンプ・ケーシーの近くに作られた外国人観光特区も人かげはまばらだ。 たまに米軍が通りかかると、古い米軍専用洋服店の商人が急いで出てきて流ちょうな英語で客引きをした。 保山洞から橋の反対側にある上牌洞も、米軍基地の撤収で衰退した村になった。 商店がなくなり、人の足が途切れたそこは、 東豆川市光岩洞、トッコリマウルの姿と似ている。

東豆川は米軍部隊による女性への暴力が日常的に再生産される都市だったが、 米軍部隊がなければ独自で生存することができない寄生的な都市でもあった。 そのため女性に加えられる暴力を容認し、女性たちは都市経済の犠牲になった。 米軍の規模が縮小され、商圏が衰退すれば彼らの人生が良くなるわけではなかった。 東豆川市の昨年の財政自立度は12.7%で、 京畿道平均の40%台の半分にも達しない。 失業率は5.1%で75の市道のうち6番目に高い。

[出処:ワーカーズ取材チーム]

高齢化も深刻な水準に達している。 65歳以上の高齢者人口は、2004年の7771人から2017年には1万7011人と二倍以上増加した。 2019年基準、東豆川市の人口の18.4%が老人で [2] 、 ここの平均年齢は43.7歳であり、京畿道の平均より3.4歳高い。 都市の二極化も進んだ。 東豆川市紙杏洞を中心として新市街地のアパート村ができて、 相対的に経済力がある住民は新市街地へと引っ越した。 衰退した旧市街地に残った人々は、相変らず貧しい人々だった。 東豆川で文化運動をしているイ・ギョンニョル活動家は 「紙杏洞と、それ以外の町の間の経済的格差は非常に大きく、 特に所得水準が低い町で暮らす住民たちは経済的、文化的な孤立を味わっている」と説明した。

こうした状況で、女性たちの暮らしも良くなる兆しが見えない。 東豆川市が昨年発行した「社会調査報告書」によれば、 この都市の月平均世帯総所得は100万ウォン未満が27.3%で最も多かった。 2017年の全国月平均世帯所得は100〜200万ウォン未満が23.7%、 200〜300万ウォン未満が19.2%、100万ウォン未満が18.4%の水準だ。 そして東豆川市で月平均所得が100万ウォン以下の女性の割合は51.3%で、 男性(17.2%)に対して3倍高かった。 住宅所有形態も、自分の家を所有している人のうち、男性の割合は77.2%だったが、 女性は22.8%に終わった。 移住の計画がある住民のうち、経済的な都合で移住を計画している女性の割合は23.9%だったが、男性は6.9%に過ぎなかった。 暮らしに満足しているという応答は男性(37.7%)が女性(33.6%)より4%ほど高かった。

▲トッコリマウルに建設されたLNG複合火力発電所[出処:ワーカーズ取材チーム]

そして排除された移住女性の都市

それと共に、この都市はまた排除された女性で満たされた。 以前はほとんどが韓国人だった基地村の性労働者は、 フィリピン、ロシアなどの外国人女性に変わった。 彼らは仲介業者からE-6(芸術興行)ビザの発行を受け、遊興店舗で働く。 2018年基準、東豆川に居住する登録外国人女性は1358人で、 彼女らの23.12%(341人)はE-6ビザを発行されていた。 同じビザで入ってきた外国人男性は15人に過ぎなかった。

米軍の規模が縮小されて商圏が没落しても、 相変らず米軍と内国人を対象とする性売買店は盛業中だ。 東豆川中央駅に近い「ヤンキー市場」の一帯には、 青少年24時間出入禁止区域が存在する。 路地のあちこちにかけられたブラインドは、 50年間続いた東豆川の過去であり、現在でもある。 米軍部隊がある保山洞と光岩洞(トッコリマウル)をはじめ、 センヨン洞などでも多くのクラブが健在だ。

戦争や政治的迫害などを避けて韓国から脱出した難民も、 東豆川に落ち着いた。 彼らは衰退した都市である東豆川市保山洞の空き家に入った。 安い費用で住居問題を解決できるからだ。 イ・ギョンニョル活動家は 「保山洞周辺には難民が多い。 米軍が撤収して空き家になったところに安い家賃で住んでいる」とし 「韓国に到着したばかりの難民に、バスやタクシーの運転手が東豆川を推薦することも多いと聞いた」と伝えた。 現在、保山洞には約700人の難民が居住しているという。

難民たちは、ここでまた新しい差別と排除を経験する。 昨年9月、東豆川にカトリック難民センターが建設される予定だったが、 住民の反対にぶつかった。 住民たちはただでさえ衰退した町に難民施設ができると 地域経済がさらに萎縮すると主張した。 結局、カトリック議政府教区は東豆川市保山洞の「カトリック難民センター」の開所を無期限延期した。 当時、議政府教区は立場文で 「センターの運営に反対する住民の気持ちと憂慮を理解」するとしつつ、 「移住民の中には避けられない理由で故郷を離れ、 生きるためにやってきた難民申請者がいる。 彼らは私たちにとって威嚇になる存在ではない」と明らかにした。[3]

▲トッコリマウルの遊興酒屋と各種クラブら[出処:ワーカーズ取材チーム]

[1] 土と記憶:東豆川トッコリマウルと共同体アーカイブ、京畿文化財団北部文化事業団、2017

[2] 2019年基準京畿道の老人人口構成費は11.9%だ。

[3] 東豆川『カトリック難民センター』開所延期、なぜ?、カトリックニュース・チグムヨギ、2019.9.18

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-03-31 09:12:42 / Last modified on 2020-04-04 12:49:40 Copyright: Default

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