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警察と使用者側が共に作った「双竜車公権力投入」

[双竜車鎮圧の秘密?] 「警察が前進すれば救社隊が援護した」

パク・タソル記者 2018.06.18 14:57

[編集者 注]双竜車77日玉砕ストライキから10年。 今も120人の労働者は工場に戻れず、彼らのうち79.1%が鬱病に苦しむ。 2009年の玉砕ストライキ参加者の外傷後ストレス障害有病率は1990年に湾岸戦争に参戦した軍人の有病率の二倍以上高い。 彼らの不安心理とトラウマは9年前、ストライキ当時の警察の暴力鎮圧から始まった。 労働者の外傷は続くのに、問題を起こした公権力に対する処罰はない。 昨年構成された「警察庁人権侵害事件真相調査委」の活動が大詰めに至っている。 果たして今回は9年前の真相を明らかにできるだろうか。 チャムセサンは双竜車暴力鎮圧の主役だった趙顕五(チョ・ヒョノ)元京畿地方警察庁庁長が2009年に発刊した「双竜自動車事態白書」を通じ、 警察自らが記録した当時の不法な鎮圧作戦を調べた。

[出処:メディア忠清資料写真]

警察が2009年、双竜自動車玉砕ストライキの公権力投入計画を使用者側と共に謀議した情況がわかった。 警察は使用者側の関係者と毎日会って工場の内部などを分析し、 工場を直接掌握した後は使用者側の救社隊、用役と共に座り込み組合員を攻撃した。

チャムセサンが入手した京畿地方警察庁の 「双竜自動車事態白書(2009)」によれば、 警察は7月20日に公権力を電撃投入する前、 使用者側と共に作戦計画をたてていた。

6月末を起点として深まった関係

警察と使用者側の関係は6月末から急進展したと見られる。 警察が工場に公権力投入対策を準備してからだ。 白書によれば、警察からの資料要求などに生ぬるい態度を見せていた使用者側は、 6月23日から本格的に社内進入を試みるが、警察はこれを 「進入そのものよりもアクションによって公権力投入の雰囲気を造成する目的」だと把握した。 そして6月26日、使用者側が社内進入に成功すると、 警察は彼らと手を取って積極的に情報活動を始めた。

白書はまた、使用者側との信頼関係が構築されたことについて 「6月末から情報警察が公権力投入対策を樹立し、 使用者側に動員中隊ごとに案内要員の選定を要求し、 工場の内部事情に精通した職員と接触しながら内部の図面を研究するなど、 公権力の投入が切迫しているという立場を伝えると、 使用者側の態度が変化し始めた。 公権力の投入で事態が解決されるといううわさが使用者側職員に広がり強く鼓舞されて、 警察との厚い信頼関係を形成するようになった。 その後からは使用者側も警察に最大限協力しつつ、 事態解決のために力を合わせることができた」と記述している。

「外部勢力遮断」という共同の目標に向かって使用者側と警察が助けあった時期もこの時だ。 6月26日と27日に行われた使用者側と労組との間の大きな衝突で、 警察は「外部勢力」を原因として彼らを遮断することに集中した。 警察は白書で「主な出入口の出入者統制は施設管理権者である使用者側に一任して工場境界勤務を実施し、 塀を越える出入行為を中心に遮断勤務をした」と明らかにした。 続いて「外部勢力の介入が遮断された結果、座り込み労組員の勢力が弱まり、 結局、事態解決の本質になった」と評価した。

公権力投入計画の樹立も作戦遂行も共に

「外部勢力」を一定程度遮断した京畿庁は、 7月1日から京畿庁捜査課長、平沢警察署長を本部長とする捜査本部を平沢警察署に設置し公権力投入のための具体的な議論を始めた。 警察は白書で「情報警察は、使用者側と座込場内部の協力者を通じて把握した座込場内部の構造、出入口閉鎖の有無、危険物の位置と残留量、座込場内の残留人員や労組員の心理状態、生活環境などを総合して公権力投入計画を樹立した」と指摘している。 また「塗装工場は面積が非常に広く、内部が迷路のように複雑なので、 使用者側が提供した図面を見てもひと目で理解するのはかなり難しかった」とし 「担当情報官が使用者側の職員と毎日接触して塗装工場内部の図面をわかりやすく再構成し、 出入口の個数と閉鎖の有無、材質などを把握していった」と付け加えている。

警察は実際に7月20日に「公権力前進配置」を敢行した。 その後、7月21日横門の確保、7月24日ロディウス車体工場の確保など、 段階的に工場内部を確保していった。 8月5日には「塗装2工場以外の全地域を確保して、最後通牒で事態を解決した」という作戦日誌が書かれている。

特に8月5日には警察力を大幅に拡大して総攻勢を浴びせた。 前日に12部隊だった警察力は28部隊へと2倍以上増え、 特殊部隊も4梯隊が投入され、 組み立て3、4チームの屋上、塗装1工場などを掌握した。 使用者側の救社隊と用役も警察と共に座り込み組合員を攻撃した。 ストライキ組合員の声で玉砕ストライキ77日間を物語った「解雇は殺人だ(2010)」は、 「6時20分頃、車体2チームの屋上に警察がはしごを持って前進し、 警察の両側面では救社隊がパチンコを撃って警察を援護した。 警察と救社隊が遠慮なく合同作戦を開いた」と記録している。

こうした警察の総攻勢は、趙顕五当時京畿警察庁長が李明博(イ・ミョンバク)元大統領から直接承認された。 趙氏は8月5日の明け方、カン・ヒラク警察庁長官から「危険だから作戦するな」という指示を聞いたが、 青瓦台に直接連絡して許可を受けたと告白している。 結局、警察の総攻勢などでストライキ組合員は致命打を受け、 8月6日に「双竜自動車の回復のための労使合意書」が発表された。

警察はまた7月20日から24時間の採証体制を維持する。 ストライキの77日間、平沢署の採証資料は青写真25500枚、動画565本に達する。 警察はこのような採証資料の判読にあたっても使用者側に助けを要請した。 白書は「ストライキ期間はもちろん、事態解決後も双竜自動車の関係者の協調を得て判読を続け、 合計101人を判読して捜査本部に通知、 このうち51人を司法処理(拘束25、不拘束26)した」と記録している。

警察が動いて交渉妥結を圧迫…労組に対する心理戦

7月11日に使用者側が内部に回したメールでの警察関連の言及も注意深く見るに値する。 メールはストライキ者をどう圧迫するかの具体的方法が書かれていて 「麻酔ガスを利用したストライキ者鎮圧計画」が含まれていたことで議論を呼んだ資料だ。 このうち「警察ヘリコプターを1時間間隔で巡回飛行して心理的圧迫感を倍加させる。 夜間にも実施して睡眠を妨害」では、 使用者側と警察があらかじめヘリコプター運用計画を共有していた点を見せる。 警察が白書で明らかにした「深夜時間帯を選択して旋回飛行しながら、 ヘリコプターに装着されたサーチライトを利用して労組員を照明するなど、 実際に進入するような錯覚を起こして不法なデモ用品を消耗させ、 座り込み労組員に緊張感と心理的圧迫を加えて離脱を誘導した」という説明も、 この主張に力を与える。

白書によれば、警察はストライキ者たちを圧迫しながら労使交渉を促した。 警察は白書で「7月30日から8月2日まで、労使間で相当に意見が接近していた交渉が突然決裂した理由は、 工場内のイXX企画部長など少数の強硬派によるものだったことを確認し、 8月5日に京畿庁長が記者会見の時にこれを適切に活用することにより交渉を急進展させる契機を用意した」と明らかにした。

また労使交渉が決裂するたびに 「座り込み労組員だけでなく、双竜車の全職員と協力業者の職員10万人以上の生存権が直接脅かされる状況」だとして労組を圧迫し、 「労組の不法占拠座り込みを解消するための鎮圧作戦の実施」等を主張して公権力投入の雰囲気を造成した。

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翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-07-14 15:49:33 / Last modified on 2018-07-14 22:12:13 Copyright: Default

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