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権力に振り回されてきた人権委の10年...革新委、13項目の勧告を発表

人権委革新委1月29日で3か月の任期終了

チェ・ハンビョル ビーマイナー記者 2018.02.02 10:49

国家人権委員会が独立して力がある、 実質的な人権保護のための機関としての 「本来の地位」に戻れるだろうか。

今年で設立17年目をむかえた人権委は、保守政権10年の期間中、不適当な人物の任命と国内主要人権事件に対する沈黙、 その上、人権委が積極的に遂行した人権侵害によって多くの批判を受けてきた。 人権委は朴槿恵(パク・クネ)政権執権期間中に 「国家人権機構国際調停委員会(ICC)」から人権委員選定の過程の透明性・多様性不足などを指摘され、 3回も等級保留決定を受けた「黒歴史」も持っている。

新政府の発足とともに「積弊清算」の風が人権委にも吹いた。 昨年10月30日、人権委革新課題を提示する諮問機構の 「国家人権委員会革新委員会(以下、革新委)」が発足した。 革新委の委員は、ハ・テフン委員長(参与連帯共同代表)をはじめとする外部委員10人と、 チョ・ヨンソン人権委事務総長など内部委員3人で構成された。 発足当時、李聖昊(イ・ソンホ)人権委員長は 「これまで人権委に対する多くの叱責があったことを謙虚に認める」とし 「人権委の百年の大計を準備する気持ちで革新委を最大限支援して、 革新委の勧告案を最大限受け入れる」と明らかにした。

そして革新委は1月29日に任期を終えた。 任期中に革新委は合計13件の勧告を人権委に伝えた。 2月1日、人権委学習室で開かれたブリーフィングでハ・テフン革新委員長は 「勧告案が実質的に履行されるためには政府と人権委、 何よりも国民の関心が大変重要だ。 これから人権委がきちんと国家権力を牽制して監視しながら、 人権ガバナンスの役割をしっかり果たして欲しい」と勧告案を発表した。

#恥ずかしい過去を正さなければ前に進めない

革新委は過去の反省と再発防止に関して △ウ・ドンミンの死亡および障害者人権活動家人権侵害、 △大統領府人権委ブラックリスト、 △竜山撤去民死亡事件など主要人権懸案に沈黙、 △職員不当懲戒など人権に反する運営の 4つの事案に対する勧告を人権委に提出した。

故ウ・ドンミンは2010年、障害者活動支援法案糾弾と玄炳哲(ヒョン・ビョンチョル)当時人権委員長辞任を要求して行われた 障害者活動家らの人権委占拠座り込みに参加して肺炎になって死亡した。 当時、市民社会は人権委が活動支援の出入統制、電気供給中断、エレベーター運行中断などの行為で障害者活動家の人権を侵害し、 ウ活動家の死もこれと無関係ではないと主張した。 しかし人権委はこのような事実を公式に否定してきた。

[出処:ビーマイナー]

革新委は人権委が独自に製作した「座り込み対策マニュアル」によって行動を取ったことを確認し、 人権委が一連の行為を否定して隠してきたことは深刻な問題だとし、 公式な謝罪と故人の名誉回復、真相調査チーム構成、 「座り込み対策マニュアル」の廃棄などを勧告した。 こうした勧告により、去る1月2日、李聖昊(イ・ソンホ)人権委員長が 直接ウ・ドンミン活動家の墓地を訪問し、参拝して公式に謝罪した。

「ブラックリスト」に対する積極的解明や真相究明がなかった点も、 人権委が清算しなければならない課題に選ばれた。 李明博政権だった2009年、青瓦台行政官が新しく任命された事務総長に不利益を与えたり管理すべき人権委職員のリスト、 いわゆる「人権委ブラックリスト」を渡したという疑惑がマスコミを通じて提起された。 しかし当時、人権委は事実関係の把握や基礎調査もせずに 「ブラックリストの存在を報道で初めて接し、一部の内容が事実と異なる」とし 「遺憾」表明だけで終わった。

革新委は「ブラックリストが作成され、渡されたこと自体が職員を『査察』してきたことを意味し、 これは人権委の独立性を深刻に傷つける」とし 人権委に真相把握と調査官の独立した活動保障方案の用意を勧告した。

その他にも革新委は2009年に竜山撤去民死亡事件が発生した時、 玄炳哲当時委員長の独断的な会議終了により意見発表が遅れた点と、 米国産牛肉のBSE危険議論を放送したMBCのPD手帳製作スタッフを検察が名誉毀損容疑で捜査した事件、 国家情報院の機務司査察と国務総理室の民間人査察などの事件について 人権委が沈黙したことも確かめて行かくべき人権委の「積弊」と指摘した。

人権委が人権に反する基準と方式で運営されてきた問題も清算すべき課題として提示された。 人権委は2011年、全国公務員労働組合国家人権委員会支部副支部長のA氏を解雇し、 これに反発して1人デモをしてマスコミに寄稿した職員11人を懲戒した。 2015年には「脱同性愛」を標榜する団体が進めた性少数者嫌悪イベントに 人権委学習室を貸した。

革新委はこうした人権委の誤りを指摘して、 再発防止のための対策用意と公式立場の発表、 人権委員と職員に対する国際人権基準教育、 人権委員資格基準と欠格事由の具体化、 民主的な組織文化構築などを勧告した。

#さらに透明に、さらに独立的に、さらに多様に

[出処:ビーマイナー]

革新委が人権委組織と運営の最大の問題点として指摘したのは、 まさに政府からの独立性と意志決定の透明な公開が不備だという点だった。 これはこの10数年間、保守政権下で政府の「顔色」をうかがってきたため、 社会のさまざまな事案に対し厳格な人権の定規できちんとした意見を出せなかったという評価に基づく指摘だ。

革新委は人権委が政府の不当な干渉にきちんと対応できず、 人権委の組織も専門性と多様性、そして多元性が不足し、 重要な人権事案への対処が不適切だったと指摘した。 革新委はこのような現象が現れる理由は、 不透明で非民主的な人権委員任命の手続きと意志決定の手続きのためだと見た。

2009年、李明博政権は人権委組織を5局22課から3局10課へと大幅に縮小し、 職員の定員を21%減員した。 この過程で人権委の意見は黙殺され、人権委は独立機構にもかかわらず、 一方的な組織縮小に耐えなければならなかった。 このように、政府の「顔色」をうかがう状況にも対応できず、 人権委の活動も政府の「好みのとおり」に振り回されるようになったと革新委は指摘した。

人権委員の任命手続きも国会、大統領または大法院長が指名する方式だ。 人権委法では彼らが委員を任命する時、多様な社会階層から候補の推薦を受けたり 意見を聞かなければならないという但し書が付いているが、 その過程は明文化されいない。 革新委はまさにこのような制度的な不備により、 これまでの政権で人権委員に不適当な人々が委員に任命される惨事が起きたと明らかにした。

これに対し、革新委は国会、大統領、大法院長がそれぞれ1名を指名する形式で任命されてきた人権委員の選定手続きに透明性と独立性、 そして市民社会の参加を強化すべきと勧告した。 革新委は「候補推薦委員会」を構成することを提案した。

また、民主的な正当性が脆弱な大法院長が指名する人権委員の枠を削減するか廃止することにより、 人権委員の地位と司法体系からの独立性も強化すべきと指摘した。 人権委員の中で法曹人が過度に多いという指摘は着実に提起されてきた問題だ。 現在も常任委員3人のうち2人が、非常任委員7人のうち5人が法曹人出身だ。

革新委はこれに対して 「人権委が司法府に対する積極的な意見陳述を敬遠したり、 司法的な決定に反する決定を自制するという問題が提起されている」とし 「普遍的人権と国際人権基準の観点から、 人権に関する積極的な擁護者になるべき人権委が、 実定法と既存の判例の枠組みの中だけで消極的に人権問題に接近すれば、 その存立の意義が深刻に毀損される」と指摘した。

革新委は人権委員の構成において、 女性、障害、性少数者、移住民、児童など、多様な少数者階層の代表性が十分に確保されるべきだという点も指摘した。 そのためには多様な市民社会団体と持続的に交流し、 新規に職員を採用する時にも人権活動の経歴者や専門家が就職する経路を積極的に拡大すべきと提案した。

人権委の意志決定の過程が不透明だった点も革新課題として提示された。 委員長をはじめ、11人の委員で構成された人権委の代表的な議決機構である全員委員会の非公開議決案件は、 年度別に平均41.4%に達する。 常任委員会も非公開案件の平均割合が31%に達する。

人権委の議事録も、委員の名前が匿名処理されて提供されていている。 委員の匿名処理は「確信がある発言と自由な討論を保障するため」という理由で 2014年の第10次全員委員会で決定された。 しかし革新委はすでに人権委員が職務上行った発言と議決に関し、 民事上または刑事上の責任を負わない免責条項があり、 韓国社会の重要な人権事案に対して重要な決定をする会議の議事録だけに、 知る権利の保障と人権委の責任性強化のためには匿名処理が不必要だと意見を明らかにした。

その他にも革新委は常任委員会の議事録が会議の結果だけを公開している点や、 専門分野別の小委員会の会議が非公開で開かれる点、 そして会議の公開方式が傍聴に限られる点、 調査進行過程の不透明性、障害当事者に対するウェブ接近性の不足などを指摘した。

これについて革新委は包括的な非公開会の慣行を積極的に改善すること、 議事公開原則の遵守、会議の公開対象の拡大、 実名を記載した録音記録形態の議事録作成および公開、 議事録の録画映像の公開および公益性の高い議案については 生中継する方案の摸索、情報接近性を増大させる方案の用意などを勧告した。

[出処:ビーマイナー]

その他にも革新委は、 △調査と救済革新、 △人権政策機能の実効性向上、 △人権教育革新、 △人権委内の非正規職雇用および差別解消、 △人権委の継続的革新のため「革新推進実務委員会(仮称)」の構成運営などを勧告した。

ハ・テフン革新委員長は 「さまざまな勧告案の中でも人権委が最も急いで解決すべき課題は、 資格ある人権委員の任命と、そのための透明な推薦、検証過程の用意」と明らかにした。 ハ委員長は 「現在、常任委員の中で1人の任期が満了し、 これは共に民主党が推薦、任命する枠」とし 「勧告案にも含まれているように、市民社会が検証できる候補推薦委員会を構成して、 これを通じて透明に任命されなければならない」と伝えた。

人権委のチョ・ヨンソン事務総長は 「李聖昊人権委員長が勧告案を積極的に受け入れる意思を明らかにしており、 現在、人権委の各課別に勧告案の履行方案作りを指示した状態」とし、 勧告案に対する人権委の立場を明らかにした。[記事提携=ビーマイナー]

付記
この記事はチャムセサン提携報道機関ビーマイナーの文です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-02-10 04:43:48 / Last modified on 2018-02-10 04:43:50 Copyright: Default

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