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満26歳の半導体労働者、闘病中に死亡…「お母さん必ず戦って勝ってくれ」

ソウル半導体で働いて希少病と診断…労災承認にも会社は労災取り消し訴訟を提起

パク・タソル記者 2019.04.10 08:09

半導体工場で働いていた若い労働者が4月8日夜11時43分、 新村のセブランス病院集中治療室で悪性リンパ腫で闘病していたが死亡した。 「美しい花が咲く」という名前を持つイ・ガヨン氏は、 やってくる春に咲く花をみることができないまま、満26歳で息をひきとった。

イ氏が初めて悪性リンパ腫(未分化大細胞型リンパ腫)の診断を受けたのは2017年9月。 ソウル半導体で働いて2年7か月が過ぎた時であった。 イ氏は2015年2月、スタッフスという派遣業者を通じてソウル半導体に約2か月程度派遣されて働き、 その年の5月から正規職として入社して働いてきた。 それまではSP半導体で約3年7か月働いた。

希少病と診断されたイ氏は2017年10月から6週間の坑癌治療を終わらせたが、 昨年9月にリンパ腫が再発し、再度坑癌治療を始めた。 今年の1月には造血幹細胞移植手術を受けた。 家に戻り感染管理をしていた3月、イ氏の状態が急激に悪化した。 高熱で応急室を訪れることになった。 3月24日にも胸の痛みを訴えたイ氏は緊急に応急室を訪問した。 イ氏と家族は結局医者に細胞変形があり、転移したようだという話を伝え聞いた。 また同種の造血幹細胞移植をするには6か月後ぐらいに可能な状況だったため 標的坑癌治療法を選び、故人が死亡した日は標的坑癌治療に入った日だった。

その間、勤労福祉公団は 故人の悪性リンパ腫を労災と認定した。

2018年10月、勤労福祉公団ソウル業務上疾病判定委員会は 「申請人(イ・ガヨン氏)は長時間勤労と昼夜間交代勤務、 配合(ミキシング)業務、テーピング固定、切断(ソーイング)業務を遂行し、 安全装備の支給もなく半導体の製造工程が持つ内在的な危険要因である 揮発性有機化学物に露出し、 同一事業場の他の災害者の疾病関連の疫学調査資料から、 作業場内でホルムアルデヒドとベンゼンが検出されたので、 申請傷病は業務上災害と認定されなければならない」と明らかにした。

また「業務内容を検討した結果、事業場で申請傷病の原因になる物質の ホルムアルデヒドが微量だが検出された点、 業務環境を考慮すれば突発的に相当量のホルムアルデヒド露出の可能性を排除できない点、 半導体工場の換気システムを考慮すれば申請人が直接働いている工程でなく、 他の工程で露出した有害物質も申請人が露出したと見られる点、 さまざまな有害要因が一気に露出すると相乗作用を考慮しなければならない点、 1日10時間昼夜間交代勤務をして身体リズムが非常に不規則だったと見られる点などを総合的に考慮すれば、 業務と申請傷病との相当の因果関係が認められる」というのが委員らの多数意見だった。

実際、イ氏は働いている間、有害物質と長時間労働のような危険に露出し続けてきた。 イ氏は勤労福祉公団に提出した資料で 「食事時間は30分ずつを2回、休み時間は10分を2回与えられ、 実休憩時間は一日1時間20分しかなかった。 いつも処理しなければならない物量で圧力を受け、 そのために追加勤務をした記録を確認できる。 ささいなことも指摘されるほど厳格な労務管理をしていた」と主張した。 夜昼2交代10時間勤務をしたイ氏は追加勤務をすると12時間まで働くこともあった。

イ氏の母親のイ・ミラン氏は、マスクなどの安全装備が不十分で、 安全教育も不十分だったと強調した。 イ・ミラン氏は「ガヨンが会社が提供する防毒マスクは貴賓用だと話していた。 バイヤーがきたり偉い人がくれば使って見せるものということだ。 実際に会社が配ったマスクは1重だが、ガヨンはこれがなんとなく気まずいとし、 2重マスクを買って使ったし、周辺にも配っていた」と話した。

イ・ミラン氏はまた「会社の関係者は職員が苦しくてマスクを脱ぐので 自分たちの責任ではないと言ったりもしたが、 安全教育を数回させても危険を十分に知らせ、必ず着用させるべきであった。 あなた方が傍観したことにはそれなりの責任を問わなければならないと指摘した」と話した。

ソウル半導体、2番目の患者にも「誤りはない」

勤労福祉公団が労災を認定しても会社は労災認定取り消し訴訟をして家族を絶望させた。 2019年2月初め、ソウル半導体人事チーム長はイ氏の家を訪問し、 会社が労災認定取り消し訴訟を検討中だといった。 移植手術を受けたイ氏が退院してから三日目だった。 検討中という言葉も嘘だった。 会社はすでに1月に取り消し訴訟を提起した後だった。

この知らせを聞いた「半導体労働者の健康と人権守備隊パノルリム(以下パノルリム)」はソウル半導体に文書を送り、 この訴訟がイ氏と家族にどれほど大きな苦痛を与えるのかを説明し、 訴訟取り下げを丁重に要請したが、会社の態度には何の変化もなかった。

パノルリムは4月9日の追慕声明で 「ソウル半導体は職業病の苦痛に慰労しないどころか、 逆に最低の治療と生存の権利のための労災保険補償まで妨害するために訴訟を辞さなかった」とし 「何よりも再発と治療で身と心が虚弱なりきっている状態で、 こうした会社の通知がガヨンさんにどれほど大きな衝撃だったか、 腹立たしい」と批判した。

イ・ミラン氏は娘が二つの会社で優秀社員賞を受けるほど一生懸命働いたと訴えた。 それと共に、娘が急死したために多くの言葉は残せなかったが、 必ず戦って勝ってくれという言葉を遺言にしていると述べた。 イ・ミラン氏は「会社の関係者が来た後に、 娘が私に必ず戦って勝ってくれといった」とし 「お母さんがどうにか解決する、お母さんは青瓦台に行ってもプラカードを持つ自信がある、 そこ(ソウル半導体)に残っている人のためにも、私たちの訴訟が最初の一歩をうまく踏み出さなければならないと考えているから心配するなと娘に話したが、 会社がこのようにまでするのが腹立たしく残念だ」とため息をついた。

ソウル半導体では以前にも白血病患者が出てきた。 2012年10月から2013年2月まで、ソウル半導体で働いた当時27歳の女性、ソン・ヨンナン氏は、 モールディング工程、エポキシ製造などに投入されて働いていたときに白血病の判定を受けた。 労災認定を争い、結局不承認になったが、 ソン氏の事件でソウル半導体を疫学調査してホルムアルデヒドとベンゼンが検出されたことを資料に残した。

2014年、ソン・ヨンナン氏はパノルリムを通して 「私が扱う化学物質がどれほど危険なのか、会社は何も知らせなかった。 私のように若い人が一つしかない生命を担保にして今後もこのような危険な仕事をすると思うと この社会が恐ろしい」とし 「少なくともどんな危険な化学物質を自分が触っているのか分かるようにしてくれ」と話した。

平凡に働きたいという娘の夢

4月9日の晩、新村のセブランス病院葬儀場で会ったイ・ミラン氏は 娘の話をして何度も胸を叩いた。 イ・ミラン氏は娘が病気になったのはすべて自分のせいだと感じた。

[出処:パノルリム]

「我が家には借金が多く、ガヨンにお前と私が一緒に借金を返して立ち上がろうと話しました。 以前の職場の月給が少なく、ソウル半導体を見つけたのも私です。 私がソウル半導体に入れたのと同じです。 今は私を八つ裂きにしまいたいです。 その会社は職員も1000人近くいて、良い会社だと思いました。 しかし違いました。 ガヨンを傷つけて、病気にしたではないですか。 会社で職員が不安に思い、会社の名誉が失墜したから、 労災取り消し訴訟をするといいます。 容認できません。 ガヨンが酒タバコをしましたか、どこかで別の仕事をしましたか。 12時間その会社空気を吸って、終わればそのまま寄宿舎に戻りすぐに寝るのに忙しかった子です。」

イ・ミラン氏は娘が病気になった後、いつまでも生きてほしいという意味で 数字の「5」にしがみついた。 ティッシュを選ぶにも5個ずつ選び、 スーパーに行けば何でも5個ずつ買った。 着名所で長く生きられる名前ももらってきて、家では「ハユン」と呼んだ。 「あと50年生きたらどれほど良かったでしょう。 私が気持ちが良くなければハート踊り、チャンク踊りをした子でした。 分身をなくしたようです。 何をしても一緒にしようといったのに、私はもう一人で何ができますか」と話すイ氏は涙を拭った。

ガヨン氏の夢は何だったのだろうか。 イ・ミラン氏は「ガヨンはコンピュータ学院に通いたかった。 コンピュータを学んで、現場ではなく普通の平凡な事務職のように働きたかったと。 私が金を借りてもするといったのに…」と言葉を濁した。

一方、この日の晩、ソウル半導体の社長と人事チーム長が葬儀場を訪れて騒ぎになった。 遺族は「病気で病院に寝ていた時はいくら来いと言っても一度も顔を見せなかったのに、 死んでから確認しに来たのか」と憤慨した。 訴訟を取り下げなければ葬儀手続きを無期限に延期するとも宣言した。

ソウル半導体の代表は 「10日午後12時までに労使協議会で決める」と即答を避けて帰った。 そのため遺族は10日朝に予定された出棺を取り消して 会社の決定を待っている状態だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-04-18 00:18:40 / Last modified on 2019-04-18 00:18:42 Copyright: Default

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