本文の先頭へ
LNJ Logo (9)退出の悪夢に自殺の衝動まで、コールセンター労働者
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 09
Status: published
View


苦痛も競争の道具に転落したコールセンター相談員

[監視統制、崖っぷちの感情労働者](9)退出の悪夢に自殺の衝動まで、コールセンター労働者

ムン・ジュヒョン チャムソリ記者 2013.11.21 15:27

ソウル市120タサン・コールセンターの委託業者で2年間、相談員として働くA氏 は、ある市民から最近、7号線のラインにある某ファストフード会社のすべての 支店の位置を案内してほしいという電話を受けた。そのため、30分近く、該当 ファストフード会社の住所を検索し、案内した後に通話を終えた。すると、 しばらくしてその市民はまた電話をかけて、7号線ラインにある別のファスト フード会社のすべての支店の位置を問い合わせてきた。

そのためA氏はある管理者に悪性登録の要請のために報告したが、「君の運だと 思え」というとんでもない答を聞いた。そして数日後、その市民が似た内容の 問い合わせをするためと思われる電話をかけてきた。この電話と共に管理者が 作成したメッセージに伝えられた。A氏が管理者から受けたメッセージの内容は 「生活情報の苦情だから悪性登録せずに親切に応対しろ」だった。

「会社の圧迫がコールセンター相談員をさらに疲れさせる」

コールセンター相談員は韓国社会での代表的な感情労働者の一つだ。コールセ ンター相談業務では、顧客のさまざまな無理な要求と暴言と暴行、セクハラな どが多いのはよく知られている事実だ。国会環境労働委員会所属の韓明淑(ハン・ ミョンスク)民主党議員と労働環境健康研究所が8月から9月の一か月間行った 「感情労働者健康実態調査」の結果によればコールセンター相談員、デパート 販売員などの感情労働者は、10人のうち3人の割合で「性的被害」の経験がある ことが明らかになった。また、暴言や人格冒涜発言は、10人のうち8人以上に 経験があることが明らかになった。

だから、労働者の保護手段が切実に必要とされる職業がコールセンター相談員 のような感情労働者だ。しかし会社はコールセンター相談員を保護せず労働者 に加えられる不当な暴力に対し、自ら勝ち抜いたり耐えるように圧力をかける。 相談員A氏の例はこれを示す代表的な例だ。特に業務実績が成果に反映され、 これからの契約に反映することが多いため、相談員A氏のようなコールセンター 相談員は苦しい感情労働にも耐え抜かなければならない。

10月22日「コールセンター労働者の労働人権保障のための共同キャンペーン団」 と韓明淑国会議員が共催したソウル市の120タサン・コールセンター労働問題に ついての討論会で、韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン研究委員は「タサン・ コールセンターの場合、業務遂行の過程で顧客から不満による人事上の直間接的 な不利益を受けていることが明らかになった」と話した。キム委員が明らかにした 不利益は、部署/チームの強制転換配置、人事考課の不利益、成果給の不利益、 罰則適用、公開のいじめなどがあった。

またキム委員によれば、タサン・コールセンターは労組を設立する前まで毎週、 毎月、分期別の応対率と処理率、苦情などの事項により、各業者別の相談イン センティブが反映される競争構造体制だった。現在も相談員は評価システム(S〜 D等級)により成果給の形で賃金を受け取る。こうした理由でコールセンターの 相談員は顧客の無理な要求や暴言などの暴力への対応を難しくしている。

[出処:チャムセサン資料写真]

「日常的な監視、一日一日が地獄のようだ」

ウォンジン緑色病院付設労働環境研究所のイム・サンヒョク所長は、「自分の 状態とは無関係にとかにく親切でなければならないというのがコールセンター のような感情労働の根本的な問題だが、ストレスを受けている自分を上級者と 会社がさらに疲れさせていることが大きな問題」と指摘する。

会社の日常的な監視と統制、業務実績による賃金差別まで、感情労働がさらに 苦しいのは、こうしたことから出発する。希望連帯労組タサン・コールセンター 支部のキム・ヨンア支部長は「管理者は座りながら相談員がトイレに行ったか、 主に誰と同じ時間に喫煙をしに行くのか、苦情を受け付けているか、何人と何 秒間通話をしているのか、リアルタイムで確認している」とし「働いている間、 秒単位で監視されて、他の人より仕事が少なければすぐ月給が下がるので、 コールセンター労働者は息が詰まるような無限競争をしている」と話した。

これによりコールセンターの労働者たちは鬱病などの疾患で苦痛を訴えたりも する。実態調査で296人のコールセンター相談員のうち100人が自殺の衝動を感 じたことがあり、191人が鬱病を体験したと答えた。会社の監視と統制が激しい ということは、それだけ悪い労働条件で利益を拡大しようとする企業の欲から 始まる。そしてその苦痛はすべて相談員が負担する。

2年目の相談員A氏も「感情なく相談すれば、感情がこもっていないと評価が下 がり、感情がこもった相談をすれば感情に巻きこまれる。基準のない定規で首 が締められるようで、一日一日が地獄だ」とし「朝、目を開くと会社に行くのが とても恐ろしい。子供があって、家庭があるので辞められないが、いつも内心 では泣いている」と話した。

間接雇用と低費用により、多くの公共機関のコールセンターを受注しようとす るアウトソーシング専門業者が増えている。コールセンター業務をアウトソー シングした機関は7639か所のうち84%にあたる6440か所だと把握されている。 年間約15兆ウォンと把握されるコールセンター市場は、メジャーの会社でも3% しか占有できないほど多くの中小企業が競争している構図だ。そのために今も コールセンター相談員の苦痛は企業の競争の道具に転落している。

この企画はニュースミン、ニュースセル、メディア忠清、蔚山ジャーナル、チャムセサン、チャムソリの共同企画です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-22 00:54:02 / Last modified on 2013-11-22 00:54:50 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について