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『野党圏連帯』と進歩政治の破産が意味するもの

[チャムセサン論評]18代大統領選挙、新旧保守連合の勝利

チャムセサン 2012.12.20 02:06

40年余ぶりの両者対決だった大統領選挙。最終的な勝利は朴槿恵(パク・クネ) 候補とセヌリ党のものになった。投票率が高ければ野党が勝利するという一般 的な予測とは正反対の結果だった。暫定投票率は75.8%で、前の17代ばかりか、 16代大統領選挙より高かったが、結果は文在寅(ムン・ジェイン)候補支持者の 期待とは違うものだった。

特に50代保守層の結集は眩しいほどだ。2002年の40代投票率は76.3%で盧武鉉 (ノ・ムヒョン)48.1%、李会昌(イ・フェチャン)47.9%の支持を送った。そんな 人たちがちょうど10年後に50代になった2012年の18代大統領選挙では、50代の 投票率(放送局出口調査)は何と89.9%にのぼる。そして、彼らは朴槿恵に62%、 文在寅には37%の支持を送った。この結果だけを見れば、40代の時は投票場に行 かなかった保守層が、10年後に大挙して投票場に押し寄せ、彼らのうちかなり の数が朴槿恵候補を選択したことで、大統領選挙の結果を固める原動力になった。

この世代は40代の時は、ずっと金大中(キム・デジュン)と盧武鉉政権の下での 構造調整により整理解雇と名誉退職の苦痛を一身に受けた。名誉退職後には、 社会的安全網から疎外され、自営業者として苦しい10年を送った世代だ。最後 の財産である家を守り、家の価格を維持するのが目標で、その一方で税金を払 うことも難しい生活を送ってきた人々だ。彼らが盧武鉉式政治に対する幻滅で あれ、朴槿恵という人物に対する成長主義の幻想であれ、彼らが投票場に押し 寄せたことで、大統領選挙の状況を分けた。

朴槿恵候補はMBとの差別化により『反MB』を希薄化し、新旧保守層を結集させ た。伝統的な保守層は『安保』、『愛国心』、『経済危機克服』のコードによ り結集した。『父を越える』と言うことで過去の維新時代の誤りの克服を話し た。新保守層は『国民大統合』、『準備された女性大統領』、『温情的選択的 福祉』、『新しい保守』のイメージで総結集した。IMF以後の新自由主義体制が 強まった後に形成された層だ。競争教育、成功イデオロギー、市場論理などを 内面化した新自由主義経済の社会体制が生んだ階層だ。彼らは、『減税・規制 緩和・治安強化』、『豊かに暮らそう』という成長主義と結合し、18代大統領 選挙に結集した。

反面、文在寅候補の「反MB」は、盧武鉉政府の新自由主義を攻撃するセヌリ党 の前では無力だった。FTA、海軍基地、医療民営化、労働柔軟化、労働弾圧など、 MBは事実上、盧武鉉政策の継承者だったのだ。結局、「反MB」は「反盧武鉉」 を越えられなかった。非正規職量産などの参与政府の誤りを認めても、時代の 限界としてこれを正当化した。こうした限界の中で、終盤の若年層への投票参 加の呼びかけと各種の暴露はむしろ「新旧保守層の結集」という結果につながった。

また、文在寅候補は『政権交替』という目標の中に『野党圏連帯』を実現した。 だが『野党圏連帯』は、『政権交替』の他にはどんな価値も未来のビジョンも 正確に見せられなかった。新自由主義をさらに強化する財閥中心の成長主義の フレームを越えることもできず、実体も不明な経済民主化論で混乱を加重させ るだけだった。一足遅く、安哲秀との単一化で『新しい政治』と『国民候補』 を掲げたが、『野党圏連帯-政権交替』が開かれた未来に進むという確信を植え 付けることができなかった。

今回の大統領選挙で局面を主導したのは安哲秀だった。総選挙での民主党の敗 北以後、野党圏と浮動層の代案に浮上した。『安哲秀現象』は、二大政党体制 に対する不満を持っていた中間層、不安な未来の中で現実の苦痛を抱えて生き る若い層が主な基盤だった。『新しい政治』をキーワードとする彼の浮上は、 過去の『第3勢力』として登場した鄭周永(チョン・ジュヨン)、李仁済(イ・イ ンジェ)、鄭夢準(チョン・モンジュン)とは違い、強力な破壊力を持っていた。 だが、安哲秀の新しい政治は、文在寅候補への単一化を宣言して辞任すること により、『政権交替を目標とする野党圏連帯』に同じように閉じ込められてし まった。また選挙の過程で安哲秀が示したのは、あいまいな話法で包装された 準備ができていない政策であり、むしろ民主党より保守的な政策だった。野党 圏の大統領選挙の敗北で、安哲秀現象はさらに強まるだろうが、安哲秀が構成 する政治刷新の内容は、相変らず霧の中で右側ウィンカーがぼんやり点滅して いるのが見えるだけだ。

何よりも今回の18代大統領選挙の最大の敗北は、進歩政治、進歩政党にある。 自分の組織的独自性、アイデンティティも守れず四分五裂し、全てを『野党圏 連帯』と『政権交替のための批判的支持』にいわゆるオールインした。泣きっ 面にハチの文在寅候補の敗北だが、進歩陣営はその敗北まで自分のものとして 受け入れなければならない境遇に置かれてしまった。10年前と違い、国民大衆 は、もう進歩政党の声に耳を傾けようとせず、進歩政党の主張も知らない状況 になった。李明博政権中ずっと党内選挙不正の是非と分裂で、風が静まる日が なかった。果たして保守政党とどんな差があり、どう認識されているのか問わ ざるをえない。

こんな状況でも、キム・ソヨン候補とキム・スンジャ候補が労働者政治の独自 性を維持し、双竜車整理解雇、現代車非正規職など現場闘争の声を共にして、 労働政治の火種を生かそうと努力したが、その存在感は大きくなかった。彼ら の政治が得票率で評価できる問題ではないとしても、立候補の過程での問題、 労働大衆の力を結集させられない限界の中で、今後の労働政治の展望をどう 生かすのかという大きな課題が残っている。

新旧保守層の結集で、また政権を続けることになったセヌリ党と朴槿恵当選者 の前の道は決して順調ではないだろう。たとえ過半数を越える支持を得たとし ても、その支持が候補ではなく大統領という地位にまで続くかはわからない。 低成長と経済危機、不平等と貧困の拡大、日本の自民党の再執権で象徴される 右傾化と北のロケット発射などで激化する東北アジアの緊張関係と南北関係の 固着、政党検察警察に対する不信など。候補時代に掲げた政策と公約で、解決 できるのかも疑わしいばかりか、むしろさらに悪化するのではないかと憂慮さ れる。『選挙の達人』が『国政運営の達人』へと続く根拠は非常に薄いのだ。

朴槿恵により、大統領府表札の名札が変わっただけだと軽く片付けるには今回 の大統領選挙の結果が韓国社会の将来に示唆するものは小さくない。進歩陣営 の立場としては、民主労働党の創党で始まった10余年間の進歩政党の第一シー ズンが悲劇的に終わったのだ。政権交替と野党圏連帯という盲目的スローガン は、もうそろそろ手放す時だ。何よりも労働政治の新しいシーズンを開くため には、今の悲劇を正面から対抗して省察すべき時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-12-20 03:40:31 / Last modified on 2012-12-20 03:40:32 Copyright: Default

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