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サムスン、無労組経営のために今日も『戦争中』

[韓国社会フォーラム2011]サムスンの支配構造と無労組経営

ユン・ジヨン記者 2011.02.18 06:55

サムスンが80年代から固守してきた無労組経営の方針を、一つの『神話』だと 自負している。一部には、サムスンの無労組状況が労働者の会社満足度による ものだという見方もあるが、サムスンの無労組はすでに「労組を必要としない 経営原則」という会社の方針で位置づけられている。

そのため、サムスンでも何度か労組を結成する試みが存在し、労働界の内外で サムスンの無労組経営への批判は絶えないが、サムスンはなおさら労組結成を 弾圧する壁を固めた。すでに労組結成を試みた労働者に対するサムスンの携帯 電話追跡や懲戒、弾圧、懐柔などの事件は公然の事実だ。

2月17日に開幕した『韓国社会フォーラム 2011』では、サムスンの支配構造と 無労組経営についての企画討論が開かれた。この席ではサムスン無労組経営の 実体と労働の現実、無労組経営の方針で被害を受けた労働者と遺族の事例、 サムスンの支配構造が韓国社会に与える影響などの発表が続いた。

サムスンは、無労組のために今日も『戦争中』

サムスンは、無労組経営を固守する理由として、△労働組合による横暴の遮断、 △産業平和維持の労使関係の目標達成、△労働組合員の弊害と逆機能の牽制、 △労使共同体の形成と人間性回復をあげている。だが事実上サムスンの無労組 政策は少数の経営陣による多数の労働者への横暴としてあらわれる。

サムスン一般労組のキム・ソンファン委員長は「サムスン財閥の無労組経営は それ自体が法律違反行為で、ただ不法と暴力的な方法で維持されて、労働者の 人権を蹂躙してきた」と主張した。また彼は、87年の労働者大闘争以前から、 サムスンが無労組経営のために各系列会社にグループ秘書室を通じ、労務管理 指針書を定期的に送ってきたと明らかにした。

三星グループで労働者統制のために結成された組織は『地域対策委』と言われ ている。地域対策委が各系列の労使担当を指揮し、労組結成を源泉封鎖してい るという。キム・ソンファン委員長は「事故処理班と呼ばれる地域対策委は、 労組を建設しようとする労働者と解雇者の位置追跡、監聴、通話内訳照会など を行い、問題が解決するまで、拉致、監禁を何の罪の意識もなく行っている」 と説明した。

またサムスンは、『御用幽霊労組』を設立することで労組の設立を源泉封鎖し た。労働者に労組結成の動きがあれば、労働部と市庁、郡庁請願室などに職員 2〜3人を待機させ、労働者が労組設立申告を出す前に書類を官庁に提出し、 御用幽霊労組を作ってきたという。

それだけでなく、サムスンの労使管理教本に通じる秘書室の労使管理基本指針 には、11種類の行動指針が規定されている。この指針には、第1段階の侵入前の 対応戦略と行動原則から、侵入後期の解雇、隔離などの第2段階措置、潜伏期と 雰囲気造成時などに当たる行動要領が記述されている。キム・ソンファン委員 長は、「サムスン財閥は無労組経営のためにサムスン労働者と1年365日戦争を しているわけだ」とし「結局これは労働者を武装解除し、サムスン族閥の李氏 一族の極大利益を追求する労働搾取の手段として活用されている」と強調した。

「労組のないサムスンが、夫と息子を殺した」

[出処:チャムセサン資料写真]
こうしたサムスンの無労組経営の固守はそのまま現場労働者の被害につながる。 すでにサムスン半導体とLCDで働き死亡した、白血病などの貴重種患者と遺族が 戦いを続けており、先日自ら命を絶った故キム・ジュヒョン氏の遺族もサムスン との全面戦争を宣布した。労組を結成しようという文を社内掲示板に書き込んで 解雇されたパク・ジョンテ氏も、1人デモなどの闘争を続けている。

今回のフォーラムに参加したチョン・エジョン氏は、サムスン器興工場で働き 白血病で死んだ故ファン・ミヌン氏の妻で、夫の死の糾明と労災認定のために 活動していた。チョン・エジョン氏は「結局、サムスンの無労組経営が夫を殺 した」とし「サムスンが無労組経営をするための弱者の労働者弾圧は、夫のよ うな現場労働者の命を奪ったりもする」と声を高めた。夫と共に10年間、同じ 半導体器興工場で働いてきた彼女は過度な交代勤務とライン生活、有害な化学 物質の使用などにの牽制機構がなく、被害労働者は発生し続けるほかはないと いう問題を指摘した。

故キム・ジュヒョン氏の父キム・ミョンボク氏も、故人の長時間労働と、化学 物質による皮膚病発病など、憂鬱症で死を選択したと主張している。だが、サ ムスン側はキム・ジュヒョン氏の死に対する世論が広がると、遺族に対して多 様な懐柔カードを持ち出してきた。キム・ミョンボク氏は「サムスン電子は、 投身現場を保存するどころか放置するという非常識な行為をし、心の余裕がな い遺族を金で懐柔し、事件自体を隠そうとしている」とし「また、息子の投身 自殺を単純な自殺と罵倒して、いつも言葉を翻している」と批判した。

続いて金氏は「1月21日には工場長の一足遅い弔問の条件として、完全なCCTVの 映像を遺族に見せると約束したが、約束を守らず編集された映像を見せるなど、 事件を隠して責任を回避している」と声を高めた。

また23年間サムスン水原三星電子で働き、労組の必要性を社内掲示板に書き込 んだことを理由に解雇されたパク・ジョンテ氏は「キム・ジュヒョン氏が長時 間の労働と強圧的な労務管理によるストレスと憂鬱症で投身自決をしたのは、 無労組経営の下でのサムスン労働者の労働現実を端的に示す例」と説明した。

パク・ジョンテ氏は、労組の必要性と労働条件改善を会社に要求したが、海外 出張とイジメ勤務、解雇などの弾圧を受けた事例だ。パク氏は「サムスンは、 無労組経営で労働者を弾圧、抑圧して、人権蹂躙とイジメなど、非力な労働者 を錆びた機械や故障した機械のように扱っている」と批判した。

「サムスンへの攻撃は『賎民性』より『資本自体』に」

一方、サムスンの無労組経営は韓国社会では特殊な状況ではない、財閥グルー プで公然と起きている労組弾圧の最も典型的な事例とされている。全泰壹労働 大学のキム・スンホ代表は、「サムスンの無労組でもLG、現代重工業などの 御用労組は事実上同じ」とし「サムスンでの無労組は、韓国財閥の労組忌避の 傾向の代表的な事例を示すもの」と説明した。

だがサムスンという財閥の独占性と市場支配の構造は、労働市場だけでなく、 韓国社会全般に影響する。賎民的企業態度と財閥の経済支配力増大、社会の 二極化、人間破壊などの抽象的な影響は社会の実際の姿を変えるからだ。

キム・スンホ代表は、サムスンの支配体制が韓国社会に与える効果について、 「組織的で体系的なロビーと親サムスン人脈ネットワークの形成と管理などは、 賎民的資本主義国家の再生産を導く」とし「特に言論の所有、広告弾圧、大学 の所有、財閥経済研究所を通じた談論の生産と普及などは、社会の談論を賎民 資本主義の必要に合った内容で生産して普及させる」と批判した。

だがキム・スンホ代表は、サムスン財閥が社会に与える否定的な影響を社会の 賎民性だけに制限することを警戒するよう強調した。彼は「賎民性と前近代性 だけに制限させるのは、賎民性が除去された資本を美化することになり、労働 運動が財閥の賎民性を除去するために闘うようにさせる」とし「これは後発の 超国籍資本を先進的な超国籍資本化するもので、原則的にこれには財閥も反対 しない」と警告した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-02-18 17:10:55 / Last modified on 2011-02-18 17:11:08 Copyright: Default

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