本文の先頭へ
LNJ Logo 非正規労働者の尊厳を取り戻そう!/『メトロレディーブルース』劇場版、公開へ
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0409metro
Status: published
View


非正規労働者の尊厳を取り戻そう!〜『メトロレディーブルース』劇場版、公開へ

志真秀弘

 いま非正規労働者は2100万人を超える。そのうち70パーセントは女性だ。その現実をえぐり出したドキュメンタリー『メトロレディーブルース』の短編シリーズは、レイバー映画祭などで上映され大きな反響を呼んできた。そして今回、大幅な追加取材を加え再編集した劇場版『メトロレディーブルースー東京メトロ「非正規」物語』(2021年・83分・制作=ビデオプレス、取材構成=松原明・佐々木有美)が、4月11日(日)13日(火)のいずれも午前10時35分からアップリンク渋谷で初公開される。

 2013年3月には、労働組合のことなど何ひとつ知らなかった東京メトロ売店で働く契約社員の女性たちが、やむにやまれず組合を作りストライキに立ち上がる。翌2014年、非正規契約社員と正社員との差別撤廃を求めて提訴し、地裁・高裁をへて2020年の最高裁判決までたたかいは8年におよんだ。映画は、後呂良子、加納一美、瀬沼京子、疋田節子さんたち4人の生活、メトロ売店の職場、さらに法廷闘争を描いていく。時給1000円で月にして手取り12〜13万、手当なし。正社員は福利厚生完備で、賃金差は10年で1000万をこえる。「全く同じ仕事をしていてこんな差別はおかしい」。人間として当たり前の怒りが、たたかいの原動力だった。

 そして彼女たちはどこまでも粘り強い。負けても負けても自分の気持ちにどこまでも正直なことにみていて胸をうたれる。そして時々に組合の交流会で披露する寸劇「白浪五人女」や「女三人吉三(おんなさんにんきちさ)」の口上が無類に楽しい。そのシーンから4人の女性たちの明るい人間性が浮かび上がる。

 それだけではない。カメラはチームワークが思いがけず崩れそうになる瞬間もとらえる。笑って泣いて、泣いて笑って、そして気を取り直して歩き出す。生きることの一コマがブルースのように映る。人間の尊厳を無視する非正規労働の現実に対して、映画は尊厳をどうやって取り戻すかを、非正規労働者自身のたたかいを通して描く。2100万人をこえる労働者内部の構造的差別は、社会全体に影を落としている。コロナ禍のもとでその状況にますます拍車がかかる。それを変える行動のためにいま必見の映画です。

アップリンク予約受付中(4.11、4.13両日、メトロレディーたちのトークあり)

「毎日新聞」記事(東海林智記者)


Created by staff01. Last modified on 2021-04-12 09:54:36 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について