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米国MeToo運動3年…2人の性犯罪者のどちらを選ぶか

[イシュー]民主党大統領候補の性暴力容疑、そしてジェンダー地図を変える女性労働者たち

チョン・ウニ記者 2020.07.30 09:13

「私の娘にできることは果たして何でしょうか? 娘は立派な上院議員室で働いたのに辞めることになりました。 しかし何の問題も解決できなかったのです。 (それなら)報道機関にでも行かなければならないでしょうに、 娘はその議員を尊敬するから思いとどまるというのです。」

1993年、CNNの番組「ラリー・キング・ライブ」に匿名で電話をしたある中年女性の話だ。 30年近くCNNアーカイブに眠っていたこの録音が、最近米国言論に召喚された。 これはまさにジョー・バイデン米国民主党大統領候補から性暴力を受けたと提起した 元補佐官タラ・リード(Tara Reade)の主張を立証する唯一の公式記録だ。 CNNは最近、リードの母親が当時、匿名で電話をした女性の住所地である サン・ルイス・オビスポに住んでいたと報道した。 リードもこの声の主人公が自分の母親だと確認した。

2017年に米国でMeToo(#Metoo)運動が起きてから3年。 これまで米国では多くの政治家がMeToo運動の余波で辞職した。 被害者を支持するための法制度も作られた。 それでも権力のカルテルは、相変らず被害者より加害者を保護している。 そしてその被害者の1人がまさにジョー・バイデン米国民主党大統領候補から受けた 性暴力被害を公論化したタラ・リードだ。 だがフェミニストを自称してきたことや、 前副大統領は女性権向上のための自分の努力を強調して 加害の事実を否定した。 彼の周辺の人物は約束したかのように彼の側に立った。 多くの言論は沈黙し、一部の言論は被害者の粗探しをしたりゴシップ性の報道をした。 彼らはトランプに対抗する大統領選挙が目の前にあるという理由で、 ひとりの女性労働者の職場内性暴力被害を口止めしようとした。 MeToo運動の主役と、民主党と近いフェミニストは、 「被害者を信じるが、タイミングが良くない」とバイデンに票を与えようと口をそろえた。 ごく少数だけが二人の性犯罪者をめぐり、果たして誰を選ぶべきか鉢巻きをしている。

▲遊説するジョー・バイデン米国民主党大統領候補[出処:レフト ボイス]

「尊敬する」議員のために働いた女性労働者

今年で56歳のタラ・リードは、 ジョー・バイデンが上院議員に在職していた1993年、彼の補佐官として働いた。 リードは昨年の春、バイデンの性暴力容疑を提起して、 米国社会の古くからのジレンマを証言した。

リードは昨年4月4日、カリフォルニア、ネバタ、カウンティ地域の新聞 「ユニオン [1] 」に 1992年から1993年まで上院室で働いていた当時、 バイデンが「私の肩に手をのせて指を首の上に上げたりした」と暴露した。 またバイデンが自分の足が好きだから、彼が議員室のイベントで酒の面倒を見てほしいという話を聞いたとも明らかにした。 短い内容だったが、まさにリードに対するバックラッシュが始まった。 リードがロシアのプーチン大統領の工作員だという陰謀説も出てきた。 あふれるバックラッシュの中で、リードはまた沈黙した。

米国民主党大統領選挙競選キャンペーンが本格化すると、 リードは自分の沈黙について再考し始めた。 たとえ自分の人生を根から揺さぶった事件だとしても、 リードは自分の娘が生きていく世の中を考え、 オンラインでの名誉毀損にも対抗したかった。 MeToo運動の結実で設立された「タイムズアップ法律防御基金」に問い合わた結果、 支援を受けられるという諮問を受けて、勇気も得た。

結局、リードは今年の3月25日にまた事件を公論化した。 今回は胸の深くに固まっていた凝りまで口の外に押し上げた。 彼は米国のコメディアン兼作家、ケイティー・ハルパーが放送するポッドキャスト [2] に出演して、 自分がバイデンから1993年の春、国会議事堂の地下でスポーツ用カバンを渡して性暴行されたと話した。 彼は「私を壁に押しつけ、手で私を触って服の中に入れた。 そしてスカートの中に指を入れた。 そして同時にキスをした」と明らかにした。 その後、リードがバイデンを押すと、彼は戸惑った表情を浮かて 「君が私を好きだと聞いた」、「君は私にとって何でもない」と話し、 その後、バイデンは彼女の肩を抱いて「大丈夫、大丈夫」と話したと付け加えた。

リードは当時、バイデンの補佐官3人(テッド・カウフマン、デニス・トナー、 マリアン・ベーカー)に具体的な内容は明らかにしないまま、問題を訴えたと話した。 彼らが動かなかったため、上院の人事庁に書面で問題を提起した。 だがリードに戻ったのは職場内いじめだけだった。 彼はインターン管理をはじめ、自分の業務をしなければならず、 結局雇用まで失ったと主張した。

バイデンに対するMeTooが出てきたが、反響はそれほど大きくなかった。 事件を扱った言論は一部のメディアに過ぎなかった。 バイデンはすでに「最悪」のトランプと競争する民主党大統領候補になった状況だった。 バイデン側はリードの暴露から2週後の3月30日に 彼の選挙事務所の女性副マネジャーのケイト・ベディングフィールドを通して 「女性は自分の話をする権利があり、記者らはそのような主張を厳格に調査する義務がある。 われわれは言論がそうすることを薦める。 この非難は偽りだからだ」と口を開いた。 続いてベディングフィールドは4月12日、ニューヨークタイムズに 「バイデン元副大統領は、女性暴力関連の文化と法を変えるために公的な人生を捧げた」とし 「彼は画期的な女性暴力防止法を立案し、通過するように戦った。 この主張に対して明らかなことは、それは事実ではなく、 絶対に起きなかったということ」と話した。

バイデンが直接この事件に言及したのは、はるかに遅れた5月1日だった。 彼はMSNBCのモーニング・ジョーに出演して 「この事(性暴力)は絶対に起きなかった」と自分の容疑を極力否認した。 また「性暴力と性暴力の具体的な内容は複雑だが、複雑ではない2種類がある」とし 「一つは女性が尊厳と尊敬を持って待遇される資格があり、 彼女らが前に出る時は沈黙ではなく傾聴されなければならないということだ。 二つ目は彼女らの話が適切な調査と精密調査を受けなければならないということ」と 警告のような立場を明らかにした。 モーニング・ジョーの司会者はそうしたバイデンを前にして トランプが彼よりどれほど多くの性暴力容疑を受けているかを詠じまくった。

「君は何でもない」

次期大統領選挙で当選が有力な加害者と、彼の一介の職員だったある被害者。 彼らの主張について、政界と言論は明らかな語調を維持した。 力がある者は約束でもしたかのようにバイデン側に立ち、 彼らは女性運動をはじめ、市民社会の底辺の声まで取っていった。

リードがバイデンの性的いじめを訴えた補佐官3人は、 彼の主張は初耳だと手で遮った。 リードはバイデンに性暴力容疑の証拠になる人事ファイルの公開を要求した。 だがバイデンは該当ファイルは上院が管理しているとして責任を転嫁し、 上院は「重大な機密事項」だという理由で公開を拒否した。 2008年にバラク・オバマ前大統領の大統領選挙キャンプ首席補佐官だった デイヴィッド・アクセルロッドは5月2日に バイデンを副大統領に選出するための調査過程で性暴力容疑は 発見されなかったと明らかにした。

リードはタイムズアップ法律防御基金からも助けを受けられなかった。 2月にリードはこの基金を管理する国立女性法律センター(NWLC)から バイデンは連邦公職候補者で、それに対する事件を助けるのは 組織の非営利地位を危険にしかねず、支援が難しいという立場を聞いた。 この事件は取材したインターセプトの質問に対し、 NWLCのマリア・パトリック報道担当者は 「NWLCは非営利慈善団体で、選挙に立候補した候補に関する規制を含み、 資金の使用に制限がある」と答えただけだ。 タイムズアップ法律防御基金は助力を受けられる弁護士リストをリードに提供したのだが、 彼らはすべてリードの弁護依頼を断った。 インターセプトの取材の結果、タイムズアップ法的防御基金コンサルティング法人「SKDKニッカーボッカー」の常務理事の アニタ・ダンはバイデン選挙事務所の最高顧問でもあった。

MeToo運動の創設者タラナ・バークをはじめとする 自由主義フェミニストも性暴力議論を鎮めるために核心的な役割を果たした。 彼らもリードの主張を信じるが、 それでもバイデンに票を入れると明らかにした。 MeToo運動を大衆化したアリサ・ミラノや性暴力生存者のアイアナ・プレスリー議員も すべてバイデンへの支持を明らかにした。

バーニー・サンダースも競選放棄前はリードの主張を支持していたが、 その後はずっと沈黙している。 バイデン選挙運動キャンプで気候チームを率いる アレクサンドリア・オカシオ・コルテスもまた言及を避けている [3]

リードの声を真剣に報道した言論もほとんどない。 APは2019年4月リードにインタビューしたが、 彼女の主張は矛盾していて容疑を立証できないという理由で記事を出さなかった。 ワシントンポストも2019年にリードにインタビューしたが、報道しなかった。 ニューズウイークはリードになぜ性暴力疑惑を前もって提起しなかったのかと促した。 リードの背後にロシアがいるとか、彼女の私生活や学位が疑わしいとか、 彼女の一部の主張はつじつまが合わないという記事もそのまま出て行った。 バイデンの性的非行のパターンが発見されないとし、彼を露骨に擁護する報道もあった。

だがリードの同僚や知人、友人は彼女の被害の訴えを具体的と覚えていると述べ、 リードが指導したインターン2人も彼が突然仕事をやめた事実を証言した。 だがそうした証言を傾聴する言論や機関はほとんどなかった。

▲タラ・リードとジョー・バイデン[出処:インターセプト画面キャプチャー]

「職場内権力関係に関する話」

この1年間、バイデンに対して性暴力容疑を提起した女性は、 リードをはじめ8人にのぼる。 彼らはバイデンが不適切なキス、抱擁、スキンシップを試みたと述べた。 ニューヨークタイムズによれば、昨年バイデンは女性たちの問題提起を認めたが 「親切な意図だったが、さらに丁重に礼儀正しく(行動)する」と約束しただけだった。 リードはこの事件をについて 「彼(バイデン)の行動は職場内支配力についてのこと」とし 「それは性的非行ではなく、権力乱用に関する話」だと話した。 彼女はまた「私が強調したいことは、彼をかばい続けた彼の周辺の人々」とし 「私はバイデンが私の人生を揺さぶったことを認めて謝罪することを願う」と述べた。

リードを支持する有名人を見つけるのは難しい。 それでもリードが米国社会に投じたメッセージに耳を傾ける人々は少なくない。 4月30日、ボストンにあるラジオ放送、WBURで女性ジェンダー学研究者の リー・ギルモア(Leigh Gilmore)は 「タイミングが悪いのは彼の問題ではない。 私たちがするべきことは、傾聴することだ。 タラ・リードが公正に傾聴されるのに『良い』時間はない。 われわれは激しい政治的な瞬間に提起される疑惑の不適切さにどう対応するべきかを知らなければならない」と指摘した。 フェミニストで教育研究者のタチアナ・コザレリは「レフトボイス」に 「議会フェミニストはガラスの天井を破った後、 タラ・リードと共に割れたガラスを清掃する残された労働者階層女性には関心がない」とし 「いつよりも他の代案の体制が必要な時期」と明らかにした。

米国MeToo運動3年がグリーン新しいジェンダー地図

米国で性暴力加害者と指定されたジョー・バイデン元副大統領は、 特に過不足なく民主党大統領候補に選出された。 それでもこの3年間、MeToo運動が同じ場所を回っていただけではない。 性暴力被害者とフェミニスト、女性労働者は 絶えず米国社会のジェンダー地図を新しくしてきた。 特にMeToo運動は女性労働者が体験する職場内性暴力を核心問題にした。

米国ではMeToo運動以後、代表的には2017年12月に タイムズアップ法律防御基金が作られ、 合計2400万ドル(約289億ウォン)以上の募金を集めた。 この基金は助力を要請する低賃金女性労働者、社会的少数者に法的支援をするために考案された。 昨年10月基準、合計3600人以上が支援を受けた。 一例として5月にマクドナルドの女性労働者20人以上が基金支援により使用者側に訴訟を提起した。 2018年12月には米国議会が別名「MeToo議会法」を制定し、 被害者保護を強化して手続きをさらに透明に運営するようにした。 また加害者が国会議員の場合、政府が出した合意や賠償金を加え、 当事者が直接負担するようにした。 同年9月にはカリフォルニアとニューヨーク、ニュージャージーなどで 性暴力やセクハラ、性差別を含む非公開の合意を禁止した。

また、これまで連邦セクハラ法や大部分の州法は、 独立契約者の性的権利を保護しなかったが、 2018年からニューヨーク州をはじめ、 独立契約者と家事労働者の性的権利を保護する州法が作られた。 MeToo運動は最低賃金の値上げにも活気を吹き込んだ。 チップで暮らす労働者たちは、最低賃金適用を受けられず、 チップに依存する場合が多い。 そのために客の嫌がらせに耐えなければならなかったが、 MeToo以後、労働者たちは嫌がらせに耐えるのではなく、 最低賃金値上げ運動を始めた。 すでに関連法案がシカゴやマサチューセッツなどで発議された。 米国下院も昨年8月、チップで暮らす労働者の最低賃金を上げる法案を通過させた。 少なくない生存者たちが財政的補償も受けている。 職場内差別に対する民権法を管理して執行する連邦機関平等雇用機会委員会(EEOC)は、 2018年に性暴力生存者を代理して彼らの企業から7千万ドルを受けた。 この金額は2017年より47%増加した。[4]

[脚注]

[1] https://www.theunion.com/news/localnews/nevada-county-woman-says-joebiden-inappropriately-touched-her-whileworking-in-his-u-s-senate-office/

[2] https://soundcloud.com/katie-halper/joe-bidens-accuser-finally-tells-her-fullstory

[3] https://www.leftvoice.org/joe-bidenand-the-farce-of-liberal-feminism

[4] https://www.vox.com/identities/2019/10/4/20852639/me-toomovement-sexual-harassment-law-2019

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-07-31 20:40:55 / Last modified on 2020-07-31 20:40:56 Copyright: Default

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