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「カエル」が北朝鮮称賛?...全州刑務所の書信検閲で議論

全州刑務所の良心犯に書信発送不許可

ムン・ジュヒョン記者 2012.12.28 11:17

昨年11月、良心犯をはじめとする服役者を『身体捜索』して人権蹂躙の論議が おきた全州刑務所が、当時『身体捜索』の対象者だった良心犯の書信を検閲し、 また問題になっている。

今回書信を検閲されたイ・ビョンジン(40)氏はインド政治の専門家で、2009年、 20代のインド留学時に二回北朝鮮に行ったことが問題になり、裁判所から懲役 8年を宣告され、全州刑務所に収監されている。

[出処:チャムソリ]

釈放の会、「憲法裁判所の違憲判決以後、法務部で開封対象範囲を縮小したのに」
全州刑務所、「カエルなど一部の隠喩的表現が北朝鮮の称賛と解釈される憂慮」

『良心犯政治学者イ・ビョンジン釈放推進の会』(イ・ビョンジン釈放の会)は 12月27日午後、全州刑務所の前で記者会見を行い、良心犯イ・ビョンジン氏に 対する書信検閲を強く糾弾した。そして国家に対し『書信不許可処分および 検閲対象者指定取り消し訴訟』を提起した。

[出処:チャムソリ]

全州刑務所は11月、良心犯イ・ビョンジン氏の書信を検閲し、発送不許可措置 をした。これに抗議する過程で『イ・ビョンジン釈放の会』は良心犯イ・ビョ ンジン氏が『書信検閲対象者』に指定されている事実を確認し、疑問を提起した。

今回、検閲と共に放送不許可措置が取られた書信は、5月から月刊誌[小さな本] と1年契約を結び、自分の暮らしについての話の連載原稿の2回分だった。イ・ ビョンジン氏によれば、この原稿には20代の時の『北朝鮮訪問』に関し「北京 から平壌に入る過程と、平壌で北の同胞が暖かく歓迎してくれた」という内容 と、〈平壌のカエルは南のカエルと全く同じです!〉という題で、「大同江辺で カエル捉え、民族的同質感を感じた」という個人的な感想を書いたものだという。

全州刑務所の関係者は「イ・ビョンジン氏は、北朝鮮に入ったため国家保安法 違反で収監中」とし「カエルのような隠喩的な表現と内容が北朝鮮滞在を称賛 する表現として社会の誤解を呼びかねないと判断したため認めなかった」と明 らかにした。続いて「問題にりかねない内容が公開され、社会的な問題を起こ せば全州刑務所も困る」と話した。

現在、問題になっている書信の具体的な内容を全州刑務所は公開していない。 『イ・ビョンジン釈放の会』は「法律に根拠があるといっても、基本権を制限 するには最小限にしなければならない」とし「国家安全保障、秩序維持または 公共福利に実質的な害悪を及ぼす恐れがあると立証できる明白な根拠もない」 と全州刑務所の書信検閲について行政訴訟を行うと明らかにした。

〈刑の執行および収容者処遇に関する法律〉(以下 刑執行法)には服役者の『通 信・秘密の自由』を保障するために、『書信無検閲原則』が規定されている。 ただし、『受容者の教化または健全な社会復帰』、『施設の安全または秩序を 害する恐れがある場合』等は、例外的に書信を検閲すると規定している。全州 刑務所は、内部的にイ・ビョンジン氏を『書信検閲対象者』に分類し、刑執行法 43条により書信を検閲してきたと主張している。

しかし『イ・ビョンジン釈放の会』は「憲法裁判所は最近、通信・秘密の自由 を過度に侵害するという理由ですべての服役者に発送書信の封を切り提出させ る刑執行法施行令(第65条1項)に違憲と決定した」とし「以後、法務部は麻薬類 や組織暴力事犯、同じ矯正施設に受容者に送ろうとする書信、規律違反などの 対象受容者に限ってのみ、書信を開封できるように縮小したが、イ・ビョンジ ン氏など良心犯を書信検閲対象者としてすべての書信を検閲するのは表現の自 由の侵害」と強く反発した。

『イ・ビョンジン釈放の会』、国家に行政訴訟

『イ・ビョンジン釈放の会』は行政訴訟の意思を明らかにし、全州刑務所が 『弁護士の助力を受ける権利』と核心証拠物の発送が不許可になった原稿を 弁護士に出さないと強く糾弾した。

[出処:チャムソリ]

全州刑務所は「行政訴訟など、民事に関する訴訟による弁護士の接見は、判例 により既決囚には認めていない」と明らかにした。そして問題になった原稿に 対しては、裁判になれば裁判所の手続きにより、その時に提出するという立場だ。

今回の行政訴訟『イ・ビョンジン釈放の会』の訴訟代理人パク・ジェホン弁護 士は、「民事訴訟の場合、憲法が保障する弁護人の助力を受ける権利に該当し ない。しかし刑務所に収容されている人に対しては特別に保護する必要がある」 とし「刑務所を対象とする訴訟では、攻撃と防御の秘密が保障されなければな らないが、弁護士の特別な接見ができず、一般接見で準備するので時間の制約 もあり、秘密も保障されず、訴訟に困難がある」と明らかにした。

続いて問題になった原稿に対しても「手紙の内容が刑執行法43条5項3号の記載 理由で発送を拒否さているが、今回の訴訟の核心は果たしてその内容が法令に 抵触するかどうかを問うもの」とし「だからその内容が抵触するかどうかを調 べるために検討しなければならない。ところが訴訟を提起するまでわからずに 裁判をすれば、行政訴訟だが準備に相当部分制約を受ける」と明らかにした。

『イ・ビョンジン釈放の会』も「これは公正な裁判を受ける権利を侵害する」 とし「弁護士の対面権を保証しろ」と要求した。

一方、4月には『イ・ビョンジン釈放の会』は全州刑務所前で記者会見を行い、 昨年11月の全州刑務所内『身体捜索』の事実を公開し、これに対して人権蹂躙 と強く糾弾した。当時、イ・ビョンジン氏と服役者に対する『身体捜索』は、 社会的に大きな問題になった。(記事提携=チャムソリ)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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