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「わだつみ会」の小野です。 「日本戦没学生記念会」（わだつみ会）は、本日、常任理事会において、以下の抗議声明 を決定しましたのでお知らせします。 5月7・8・9連続3日間の国会前ヒューマンチェーン（9日は丸一日内閣委員会傍聴）には名 古屋から駆け付けましたが、本日は馳せ参じることが出来ませんでした。 今後ともよろしくお願いいたします。 屈せず、諦めず、粘り強く、法案廃案を目指して最後まで闘い続けましょう！ お元気で。再見。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「学問の自由」を圧殺し、学問を軍学共同の道具にする「日本学術会議特殊法人化法 案」の衆議院本会議での強行採決に抗議する！ ２０２５年５月１３日 「日本戦没学生記念会」（わだつみ会） １．私たち「日本戦没学生記念会」（わだつみ会）は、絶対不戦の立場から、「学問の自 由」を圧殺し、学問・科学を軍学共同の道具にし、戦争への道を開く「日本学術会議特殊 法人化法案」に抗議し廃案を求めるものである。 私たちは、法案の廃案を目指して、多くの良心的な学者、全国の市民と共に、法案廃案の 署名活動を進め、２万筆以上の署名を内閣府に届けたあと、＜日本学術会議の「特殊法人 」化に反対する学者・市民の会＞を結成し、２度の院内集会、４回の国会前ヒューマンチ ェーン（人間の鎖）などのさまざまな活動を続けてきた。 ２．「日本戦没学生記念会」（わだつみ会）は、戦後の再軍備に反対する運動の中、１９ ５０年に戦没学徒の遺族や当時の知識人、学生たちによって結成された非戦・不戦・反戦 ・平和団体である。「学徒出陣」８０年の２０２３年１０月、「政府の戦争準備行為をや めさせ、絶対不戦を守り抜きましょう」という「学徒出陣」８０年声明を発表した。 「アジア・太平洋戦争」終局の１９４３年（「昭和」１８年）に兵力不足を補うため、高 等教育機関に在籍する２０歳（１９４４年１０月以降は１９歳）以上の文科系〈および農 学部農業経済学科などの一部の理系学部の〉学生を在学途中で徴兵し出征させた。日本国 内の学生だけでなく、当時日本の統治・占領下の台湾や朝鮮、「満洲国」や日本軍占領地 、日系二世の学生も対象にされた。１９４３年（昭和１８年）１０月２１日、２７０００ 人の学徒が雨の中、７万人を超える女学生たちが参加する中、東京の明治神宮外苑競技場 で、文部省主催、陸海軍省等の後援で実施された。全国各地の７７大学などでも「出陣学 徒壮行会」「出陣学徒壮行会」が行われた。その後、全国で、「徴兵検査」が行われ、１ ９４３年（昭和１８年）１２月１日、陸軍へ入営し、１２月９・１０日に海軍へ入営した。 ３．「日本学術会議特殊法人化法案」は、５月９日、衆議院内閣委員会でのわずか１０数 時間の審議により、自民党、公明党、日本維新の会の賛成により採決が強行され、自民党 ・公明党・日本維新の会の賛成２１票、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・れいわ新 選組・有志の会の反対１８票の僅差で採択された。そして、本日の衆議院本会議において 、日本維新の会の賛成討論、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・れいわ新選組の反対 討論の後、自民党、公明党、日本維新の会の賛成、立憲民主党・国民民主党・日本共産党 ・れいわ新選組・有志の会の反対により採決が強行された。「日本学術会議特殊法人化法 案」は、「学問の自由」を圧殺し、学問を軍学共同の道具にし、戦争への道を開き、「軍 産学共同」で、学問・科学を軍事的済的利益に貢献させるための法案に他ならない。私た ちは、本日、５月１３日、衆議院本会議での「日本学術会議特殊法人化法案」の強行採決 に抗議するものである。 ４．今回の「日本学術会議特殊法人化法案」は、権力による違法な人事介入であり、日本 学術会議の独立性を侵害するものであった２０２０年の菅義偉首相による日本学術会議会 員候補６人の任命拒否を逆手に取り、日本学術会議の独立性を奪い、学問・科学を軍学共 同の道具にし、軍事研究をはじめ政府や財界の意に沿う方向に学術界を動員するために、 日本学術会議への政府・権力の全面的管理統制するために準備された法案である。私たち は、改めて、石破政権に対し、一刻も早く６名の任命拒否の撤回を求めるものである。 ５．「日本学術会議特殊法人化法案」は、「日本学術会議法」の前文を削除し、「科学者 の総意の下に」「わが国の平和的復興に貢献する」という日本学術会議設立の原点を消し 去り、「科学者の総意の下に」「独立して職務を行う」という日本学術会議を解体するも のである。新たに設けられる外部者からなる選定助言委員会は、学術会議の会員選定方針 に意見を言うほか、候補者選定にも介入できるものである。時の政権にとって都合の悪い 学者を排除する制度を法律に組み込み、会員の任命拒否をしなくても人事介入ができるこ とになる。５月９日の衆院内閣委員会において、坂井学・内閣府特命担当相は、「党派的 な主張を繰り返す会員は今度の法案では解任できる」という答弁を行った。学者の政治的 主張や活動は学者としての学識にもとづくものであり、政府に都合の悪い言動を「党派的 」と勝手に認定して排除することは、憲法が定める「学問の自由」や「言論・表現の自由 」の明白な侵害になるものであり、私たちは、坂井学・内閣府特命担当相の答弁に断固抗 議し発言の撤回を求める。 ６．「日本学術会議特殊法人化法案」は、日本学術会議が内閣府に対して確保を求めてい たナショナル・アカデミーの５要件（�々餡蛤眄�支出による安定した財政基盤、��活動面 での政府からの独立、および�２餔�選考における自主性・独立性の各要件）を充足せず、 日本学術会議会長声明で示した５つの懸念（�‖膺断ぬ燭隆道�の設置を法定すること、�� 大臣任命の評価委員会の設置を法定すること、��「中期目標・中期計画」を法定すること 、�ぅ魁Ε�プテーションの考え方の逸脱になる次期以降の会員の選考に特別な方法を導入 すること、�チ�考助言委員会の設置を法定することに対する懸念）も払拭されていないも のである。「法案」は、「国から独立した法人になるから必要ない」として、憲法２３条 が保障する「学問の自由」にもとづいた「独立して職務を行う」という現行法の規定を削 除し、政府が学術会議の人事、活動、財政にわたって介入する仕組みを幾重にも設けたこ とは、日本学術会議の「独立性」を侵害するものである。日本学術会議が４月１５日の総 会で採択した「声明」では、「政府からの独立、会員選考における自主性・独立性が充足 されておらず、むしろ独立性の阻害が意図されている」と深刻な懸念を表明している。さ らに、５月７日の衆院内閣員会の参考人質疑で梶田隆章日本学術会議前会長が述べたよう に、学術会議の同意のないまま組織や会員選考の変更を法定化すること自体が、日本学術 会議の独立性・自律性を侵害するものである。「日本学術会議特殊法人化法案」は、日本 の国際的科学アカデミーである日本学術会議から独立性・自主性・自立性を奪うものであ り、日本学術会議の歴代会長６氏の声明が「日本の学術の終わりの始まり」と言う通り、 日本学術会議を政府・権力が全面的に管理統制できる組織に代えるものである。学術会議 をめぐって今起きていることは、学問研究の世界に限らず、市民一人ひとりの自由や民主 主義に深く関わる問題である。日本の科学者を内外に代表する組織である学術会議は、国 の「特別の機関」に位置づけられ、政府からの独立と自律が法で保障されている。組織の あり方は本来、学術会議側が主体的に考えるべきことであって、政府から指図を受ける必 要はない。私たちは、「学問の自由」を侵害する学術会議の法人化に強く反対する。 ７．「学問の自由」の侵害が、言論や思想の苛烈な弾圧・統制につながったことを戦時下 の歴史は教えている。「滝川事件」は、１９３３年、京都帝国大学法学部の瀧川幸辰教授 がおこなった講演やその著書が自由主義的であるなどとして、当時の鳩山一郎文部大臣が 滝川教授の休職を決定したことから始まった思想弾圧である。滝川教授の学説は▽社会環 境をよくしなければ、刑罰をいくら重くしても犯罪はなくならない▽妻の姦通だけを犯罪 にして夫の姦通を不問にするのはおかしいというごく普通の内容である。この決定に対し て、学問の自由や大学の自治を侵害などとして、１９３３年５月２６日、首相官邸での閣 議決定を経て滝川教授の休職が発令された。その後、京大法学部教官は全員辞表を提出し 、学生らも抵抗したが、覆ることはなく、６月に小西京大総長は辞任した。後任の総長が 滝川を含めた６人の教授らの辞表を文部省に提出し、多くの教員が京大を去った。また、 「天皇機関説事件」（１９３５年）は、憲法学者の美濃部達吉の著書が発禁処分とされ公 職も追放された。国家を法的に一つの法人とし、天皇はその最高機関として位置付ける天 皇機関説は、政党政治に正当性を与える学説で、美濃部はその主な論者だった。「滝川事 件」後、政府は学問への抑圧を強め、学問を軍事に従属させる事態が続いた。戦後、大日 本帝国憲法（明治憲法）時代に起きた「滝川事件」や「天皇機関説事件」への反省から、 憲法２３条で、大日本帝国憲法にない「学問の自由」が定められた。現在の憲法２３条「 学問の自由」は、滝川事件や天皇機関説事件など、学問の自由ないしは学説の内容が、直 接に国家権力によって侵害された歴史を踏まえて特に規定され、「学問の自由」条項には 、学問研究や発表の自由に留まらず、自由な研究を実質的に裏付けする研究者の身分保障 、さらに政治的干渉からの保護の意味がある。 ８．私たち「日本戦没学生記念会」（わだつみ会）は、絶対不戦の立場から、滝川事件や 天皇機関説事件をなど、言論や思想の苛烈な弾圧・統制によって、学問・教育・言論・メ ディアなどが侵略戦争につながった歴史を踏まえて、日本国憲法の条文に明記された日本 国憲法２３条「学問の自由」を侵害する「日本学術会議法人化」に強く反対する。「学問 の自由」を圧殺し、学問・科学を軍学共同の道具にし、戦争への道を開く「日本学術会議 特殊法人化法案」の衆議院本会議での強行採決に抗議するとともに、多くの良心的な学者 、全国の市民と共に、参議院での「日本学術会議特殊法人化法案」の廃案を目指して奮闘 するものである。 以上
Created by staff01. Last modified on 2025-05-13 22:41:45 Copyright: Default