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MB国家情報院作成労組破壊文書176件あらわれる

[MB国家情報院労組破壊捜査記録分析(1)]労組組織率上昇抑制計画も

ユン・ジヨン記者 2020.05.12 20:25

[編集者 注]李明博政権の時、青瓦台と国家情報院、雇用労働部は 大々的な労組破壊工作を繰り広げた。 保守団体とマスコミ、大企業および関係機関なども、多様な方式で労組破壊に加担した。 チャムセサンは李明博政権の国家情報院労組破壊事件に関する検察の捜査資料を入手した。 証拠記録だけで7296ページ、公判記録は1501ページに達する。 これらの資料には、国家機構が民主労総をはじめとする民主労組事業場、 さらに韓国の労働運動陣営をどう破壊しようとしたのかの 具体的な証拠が含まれている。 MB政権と国家情報院の労組破壊事件が起きて10年。 だが相変らず被害事業場と労働者の回復は遅い。 チャムセサンは捜査資料分析を通じ、 国家機構がいかに労組破壊を企画したのかを10回にわたり報道する。

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李明博(イ・ミョンバク)政権の時期に、 国家情報院と青瓦台が数百件の文書を共有し、 民主労総瓦解作業に動いたことと明らかになった。 彼らは事業場ごとの民主労総脱退作業をはじめ、 民主労総を孤立させる世論作業、第3労総設立など、 労組破壊のための広範囲な計画をたてた。 雇用労働部も第3労総の設立を支援して、二大労総の牽制と無力化を試みた。

「国家情報院労組破壊工作」関連のソウル中央地方検察庁の捜査資料によれば、 国家情報院は李明博政権の時期の 2010年2月から2010年12月までに合計176件の労組破壊文書を作成し、 青瓦台の社会首席室に渡した。 該当文書は民主労総の対政府闘争をはじめ、 産別労組、単位事業場労組の闘争を無力化する内容で構成されている。

民主労総、公共、金属、単位事業場まで闘争無力化文書作成

国家情報院は2010年2月、鉄道労組をはじめ公共部門の労働組合の闘争を無力化するための方針をたてた。 該当時期に国家情報院は 「鉄道労組民労総間協調活動強化に綿密対処」、 「公共部門労組幹部迅速司法処理で闘争無力化」、 「民労総の全国港湾タグボート労組結成企画源泉封鎖」 などの文書を作成し、青瓦台に渡した。

▲国家情報院が2010年2月から2010年12月まで青瓦台社会首席室に渡した労組破壊文書

同じ時期に、単位事業場闘争に対する対応指針も用意した。 国家情報院は「(株)ヴァレオ労組闘争制御で外国人投資環境悪化防止」の文書で ヴァレオ労組闘争に介入した。 当時、フランスに本社をおくヴァレオ資本は、 ヴァレオ空調コリア、天安工場を撤収し、 整理解雇とアウトソーシングを強行して労使の対立を呼んだ。

民主労総を瓦解・無力化して組織事業を遮断する計画もたてた。 国家情報院は「重工業労組の脱民労総契機闘争戦列瓦解加速化」、 「貨物連帯の組織力再建動き先制制圧」(3月)、 「現代起亜車労組の民労総全面ストライキ参加企画封鎖」(4月)、 「金属労組の闘争無力化次元起亜車労組管理倍加」(6月)、 「民労総のサムスンなど大企業下請企業対象勢力糾合無力化」、 「完成車労組の無争議妥結浮上で民労総闘争無力化」(7月)、 「民労総の学校期間制勤労者組織化企画遮断」(11月)といった文書を作成した。 6月には「金属労組幹部のモラルハザードを闘争無力化に活用」という計画もたてた。

民主労総労組法再改正闘争に「警察、経済人総連、労働部、言論」等対応指針

該当期間に青瓦台が受け取った176件の文書のうち9件は、 国家情報院国益戦略室が作成した報告書だ。 国益戦略室は国家情報院2次長傘下の情報部署の一つで、 収集された諜報を分析して報告書を作成し、青瓦台に配布する部署だ。 国益戦略室は2010年3月9日、青瓦台に 「民労総の改正労組法無力化総力闘争早期制御」 という題名の文書を渡した。 ここには当時、民主労総の労組法再改正闘争を無力化させる 警察-経済人総連-労働部-保守言論および団体の対応計画が含まれている。 その年の1月1日とメーデーの未明、 国会がタイムオフ制(有給勤労時間免除限度)をかっぱらい通過させ、 民主労総は労組法再改正闘争を展開した。

▲国家情報院国益戦略室が作成して、青瓦台に報告した労組破壊文書

該当文書には、 △警察は民主労総の都心集会を認めず、 不法な集会を強行すれば主導者を即刻検挙して闘争の鋭鋒を制圧、 △経済人総連は合法的争議を逸脱するストライキに対しては 業務妨害で司法処理するように周知、 個別企業労組の闘争参加遮断、 △労働部はタイムオフ総量決定タイムリミットを超えれば 地方選挙を控えて政治的負担が加重されるため(韓国)労総を促すなどにより、 議事日程厳守、 △健全言論、市民団体を通じ現代重工労組など、自発的な専従者縮小をした 健全労組の動きを浮上させ、 民労総が国民から孤立するように誘導するなどの計画が含まれていた。

その年の7月に作成された 「民労総の下半期闘争無力化で労使関係先進化定着」文書も 総理室と雇用部、警察、財政部、福祉部、経済人総連など関連機関の対応指針を含んでいる。 国家情報院は該当文書で総理室に 「タイムオフ制関連の労使代理戦をしている起亜車経営陣に対し、 安定感の付与とともに最後まで原則対応を堅持するよう要請」してほしいと要請した。 経済人総連には 「会員社に『専従者関連要求一切拒絶」、 「ストライキ時に法処置および無労働無賃金確行」 などの指針を繰り返し注文」するべきだと明らかにした。

▲2010年8月国家情報院国益戦略室が作成した『タイムオフ裏面合意摘発のための実効的対策工夫』文書

8月には「タイムオフ裏面合意摘発のための実効的対策工夫」の文書で 「起亜車などタイムオフ制成否の照準になる核心事業場を選別し、 ベテラン勤労監督官派遣および会計実態調査など監督力量を集中」し、 「主要言論対象では貴族労組などの過多専従者の実状、 不条理および労組内政派間の争いなどの逸脱行為を企画報道、 対国民批判世論造成」の計画をたてた。

「労組組織率が増加すれば産業現場の安定を阻害」
労組組織率の増加抑制計画もたてて

2011年7月の複数労組施行を控えて、 二大労総の組織拡大事業を無力化させる計画をたてた。 労組組織率の増加が産業現場の安定を阻害するという理由からだ。

国家情報院国益戦略室は2010年8月に作成した 「両労総の複数労組許容を狙い勢力競争に綿密対処」の文書で 翌年7月の複数労組許容を控えて 韓国労総と民主労総が組織化作業を本格化していると分析した。 当時、国内の労組組の織率が急落しているという点も拠論した。 「わが国の労組組織率は19.8%(89年)を起点として 2007年には10.8%から2009年に10.1%と急減」したという。

▲2010年8月国家情報院国益戦略室が作成した「両労総の複数労組許容狙い勢力競争に綿密対処」文書

それと共に 「二大労総間の『勢力競争』を放置すると 労組組織率の増加で産業現場安定阻害が憂慮」されるとし、 労組組織率の上昇を抑制する計画をたてた。 まず経済人総連には 「低い労組組織率で安定的な労使関係を続けている先進国(米国12%、フランス8%)の事例などを集中的に浮上させ、労総側の主張を一蹴」しろと注文した。 合わせて会員社にも両労総の組織化推進動向を知らせ、 「注意人物」への集中純化活動を強化し、組織侵入連結の輪を遮断することを要求した。

またマスコミには 「勤労条件の改善などは度外視して『勢力伸長』だけに没頭する両労総に対する 非難の世論造成、現場内の同調の雰囲気を事前に制御」する計画を用意した。

「青瓦台と国家情報院は国政運営に関する事案を全般的に共有した」

民主労総関連文書の作成を担当した国家情報院国益戦略室分析官のチェ某氏は、 検察の調査で 「元世勲(ウォン・セフン)(国家情報院)院長から 民労総勢力悪化などの関連報告書を作成しろという指示が降りてきたので、 われわれ分析官はそれによって関連報告書を作成した」と述べた。

国家情報院の労組破壊文書が青瓦台の指示に従ったという陳述も出てきた。 青瓦台が大統領が主宰する首席秘書官級会議の資料を国家情報院に送れば、 これを基盤として情報を収集し、報告書を作成するということだ。 もうひとりの国益戦略室分析官、キム某氏は検察の調査で 「(首席秘書官級会議資料の)中には国家情報院が把握できない内容が含まれることがある」とし 「所長級以上が会議資料を回覧した後、 分析官にそれに関する報告書を作成しろと指示することになる」と明らかにした。

続いて「青瓦台と国家情報院ではそうした一連の過程を通じ、 国政運営に関する事案を全般的に共有する構造」とし 「われわれ分析官は青瓦台報告書を作成する前に 青瓦台がどんな内容を望むのかをあらかじめ知ることができ、 その方向に合わせて作成する」と説明した。

元世勲元国家情報院長は、 在任期間に内部会議で数回民主労総を瓦解ないし無力化させろという指示を与えた。 全部署長会議では「(国家)アイデンティティ確立を目的に民労総圧迫、 多くの団体が離脱させる必要がある」(2008.8.24)、 情報処長会議では「民労総の瓦解を急ぎ、第3労総の設立支援を通じ、 中間地帯を拡張さてこれまで民労総など従北左派勢力の立地縮小を試みる」(2011.3.14)等の発言をした。

2011年1月に国家情報院が作成した大統領業務報告には 「国家アイデンティティ毀損3大勢力瓦解に全力」をつくすという内容が含まれている。 ここで示す3大勢力は、民主労総と全教組、公務員労組だ。 元世勲元院長は 民主労総、全教組、公務員労組を無力化するために、 (1))関連機関の協力と労組関係者の直接説得、 (2)労組委員長の選挙の時に穏健候補の当選を支援した後、民労総脱退説得、 (3)保守団体(民主労総改革連帯)の活用 (4)国民労総(第3労総)設立支援などの活動を繰り広げた。

検察庁が確保した国家情報院文書には2009〜2011年に民主労総の内部情報とともに 「(国家情報院は)民労総の理念・強硬闘争路線に嫌気がさした労組を対象に 脱退の可能性を診断。可能性がある会社を中心に脱退事業を進行」 するという計画が含まれている。 検察の調査によれば、特に国家情報院の労組破壊活動のうち 「関連機関の協力および労組関係者直接説得」、 「労組委員長の選挙の時に穏健候補の当選を支援した後、民労総脱退説得」、 「国民労総(第3労総)設立支援」は雇用労働部が直接関与したことが明らかになった。

▲国家情報院で検察庁に送付した捜査参考資料文書

2011年4月26日に雇用労働部が作成し、青瓦台に渡した 「最近の労使関係の動向および対応方向」の文書では、 労働界の労組法再改正闘争に関して 「合理的労働運動勢力の支援を通した両労総牽制強化」の計画が含まれている。 合理的産別連盟の委員長との面談等を通じて執行部に同調することを遮断し、 反執行部勢力を結集して第3労総(国民労総)の公式な発足を支援するということだ。 そのために雇用労働部が 「韓国労総内の自動車、逓信、電力、港湾運送労組と随時面談、 民主労総保健医療労組との面談」を進める計画をたてた。

▲2011年4月16日に雇用労働部が作成した『最近労使関係動向および対応方向』文書

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-05-28 07:55:43 / Last modified on 2020-05-28 08:08:57 Copyright: Default

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