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亀尾フッ酸ガス漏出、2次被害拡散にも対策なし

環境運動連合「管理不良による人災」...亀尾市が積極的に対処せよ

ソン・ジフン記者 2012.10.04 14:44

9月27日、フッ酸ガス漏出事故が発生した亀尾先端産業団地の化学工場一帯に、 2次被害が広がっている。しかしまだ補償どころか避難案内もきちんと作られず、 被害の拡散が憂慮されている。事故収拾のために現場に投入された消防署員と 公務員も身体の異常を訴え、病院に行ったと伝えられた。

今回の事故で5人の死者と数十人の負傷者が発生した。また近隣91haの農耕地の 作物が枯れ、周辺農家の家畜がよだれを垂らしたり飼料の摂取を拒否するなど の異常な症状を見せている。周辺地域の建物外壁や車両も腐食したという情報 提供が続いている。

▲ガス漏出で枯れた農作物[出処:大邱環境連チョン・スグン局長]

大邱環境運動連合のチョン・スグン局長は10月4日朝、YTNラジオの『キム・ガ プスの出発新しい朝』に出演し、この工場の事故対策と予防計画がでたらめ だったと主張した。

チョン局長は「(フッ酸ガスが)飛散した時、中和剤の石灰が必要だが、石灰も なく、22時間後にやっと入手して配られた」と明らかにした。22時間後なら、 すべてのガスは飛散して消えた後だ。フッ酸ガスはLCDや半導体素材を洗浄する ために使われる物質で、主成分のフッ素は基本的に毒劇物に分類されている。 フッ素は猫いらずや殺虫剤の主成分の猛毒物質で、化学戦に使われる神経ガス の基本物質でもある。この化学物質は細胞組織を簡単に通過して、吸入、摂取、 皮膚接触など、ほとんどすべての露出経路に毒性を持つ。

事故で発生したガスの流出量は正確に把握されていないが、20トンの大きさの タンクローリーからガスが漏出し、最大20トンのガスが亀尾市全域に飛散した 可能性がある。このガスは空気より軽く、風に乗って広がったと推測されるが、 無色無臭で、実測も容易ではない。しかも地中と水もフッ酸ガスに汚染された 可能性も濃厚だ。しかし現在、当局は空気中のフッ酸濃度だけを被害基準とし ており、これも問題だ。

▲変色した街路樹[出処:大邱環境連チョン・スグン局長]

チョン局長は工場と工団はもちろん、地方自治体次元で何の対策もなかったと 指摘した。チョン局長は「猛毒性物質を取り扱う業者が村に入って13年にもな るのに、地方自治体は住民に安全対策について何も言及しなかった」と批判し た。さらに亀尾市は「毒劇物は基準値以下なので安全だ。住民はもう家に戻っ ても良い」という立場を見せている。亀尾市のこうした態度のため、事故現場 から近く、被害が一番大きかった烽山里の住民は事故発生一日後に村に戻った。

また亀尾市は事故現場で、フッ酸を水で洗い落とす水清掃を進めた。この水は すべて近くのハン川と洛東江を経て、亀尾市取水源のヘピョン取水場に流れた 恐れがある。事故現場とヘピョン取水場は6Kmほどの距離だ。

環境運動連合は今回の事故を「毒ガスの総体的管理不良による人災」と規定し 「亀尾市の安易な措置がさらに被害を大きくしている」と地方自治体と政府の 早急な対策を要求した。環境運動連合は「亀尾市当局は問題を縮小しようとせ ず、住民の健康上の安全を最優先に考慮して、ここを特別災難地域に宣布して 住民を安全なところに避難させるべきで、亀尾産業団地近隣の工場も稼動を 停止しろ」と主張した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-10-05 10:56:15 / Last modified on 2012-10-05 10:56:16 Copyright: Default

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