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MB国家情報院、「全教組法外労組」を企画...保守団体に2億支援

[MB国家情報院労組破壊捜査記録分析(2)]保守団体に全教組資料を渡して弁護士選任まで支援

パク・タソル記者 2020.05.12 22:00

[編集者 注]李明博政権の時、青瓦台と国家情報院、雇用労働部は 大々的な労組破壊工作を繰り広げた。 保守団体とマスコミ、大企業および関係機関なども、多様な方式で労組破壊に加担した。 チャムセサンは李明博政権の国家情報院労組破壊事件に関する検察の捜査資料を入手した。 証拠記録だけで7296ページ、公判記録は1501ページに達する。 これらの資料には、国家機構が民主労総をはじめとする民主労組事業場、 さらに韓国の労働運動陣営をどう破壊しようとしたのかの 具体的な証拠が含まれている。 MB政権と国家情報院の労組破壊事件が起きて10年。 だが相変らず被害事業場と労働者の回復は遅い。 チャムセサンは捜査資料分析を通じ、 国家機構がいかに労組破壊を企画したのかを10回にわたり報道する。

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元世勲(ウォン・セフン)元国家情報院長の全教組清算意志は格別だった。 元世勲院長は 民主労総、全国公務員労働組合、全国教職員労働組合を真っ先に清算すべき 「3大従北勢力」に選んだ。 そのうちでも「全教組が最大の問題」とし、 全教組を無力化するための支援を惜しまなかった。 今回公開された元院長の捜査記録には、 全教組を弾圧するために保守団体に散布された国家情報院の資金と、 今まで疑惑だけだった国家情報院の全教組法外労組化計画が 具体的な証拠と一緒にあらわれた。

元世勲が国家情報院長に赴任した後、 2010年から2011年まで全教組を弾圧するために保守団体に支払われた金は2億余ウォンにのぼる。 今まで1億7000万ウォンほどを支払ったと言われているが、 元世勲元国家情報院長の 特定犯罪加重処罰などに関する法律違反(国庫など損失)の容疑を捜査した ソウル中央地方検察庁の証拠記録によれば、 4団体に対する約3000万ウォンの支援が追加で明らかになった。 合計8つの保守・学父母団体が2年間に 全教組の組合員の告発と、全教組に対する 集会・デモ、全教組退出世論造成イベントなどを開き、 国家情報院から2億640万ウォンを受けた。

8つの団体の中で最も多くの支援金を受け取った団体は 「教育と学校のための学父母連合」(代表キム・スンヒ、教学連)で、 総額7600万ウォンの支援金を受け取った。 この団体は8回にわたり、各種の全教組中傷事業を繰り広げた。 代表的には、彼らは2011年5月頃、国家情報院から3千万ウォンの予算を受け取り、 全教組加入教師6万人ほどを対象として 全教組の実体暴露および脱退勧誘書簡を個別発送した。 全教組の組合員全体を対象にした事件だけに、国家情報院が深く関与した。

全教組組合員6万人に配られた全教組脱退推奨書簡、国家情報院が主導した

2017年に国家情報院積弊清算作業チーム(TF)の調査結果が出てきたが、 それまでに教学連書簡発送事件で国家情報院が予算を支援したのかどうかは疑惑として残っていた。 だが検察庁の捜査資料によれば、 国家情報院は教学連の書簡発送費用3千万ウォンを支援し、 書簡発送以後に教学連が全教組から告訴・告発されると、 弁護士選任費用1000万ウォンを追加で支援したと発表された。

▲2011年7月20日国家情報院が作成した〈『全教組』脱退勧誘書簡発送関連後続対応計画〉

2011年7月20日に作成された 「『全教組』脱退勧誘書簡発送関連後続対応計画」によれば、 国家情報院は教学連の法的対応を助けた。 教総の弁護士から「書簡発送が法的に問題にならない」という意見を受けて、 教総弁護士選任料500万ウォンを支援した。 合わせて教学連が全教組に対し誣告罪で相互告訴を推進させる計画もたてた。

国家情報院は、教学連のデモと言論対応計画もたてた。 全教組本部の前で「全教組の学父母団体圧迫」に抗議する1人デモを行い、 団体が発行する新聞に「全教組糾弾企画記事」を掲載し、 報道機関を対象に報道資料を配布することなどを企画した。

翌年1月18日、ソウル中央地法は教学連が全教組に1100万ウォンの損害賠償を支払えという判決を下した。 すると国家情報院は教学連側に1人プラカードデモの費用(5日間1日3時間、1人当り30万ウォン)を支援し、 中央地法正門の前で判決糾弾 1人デモをするよう注文した。

元世勲元院長は検察の調査で 全教組脱退推奨書簡事件について 「国家情報院長が知ることができる事項ではない」と明らかにした。 だが他の国家情報院の関係者は院長が直接承認したと証言した。 イ・ジョンミョン元国家情報院3次長も 全教組加入教師約6万人に書簡を発送させたのは 院長など上層部線の事前承認がなければできないと明らかにした。

イ・ジョンミョンは検察の調書で 「6万余人にのぼる全教組加入教師たちの人的事項、住所などを あらかじめ確保しなければならないが、 心理戦団だけではこれを確保するのが難しいと考えられ、 国内情報パートの助けを受けなければ可能ではなかった」とし 「院長の方針または指示により院全体が遂行した」と証言した。

先頭で全教組を困らせた教学連は、2011年12月26日、国家情報院から 「特別激励次元支援金」900万ウォンを受け取った。

この他に権寧海(クォン・ヨンヘ)元国防部長官で元安全企画部長が代表をしていた「未来韓国国民連合」も、 2011年に国家情報院から1900万ウォンの支援を受けた。 国家情報院は「全教組活動基盤弱化および教育環境健全化による 国家アイデンティティ確立強化目的」という事業名で、 元世勲の決裁を受けて確保した事業費を 権寧海代表に支給した。 権代表はその後、大統領弾劾棄却のための国民総決起運動本部(弾棄国)の代表になるなど、 極右的な動きを続けた。

保守団体格別国家情報院事業と支援金

  1. 教育と学校のための学父母連合(代表キム・スンヒ)

    (1) 2011.4.全教組退出世論拡散ための1人デモ(500万ウォン)

    (2) 2011.5.全教組加入教師6万余人に脱退勧誘書簡発送(3000万ウォン)

    (3) 2011.5.東亜日報・文化日報に全教組非難時局広告(1100万ウォン)

    (4) 2011.5.全教組批判街頭イベント(500万ウォン)

    (5) 2011.6.全教組従北実体暴露1人リレーデモ(350万ウォン)

    (6) 2011.8.全教組に対する法的対応(500万ウォン)

    (7) 2011.12.特別激励支援金(900万ウォン)

    (8) 2012.2.16.全教組相手法的対応持続(750万ウォン)

    (計) 7600万ウォン

  2. 反国家教育清算国民連合(代表イ・ゲソン)

    (1) 2010.2.全教組組合員民主労働党加入糾弾記者会見および時局広告(1000万ウォン)

    (2) 2010.4.ソウル地域学校の前で1人リレーデモ(500万ウォン)

    (3) 2010.7.左派教育監および全教組所属教師5人検察告発(200万ウォン)

    (4) 2011.5.全教組批判街頭イベント(500万ウォン)

    (計) 2200万ウォン

  3. 公教育生かす学父母連合(代表イ・ギョンジャ)

    (1) 2010.9.14.全教組実体暴露学父母懇談会(60万ウォン)

    (2) 2010.10.8.無償給食糾弾時局広告(1250万ウォン)

    (計) 1310万ウォン

  4. 現代史フォーラム(代表イ・ソンギョ)

    (1) 2010.4.全教組退出世論拡散ための全国巡回講演会および救国祈祷会(合計8回にわたり5000万ウォン)

  5. 学校を愛する学父母連合(代表チェ・ミスク)

    (1) 2010.11.政治参加全教組教師重懲戒要求記者会見(100万ウォン)

    (2) 2011.3.全教組政治活動許容憲法訴願を糾弾する街頭集会(100万ウォン)

    (3) 2011.3.左派教育監およびポピュリズム教育批判する学父母討論会(300万ウォン)

    (計) 500万ウォン

  6. 未来韓国国民連合(代表権寧海)

    (1) 2011.1.全教組活動基盤弱化活動(1900万ウォン)

  7. 自由民主主義守護連合(代表チョ・ヨンファン)

    (1) 2011.1.全教組活動基盤弱化活動(1100万ウォン)

  8. 韓国青少年未来リーダー連合(クァク・ドフン)

    (1) 2011.5.全教組左偏向教育事例収集青少年セミナー(200万ウォン)

    (2) 2011.12全教組左偏向糾弾ビラ製作および配布(830万ウォン)

    (計) 1030万ウォン

=〉8団体総額2億640万ウォン

国家情報院は教科研をはじめとする8つの団体に2010.2.19.〜2012.2.16.まで 合計29回にわたり、各種のオフライン活動を展開するように指示した。 教育と学校のための学父母連合(代表キム・スンヒ)、 反国家教育清算国民連合(代表イ・ゲソン)、 公教育生かす学父母連合(代表イ・ギョンジャ)、 現代史フォーラム(代表イ・ソンギョ)、 学校を愛する学父母の会(代表チェ・ミスク)、 未来韓国国民連合(代表権寧海)、 自由民主主義守護連合(代表チョ・ヨンファン)、 韓国青少年未来リーダー連合(代表クァク・ドフン)だ。

保守団体はどう動いたのか

元院長の全教組清算の意志により、 国家情報院2次長傘下国益戦略室(7局)と国益情報局(8局)、 3次長傘下心理戦団が役割を分担し、全教組失脚工作に出た。

国益情報局内社会1処が所属情報担当官(Intelligence Officer、以下IO)を通じ、 全教組の動向を収集した。 国益戦略室は国益情報局から渡された情報と独自の収集情報などを分析し、 全教組を全方向から圧迫する戦略報告書を作成した。 「全教組法外労組化措置」(2010.9.14.)等の文書だ。 この報告書は、青瓦台、国家情報院長などに報告された後、 国家情報院の実行部署に渡された。

実際の実行は、国益情報局所属IOと心理戦団防御チーム、 または安保チーム所属の職員の役割だった。 心理戦団防御チームの職員は、水面下で保守団体代表と会った。 元世勲元院長をはじめ 上層部線では防御チームに具体的対応方案を直接指示した。

国益情報局社会3処の課長バン・ソンウクは 「上層部線で防御チームに指示をする時、 特定の事案について糾弾集会を開催したり時局広告を掲載しろという形だった」とし 「ただし、どんな団体を活用して糾弾集会開催や時局広告掲載をするのかは、 防御チーム内で協議して決定した」と明らかにした。

青瓦台まで上がった全教組弾圧戦略報告書

国家情報院は全教組瓦解のために青瓦台、労働部などと緊密に連係した。 国家情報院国益戦略室が生産した全教組弾圧戦略報告書は、 青瓦台上層部線と共有された。 国家情報院が設計した弾圧戦略は、 労働部や教科部(教育科学技術部)との協力が必要だった。 国家情報院の労組破壊事件を捜査した検事も捜査記録で 「青瓦台・国家情報院・雇用部で民労総、全教組を牽制し、 彼らの強硬な闘争活動に対応する方案を模索することについて事前の 交感が十分に行われたと見られる」と明らかにしている。

[出処:チャムセサン資料写真]

すでに7年目になる全教組の法外労組の歴史は国家情報院の計画でもある。 労働部は3回の是正命令(2010年3月、2012年9月、2013年9月)後、 2013年10月24日、全教組に法外労組を公式に通知した。 この最初の是正命令は、労働部が国家情報院に提言した。

国家情報院が検察に提出した捜査参考資料によれば、 2010年1月22日、国家情報院は青瓦台に 「解職者労組加入を認める全教組規約を理由とする不法団体化を積極的に検討しなければならない」と提言した。 労働部の1次是正命令直前の事だ。

同時に国家情報院は学校を愛する学父母の会(代表チェ・ミスク)を通じて 全教組批判世論を造成した。 このような形で国家情報院は全教組の法外労組化のための名分作りにも集中した。

一方、国益戦略室が生産し、青瓦台まで上げられた労組破壊報告書9件のうち、 全教組に関する文書は3件だ。 すべて2010年に作成され、 「全教組の組織不法団体化回避戦術早期無力化」(2010.9.14.)、 「全教組指導部選挙戦網および考慮事項」(2010.11.25.)、 「全教組委員長選挙結果および今後の闘争の展望」(2010.12.13.)という題名の文書だ。

最初の文書は法外労組1次是正命令以後の全教組の闘争計画などが出ている。 この文書は元院長の最終承認を経て、 大統領室長、政策室長、民政・広報・雇用福祉・教育文化首席にも配布された。

この文書で国家情報院は 「今回の『不法団体転換』推進が全教組のゆがんだ態度を正す機会なので、 組織死守闘争および回復戦術に巻き込まれないように緻密に対応」しろと注文した。

▲2010年9月14日国家情報院が作成した〈全教組の組織不法団体化回避戦術早期無力化〉

合わせて労働部、教科部などの政府部署と協力して 民主労働党加入全教組組合員懲戒、2次是正命令発表を企画した。 法外労組化されると全教組が主管する集会に参加した組合員を教育庁が重懲戒しろという指示もある。 事務室補助金を回収するなど、資金源を圧迫する具体的計画まで樹立した。

院長様の重要な言葉、全教組、懲戒、不法労組化、支援金遮断

検察調査員の国家情報院職員は 「元世勲院長が モーニングブリーフィング会議での発言のうち20〜30%が 全教組、全公務員労組、民労総に関する発言だった」と証言した。 実際に元院長は2009年2月の赴任以後、 全部署長会議、モーニングブリーフィングなど、 機会があるたびに従北清算を強調して「全教組無力化」を指示した。

こうした全教組への嫌悪と反感は、具体的な弾圧指示につながった。 2010年12月17日、国家情報院の全部署長会議録によれば、 元院長は全教組無力化のための3種類の方法を注文した。 民主労働党に加入したりデモに行く組合員の懲戒、 法外労組通知による全教組の不法労組化、全教組に対する支援金中断だ。

「全教組の教師に対する懲戒をはやく確定しなければなりません。 (教員労組法による解雇者組合員問題を)はやく是正しなければ、 不法団体でもうあんなことも出来ないように…(中略) 私たちの報酬でこの会費(全教組組合費)のようなことに 使われないようにすれば、さらにはやく瓦解するでしょう。」

「ソウル駅での民労総イベントを明日することにしたんですか? 教科部や教育庁に行ってデモをする人を懲戒して、 こういう方法で休めないようにすれば良い。 国家情報院の職員がやっても証拠にならないから、 教科部とか、教育庁の監査室の職員を行かせて、 採証して、措置するようにして。 ちょっと一つでも細かくしてほしいと考えます。」 (2010年12月17日前部署長会議)

元院長はこの会議で 「全教組で民主労働党に加入した教師の処罰問題もまだ解決していない」と 職員に全教組組合員の懲戒業務を圧迫した。 国家情報院の正当な業務範囲を抜け出した越権指示であることを認知した職員が躊躇する姿を見せると 「なぜ顔色をうかがうのか?」と職員を叱責した。

翌年にも全教組に対する注文は似ていた。 元院長は2011年1月6日、3大清算の対象として 「全教組、民労総、全公務員労組」を強調し、 「今年は従北勢力の清算に力を入れなければならない」と明らかにした。 そしてその年の1月12日のモーニングブリーフィングでは 「全教組を全公務員労組のように不法化させて、 補助金、組合費遮断等によりまともに活動できないようにしなければならない」 とまた強調した。

このように国家情報院が不法に全教組弾圧を主導した事実があらわれたが、 法外労組問題は現在も解決していない。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領も候補時代に全教組の法外労組取り消しを約束したが、 就任3年経った現在も政府は立法府と司法府に押し付けて問題解決に動かずにいる。

全教組が提起した法外労組処分取り消し行政訴訟は大法院で4年間係留中だ。 1、2審は全教組が敗訴した。 大法院は5月20日、この事件に対する全員合議体公開弁論を開く予定だ。 全教組は5月6日に大法院の前で記者会見を行って 「積弊勢力が破壊した司法の正義を立て直さなければならない時」とし 「大法院が早く正しい判決を出さなければならない」と要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-05-28 08:06:11 / Last modified on 2020-05-28 08:07:46 Copyright: Default

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