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LNJ Logo レイバーブッククラブ読書会 : 「天皇制・笑い・政治主義」太田昌国さん交えてディスカッション
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読書会『〈万人〉から離れて立つ表現―貝原浩の戯画を読む』報告

4月2日(土)午後2時から第35回〈ブッククラブ 〉読書会がオンラインで開かれました。参加者は11人(欠席連絡をいただいた方は2人)。取りあげた本は『〈万人〉から離れて立つ表現―貝原浩の戯画を読む』(太田昌国、藤田印刷エクセレントブックス)です。

当日は著者の太田昌国さんにも参加いただいて、いつに増して活気ある討論が展開されました。本書に掲載された戯画は1980年代前半から2005年までに描かれたものです。中曽根から小泉に至る時代の権力者たちが風刺を効かせて活写され、ユーモアで包む表現に皆共通して感心しました。

著者はこの戯画を単に説明するのではなく、自身の状況観・時代観を基礎に鋭い批評を展開しています。なかでも著者の天皇制批判をめぐる論点に共感の意見が多く出されました。また貝原戯画のユーモアを孕む表現の可能性にも討論は及びました。著者は貝原の戯画は「対象の憎々しさにとどまらない、哀れさまで浮かぶ」描写であることを指摘。文章の世界でも言葉をいくら過激にしても人の心にはとどかない。笑いも重要な課題で、たとえば永井愛の演劇世界なども一つの参考として、ユーモアを込めた文章表現の可能性をさらに考えたいとの著者の発言も印象に残りました。

また政治主義に陥らないためには社会総体、そして生活の幅全体に及ぶような批判のあり方を常に大切にしたいという言葉―静かで謙虚な語り口とともに、それは著者の批評を貫く鉄則のように響きました。

●次回読書会は6月4日(土)午後2時オンラインで開会します。
テキストは『忘却の野に春を想う』(姜信子・山内明美、白水社、2200円)です。本書は『ごく普通の在日韓国人』はじめ多数の著作のある姜(1961年生)と宮城県南三陸町に生まれ現在・宮城教育大准教授の山内(1976年生)との幾つもの主題をめぐる往復書簡で構成されています。詳細は改めてご案内します。(志真秀弘)


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