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韓国:虚偽事実とインターネット | ||||||
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虚偽事実流布、代案立法?...廃止が『正解』だ[寄稿]虚偽事実とインターネット
チャン・ヨギョン(進歩ネットワークセンター) 2010.12.30 11:52
憲法裁判所、「虚偽通信は違憲」...代案立法を議論12月28日、憲法裁判所は電気通信基本法第47条第1項のいわゆる「虚偽の通信」 条項を違憲とした。この条項が明確でないために、表現の自由を侵害するとい う憲法裁判所の判断は極めて合理的だ。しかし今日の韓国では、ある人たちに とってはこの合理性が衝撃的だ。すでに一部では、反社会的なインターネット の流言飛語が「免罪符」を受けることになったとして「法治の空白」を防ぐ 「代案立法」が切実だと叫ばれる。憲法裁判所の決定はもうひとつの議論に火 をつけた。 事実、議論はインターネットが人類の歴史に登場してから続いてきた。世界が インターネットをめぐり戦争に近い舌戦を行っている。最近のウィキリークス の事件でも見られるように、その戦争は各国の政府 対 世界の市民の間の戦争 だ。政府は言う。『表現の手段はそれを表現する資格がある人々に与えられる べきだ。ところがインターネットは事実を確認して芸術性を判断する能力がな い人々に与えられた。これは極めて過分で憂慮される事態だ。だからインター ネットでは、能力のない者が量産した虚偽の事実がほとんどだ』これが彼らが インターネットを見る観点だ。 韓国では李明博政権の前後、この論争に一段階を加えてきた。インターネット の政治的な色合い論争だ。2008年のキャンドルデモの後で多くの人々が道路に 集まった市民を説明する言葉を探した。国務総理室をはじめ、政府の一部は、 その背後を特定の政治勢力だと言いたかった。しかしそれは不可能で、そのた め彼らは市民がインターネットに出回った「怪談」に誘惑されたと結論した。 彼らにとってこの背後論が街頭の市民を説明する一番説得力ある理論だったし、 それで2008年7月キャンドルデモが弱まり戦列を整えた政府が「サイバー侮辱罪」 の導入を明らかにしたのは当然の成り行きだった。 ![]() [出処:チャムセサン資料写真] 虚偽通信条項、狂牛病政局で50年ぶりに復活1961年に「虚偽の通信」条項が制定されてから死文化していたが、約50年ぶり の狂牛病政局で一般市民を刑事訴追するためにまた使われ始めたのは必然的だっ た。彼らは法典からインターネットを規定する彼らの言語を捜し出した。何よ りも一般市民の「虚偽事実流布罪」は大逆罪だという思いが彼らの中で支配的 だった。大逆罪は文字通り「国家と社会の秩序を破壊する問題を起こす罪」で、 王権を犯したり大君を殺す罪だ。どうして政府の発表内容と違う叙述がインター ネットで一番先に出てきていいものだろうか? 2008年5月「狂牛病怪談」を「虚偽の通信」条項で刑事訴追する直前に、法務部 は「狂牛病怪談10問10答」を発表した。「こうした主張を刑事処罰する」とい う暗示が色濃くたちこめる問答表には、PD手帳裁判から最近まで議論になって いる「韓国人は狂牛病に弱い遺伝子を持っている」という叙述が含まれていた。 科学的真実とは無関係に、政府が特定の叙述に対して事実だとか事実ではない と指摘したとことが重要だ。結局政府の意見と異なる叙述がつまり「虚偽事実」 なのだ。 結論として政府の10問10答に反する叙述で処罰された事例はなかったが、大々 的な「怪談捜査」の末に「5月17日ストライキ休業」という携帯メールを送った 青少年が刑事起訴された。今年の9月に彼は大法院で無罪判決を受け、当時スト ライキ休業は行われなかった。3年間彼が味わった苦しみも小さくない。全国民 が彼の苦難を見守りながら「科学的な根拠が希薄なら」なぜ不法なのか、狂牛 病への私の素朴な疑問を「非科学的だ」という理由で表現してはいけないのか、 多くの「合理的」な疑いも消えていった。結局この波乱に満ちた捜査の過程は 国民に次のようなメッセージを明確に伝えた。「政府に批判的な文をインター ネットに載せれば処罰される覚悟をしろ」。これが彼らが彼らの「虚偽事実」 への対応方法だ。数年後の無罪判決はあまり重要ではない。捜査は今この時点 に発揮する政治的効果がある。「萎縮効果」だ。 このパターンは「ミネルバ」事件でも繰り返された。政府の経済政策を批判し たミネルバが「虚偽事実を流布した」という名分で拘束され起訴された事件は、 その大衆的な衝撃ほどに萎縮効果も大衆的だった。多くの論客がその当時、 「絶筆宣言」をした。天安艦と延坪島事件の時も同じだった。政府は、政府の 発表内容と違う叙述は「虚偽事実」だと規定してきた。天安艦事件に対する他 の原因推定は許されないということだ。大統領が戦争記念館で談話文を発表し た翌日、友人に戦争が起きるとメッセージを送ったとして検察が青少年を起訴 したのも、明確な政治的なメッセージが滲んでいた。軽挙妄動するなというこ とだ。ますます状況は悪くなっていた。さらに、この前放送通信委員会は政府 の機関が「虚偽事実」と指定した掲示物をポータルなどから即刻削除する方案 を講じて問題になった。事実上、検閲が猛威をふるった。 サイバー侮辱罪が導入されれば、『チッパギ』表現も刑事処罰今回の憲法裁判所の決定は、こうした政府の態度にひとまず制約を加えたとし て評価できる。しかし法理以前の問題は政治性だ。われわれは「虚偽の通信」 という罪目も「発明」されたに過ぎなかったという事実を忘れてはならない。 何が「虚偽事実」なのかは権力関係により規定されてきた。他の罪目もいくら でも発明できる。李明博政権下で、大韓民国の検察は驚くべき創意を発揮して きたではないか。「サイバー侮辱罪」の新設ももう一つの方策だ。発議された 法案のとおりなら、サイバー侮辱罪以前と以後は大きく変わるだろう。現行の 通りなら、大統領が直接告訴するまでは「チッパギ」というニックネームを処 罰することはできないが、サイバー侮辱罪以後は大統領が告訴せずに「チッパギ」 を刑事処罰できる。 結局、戦いは私たちの役割だ。インターネットを見る言語は何であるべきか。 キャンドル・デモの時の女性死亡説、女性強姦説、戦闘警察離脱説など、事実 ではないデマがインターネットにさまよったのは事実だ。その時、われわれは その言葉がどんな状況で出たのかを洞察しなければならない。言葉が状況を作 ることもあるが、概して言葉は状況が作る。心理学者のニコラス・ディフォン ゾとプラシャント・ボルディアは、うわさを「ある集団が曖昧な状況に陥った 時、その状況を説明しようとする集団的な努力」と説明した(ウィキペディア)。 心理学者G.W.オールポートとL.ポストマンは、うわさの強度はその内容の重要 性(impotance)と不確実性(ambiguity)の積で現わせるといった。戦争、恐慌、 災害、政治的混乱などの深刻な危機状況に置かれた時、人々はしばしば強い不 満や不安を感じ、急変する事態に備える確実な情報が不足するため、こうした 流言飛語の影響を受けるようになる(ブリタニカ百科事典)。当時そんなデマが インターネットにさまよった理由は、5月末と6月初めまで続いた警察の無茶な 鎮圧のためだ。たいていの市民は初めて経験する阿鼻地獄の中で殺人と強姦が 起きたかもしれないと考えた。また、何の罪もない非武装の市民を、まさに彼 らが税金を払って食わせている戦闘警察部隊が何の動揺もなく残酷に攻撃する とは信じられなかった。 虚偽事実流布罪? 廃止すれば良い嘘は悪い。個人を社会から抹殺する流言飛語は許されない。しかしそれはすで に名誉毀損の法理で十分に律されてきた。何よりも、時局に嘘をついたという 理由で国家が刑事処罰するのは人権侵害だ。去る5月に韓国を訪問したフランク・ ラルィ国連表現の自由特別報告官は「虚偽の通信」条項についてこう話した。 「ある意見が事実でなくても、単にその意見を表現したという理由だけで誰も 起訴されてはなりません。国連自由権委員会は虚偽や未確認の情報を法で禁止 することは、表現の自由を過度に制限するものと発表しました。私は、言論が 金融機関を調査して批判するにあたり、さらに積極的な役割を果たしていたら、 世界の金融危機は緩和されていたという点を指摘しようと思います。韓国政府 にこの法律条項の削除を勧告します」。先日、大法院が緊急措置1号の流言飛語 罪を違憲と判断したのも大きく違わない脈絡であろう。 大衆社会において、私たちの人生は多くの虚偽事実やデマに満ちている。今日 も証券市場には多くのデマがさまよう。デマを静める方法は釈明だ。事実でな いことは事実ではないと釈明すれば良い。その釈明が信じられなければ不信が 深いからだ。透明でも民主的でもない国家では、人々が政府の釈明よりデマを 信じる。したがってインターネットのデマに対応する方案は、さらに透明で、 さらに民主的な社会を作ることでなければならない。インターネットに対する 戦いも、結局、能力がない者たちの民主主義に対する戦いだ。「虚偽事実流布罪」 に代案立法は必要ない。廃止だけが答だ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2011-01-02 17:10:43 / Last modified on 2011-01-02 17:10:44 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |