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ストライキをした「特殊教育実務士」チョ・スノク氏と会う

食費も休む時間もない...特殊教育支援手当ての導入を要求

カン・ヘミン記者 2014.11.21 12:40

学校非正規職労働者たちが11月20日に全面ストライキに突入した。 この中には障害学生の学校生活を支援する特殊教育補助人材も含まれている。 彼らは特殊学校や一般学校の特殊学級で障害学生の授業支援をはじめ、食事、用便補助、移動支援などの業務を遂行する。 しかし彼らは低賃金、休憩時間のない勤務時間などの劣悪な処遇に苦しんでいると訴える。 ストライキ3日前の11月17日、ソウル市西大門駅近くのカフェで、 民主労総公共運輸労組全国教育公務職本部全国特殊分科長のチョ・スノク氏と会った。

チョ氏は11月8日に国会で開かれた「特殊教育指導員政策討論会」で起きたことを意識するかのように 「保護者の立場として空しいと感じる部分について細心に点検しなければならなかったのに、 そこまで把握できない部分があった。申し訳ない」という言葉で話を始めた。 国会討論会で特殊教育実務士が職務の困難を強調するために使った表現に、 障害児童を持つ保護者が障害者を卑下する発言だとして労組に抗議文書を送った直後だった(関連記事: 抑えられた特殊教育指導員の労働権...「我慢しない」 )。

問題になっている「特殊教育指導員」という名称に対する立場も聞いた。 現行の「障害者などに対する特殊教育法」では、彼らを「特殊教育補助人材」と称している。 しかし当事者たちは学校現場で単純補助の役割で置き換えられるなどの差別待遇が起きるとし、他の名称を使うことを要求する。 このような要求で各市道の教育庁との団体交渉を行った結果、 ソウル・光州・全南などでは「特殊教育実務士」という名称を、 京畿・全北では「特殊教育指導員」という用語を使っている。 以下、インタビューではこのような状況とインタビュー者の立場を尊重し、特殊教育実務士で統一する。

▲民主労総公共運輸労組全国教育公務職本部全国特殊分科長チョ・スノク氏

ビーマイナー: 特殊教育実務士の劣悪な処遇のためにストライキをしたと理解する。 重点になるストライキの理由は何か。これは要求条件とも連結するようだ。

チョ・スノク: 先日の討論会で保護者の立場で空しいと感じる部分について細心に点検しなければならなかったのに そこまで把握できない部分があった。申し訳ない。

特殊教育専門担当人員の場合、学校では安全事故が頻繁に起こる。 教師は学校安全共済会から補償を受ければ良いが、非正規職はこれに該当しない。 どうすれば実務士が安全に働けるだろうか。 私たちの安全が子供たちの教育環境にも影響するという意味の話だ。 学校給食室調理従事者の場合は危険手当を受ける。 このような職務手当てについて話してみると、危険手当という用語を使うようになったが、 われわれは人を対象にしているので、危険手当ではなく「特殊教育支援手当て」といった用語を使うべきだと考える。

私もまた業務の遂行中に障害学生にぶつかって腰に怪我をして二か月間入院したことがある。 こうした大きな事故は労災処理を受けるが、噛まれたりひっかかれるなどの事故は労災処理が曖昧だ。 中・高等学校では長い間、手動の車椅子を押して30代で退行性関節炎にかかった人もいる。 それで労災に関して学校安全共済会への加入、特殊教育支援手当てのような別途の手当て支払いを要求している。

二つ目は出退勤時間を教職員と同一にしろということだ。 現行では勤労基準法第54条により使用者側は勤労時間が8時間の場合、1時間以上の休憩時間を勤労時間の途中に与えなければならない。 特殊教育人員は休み時間にも、昼休みにも、学生たちと一緒にいなければならない。 8時間フルに働いている。 途中で休めないので、仕事が終わった後に1時間の休憩時間を満たすために、実務士は教師たちも退勤した空っぽの教室で1時間あとで退勤する。 そのため、この1時間なしで実務士も特殊教師と共に(小学校の場合) 「8時30分出勤、午後4時30分退勤」を要求している。 学校の裁量権が大きく作用する部分だ。

また教師の場合、一日4〜5時間、一週間には20〜22時間など、週授業時数が決まっている。 しかしわれわれはそういう基準もなく勤務時間8時間、ずっと障害学生の授業時間と休み時間、昼休み、放課後まで全部を支援しなければならない。 われわれは機械ではない。 私たちにも基準になる授業時数がほしい。 実務士が楽でいられれば子供たちも快適になる。 2015年の特殊教育運営計画にこのような指針を入れることを要求する。

正規授業時間が終わった後の放課後ケア教室に対する別途手当ても要求している。 小学校は3時、中・高等学校は4時には授業が終わるが、学校側は特殊教育実務士が学校にいる間は放課後もケア教室も支援しろと主張する。 ところで教師は正規教育課程以外の放課後運営は、別に講師を採用しない。 別途採用が難しく、教師が支援する時は別途の手当てを受け取る。 しかし実務士はそうではない。 だから実務士が放課後の授業も支援する時は、別途の手当てを支給することを要求する。

ビーマイナー: 民主労総学校非正規職労働者たちが掲げた全面ストライキ核心五大要求案(3万ウォン給与体系導入、定額給食費13万ウォン、名節休暇の費用120%、賞与金100%、連携型福祉費同一適用)に対する説明もしてくれ。この要求案が現場の声を最もよく反映した要求案だと見れば良いか。

チョ・スノク: 五つの要求は、全職種共通の要求だが、細かく見ると職種により違う。 教師たちには13万ウォンの給食費が支援されるが、実務士は自分の金で給食を食べる。 食べることにも差別をおく。 教師と同じ13万ウォンの支援が難しければ、実費でも支援するよう要求している。

正規職は給与体系で賃上げある。 だが非正規職には長期勤務加算金があるが、値上げの金額も正規職の半分である上に、上限が縛られている。 3年目に5万ウォンが支払われ、その後は1年に2万ウォンずつ上がるが、これも10年までだ。 10年働いても20年働いても19万ウォンまでしか受け取れない。 これは予算の問題ではない。 初めから非正規職差別から始まったから起きたことだ。 上限は撤廃すべきだ。 名節休暇の費用も今は正月、秋夕、それぞれ10万ウォンだけだ。 賞与金はない。

▲11月20日午後1時ソウル駅で全面ストライキ大会を開いた全国学校非正規職連帯会議

2005年から特殊教育実務士として働いているチョ氏の現在の月給は、 各種手当てをすべて合わせて月150万ウォン程度だ。 しかしこれも休み(7月中後半〜8月末、12月中後半〜1月末、2月中旬〜2月末)には支払われない。

特殊教育実務士は2014年の基準最低賃金よりわずか740ウォン高い5950ウォンを受け取っていて、 これは中小企業中央会が発表した製造部門単純労務従事者の基本給一日労賃単価6万3326ウォンと較べ、非常に低い水準だ。

教育公務職本部によれば、全国の特殊教育指導員は2014年現在合計7875人で、 その数は毎年着実に増加している。 このうち女性は全体の96.7%に達する。 雇用形態は無期契約職が84.3%、期間制が13.2%だ。 最近、教育監直接雇用が実施され、無期契約職の割合が増えた。

しかし労働環境はあまり変わらない。 9月に行った京畿道教育庁所属特殊教育実務士無期契約職転換者173人を対象とするアンケート調査では、 直接雇用後に雇用安定感を感じると答えた人(45.7%)は半分にも達しない。 十人のうち六人は「賃金の変化がない」(59%)と答え、 「増加した」(40.5%)と答えた人の値上げ幅も小さかった。 5万ウォン未満(52.7%)が一番高く、続いて5〜10万ウォン未満(29.7%)がそれに続いた。

無期契約職転換についての現場の反応はどうか。 チョ氏は「正規職と非正規職の間にあるのが無期契約職だ。 無期契約は定年が保障されること以外、非正規職と同じ差別が存在する」とし 「結局、定年まで非正規職なのが無期契約職」と指摘する。

チョ氏の言葉によれば、今年の初めに特殊教師の恣意的判断で、 特殊教育実務士が前に通っていた学校に配置されないことがあった。 当時、学校には1級身体障害学生をはじめ5人の特殊教育対象者がいて、 特殊教育実務士が必要な状況だった。 だが現在は特別な基準なく、保護者、一般担任教師、学校管理者の意見を総合して、 特殊教師が実務士の支援を判断する。 つまり、無期契約職だから解雇されなくても、自分の意志とは無関係にいつでも他の学校に配置される。 当事者としては、雇用の安全性は感じられない。 また、無期契約職としての転換も、特殊教師、行政室長、校長などの評価で行われる。 見られない緊張と境界がある現場だ。

ビーマイナー: 「特殊教育指導員」という用語について議論がある。障害者の親としては、障害者当事者支援原理に合わないと指摘する。あえて指導員という用語を主張する理由は何か。

チョ・スノク: 名称については労組でも二分している。 意見が一つにまとまらず、地域によって使う言葉も違う。 その中で私たちが一番望む用語を全国で統一して使っている。

一般学校では、特殊教師と一般教師の協力教授が行われるべきなのに、 現在の学校現場では物理的な統合しかされていない。 特殊教師は特殊学級で子供が見せる姿だけを、 一般教師は一般学級で子供が見せる姿だけを知っている。 しかし特殊教育実務士は、特殊学級と一般学級での姿を同時に見る。

例えば数の概念を知らず、数字だけを単純に覚えている障害学生があるとしよう。 一般学級で授業を聞くと、二班は数学の掛け算で進んでいる。 この時、実務士は学生が掛け算は出来ないから「2の概念」を教えるために、ノートにリンゴを10個描いて、2個ずつまとめるなどして指導しなければならない。 ところが今はそのような権限はない。 ただ席で「先生をよく見て、ちゃんと座って」と言い、泣けばなだめる水準だ。 しかしこれではいけない。 この過程を話し、各統合授業時間の目標を教師と議論して指導しなければならない。 最終指導案は特殊教師が出せる。 だが結局は現場で実務士がどれだけ学生に合わせて接近できるかということだ。 これは単なる指示でできるものではない。 だから実務士にも専門的な研修が必要だ。 こうなれば、時、特殊教育対象者に対する教育的効果もあげられる。

ビーマイナー: しかしこれについて特殊教師の立場としては越権だと見ることもできる。

チョ・スノク: それで実務士は保護者との相談もできない。 子供を迎えに来た保護者と実務士が向き合う時、保護者は今日は何があったのか、自然に尋ねる。 しかしわれわれは、どんなことがあったのかを知りつつも「担任教師(特殊教師)に行って尋ねてください」と答えるほかはない。 子供が特殊学級では無事に過ごしても、30人いる一般学級では難しいこともある。 これについて実務士が話せるべきなのに排除されている。

▲障害学生排便指導の写真などで論議がおきた8日に国会で開かれた「特殊教育指導員政策討論会」

ビーマイナー: 11月8日の討論会で実務士が障害学生が原因の傷を見せて 「護身術を学ばなければならない」という発言があった。 これについて抗議文書も受け取ったと理解している。 障害児童の親とは協力的関係になるのに反目しているのではないか。

チョ・スノク: 保護者の立場としては、あきれて腹が立っただろう。 子供たちが突発行動をしたり極度に興奮して自傷行為をした時、実務士の対処方案を学ぼうという脈絡で出たものだった。 現在はこれについての方案が全くない。 子供たちも保護して、実務士と教師も保護されなければならない。 これについての研修も必要だ。 もし卑下するような意図があったとすれば、両親は招かなかっただろう。 進行で甘い部分があった。 私も知的障害(3級)の子供を持つ親だ。

ビーマイナー: ストライキへの道徳的な非難も強い。 厳しい任用試験を特殊教師とどうして同等な処遇を要求できるのかということだ。 これについてどう思うか。 学生に被害を与えてもストライキをするべきかという言葉についても答えてほしい。

チョ・スノク: 正規職教師と同じにしてくれとか、今すぐ差別を撤廃しろと言っているわけではない。 非正規職は経歴が長いほど正規職との差別が増幅されるのに、こうした差別を緩和する基準を提示しろということだ。 2012年、2013年のストライキでは私たち自身も子供を放り出して出てくるという罪悪感が強く、労組でも積極的に組織しなかった。 本人の選択に任せた。しかし今年は違う。 私たちが安全でこそ、子供たちを安全に支援できると考えて、全国的に組織するようになった。

ビーマイナー: ストライキについての現場の保護者、特殊教師の反応はどうか。

チョ・スノク: 一部の保護者は特殊教育実務士の処遇改善に同意している。 それでこそ子供たちにももっと上手くやれるのではないか。 学校と教育庁側にはあらかじめストライキを宣言していたので、対策を用意するよう話した。 学校では否定的な視線もあるが、一部全教組の先生は支持要請文を送った。

ビーマイナー: 特殊教育実務士173人を対象にしたアンケート調査を見れば、このうち171人が女性だ。 年令別に見ると40代女性(63%)が最も多く、50代(29.5%)がそれに続く。 こうした特定の年令帯の従事者が多いという特徴が、劣悪な処遇にもつながっているようだ。 休み中に給与が支払われない時はどうして生活しているのか。

チョ・スノク: 中年女性ができる雇用の中には良い雇用がない。 その上、この仕事が学校時間に合わせて早く出勤し、早く退勤するので子供を養育しながら働くには良い仕事だ。 給与がない休み中には障害者活動支援サービスなど、他のアルバイトを探して働く。

ビーマイナー: ストライキ前に最後に伝えたい言葉は。

チョ・スノク: ストライキは特殊教育実務士の処遇改善のためでもあるが、障害学生を中心にした特殊教育の質を向上するためでもある。 こうした真情性を保護者、特殊教師、学生も認めてほしい。 特殊教師の立場としては、実務士には専門的な部分を認められないかもしれない。 しかし実務士の役割があってこそ、統合教育も成功できる。

民主労総によれば、学校には公共部門で一番多い37万余人の非正規職が配置されており、 これは全体教職員の40%にのぼる。 事実上、非正規職がいなければ学校の運営が不可能な状況だ。

11月20日午前9時、ソウル市教育庁前で全国教育公務職本部所属ソウル支部の全面ストライキ集会が開かれた。 2時間ほどの集会の後、彼らはソウル駅広場までデモ行進し、そこで全国学校非正規職労働者1万と共に全面ストライキ集会を開いた。

同日11時、民主労総の前で全国特殊学校学保護者代表者協議会などの障害者父母団体は、 11月8日の「特殊教育指導員政策討論会」で障害学生の人権を無視する発言があったとし、 これを糾弾する記者会見を行った。 保護者団体は当時の政策討論会で、特殊教育実務士が危険手当を要求して護身術を云々するなど、障害者を卑下する発言をしたこと、 障害学生排便指導写真を掲示したことについて謝罪文を要請した。 また、政策討論会の責任者を問責し、特殊教師を指導する職位と勘違いする恐れがある 「特殊教育指導員」という用語ではなく「特殊教育補助員」に名称を変更することも要求した。 これについて民主労総は、午後に謝罪文を出して組合員と幹部を対象に障害者人権教育を行うと明らかにした。

付記
カン・ヘミン記者はビーマイナー記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-11-22 23:24:18 / Last modified on 2014-11-22 23:27:58 Copyright: Default

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