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参院選の争点「最賃1500円」の実現を!〜クリーニング店で働く渡辺香織さんが訴え

動画(3分)

 最低賃金1500円を公約に掲げる政党は多いのに、なぜか最賃選挙が盛り上がりを見せない。

 東京・埼玉にビジネス展開するクリーニング店で働く、渡辺香織さん(41/写真)は埼玉県の支店に勤めており、時給は埼玉の最低賃金898円(2019.7月現在)。県境をこえた隣の駅にある支店の時給は東京都の最低賃金である985円。この差は一年間で18万円にものぼるという。渡辺さんは全国一般三多摩労働組合に加入しており、渡辺さんが働くクリーニング店の分会は、最低賃金による地域間格差を如実にあらわすモデルとして、テレビ・新聞でも注目されている。

 あるニュース番組の特集に出演したときには、食事としてパスタにふりかけをかけたものだけを食べる様子に、担当ディレクターもテレビを見た人も彼女の健康を心配したという。しかし本人はいたって自然なようすで「ふりかけをかけたパスタが好き」と茶目っ気たっぷりだ。しかし母親と二人暮らしの家計をクリーニング店のバイトで賄っている以上、倹約は慣れっこになっているのだろう。

 渡辺さんは「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」でも活躍しており、集会では何度も発言している。このキャンペーンはレイバーネット関係者も多くかかわり、街頭宣伝だけでなく、最賃決定方法についての調査報告書をまとめるなど精力的に活動している。

 渡辺さんが働いているクリーニング店の分会は、経営側と何度も交渉を重ねているが、クリーニング店としては「最低賃金で働いてくれる人に勤務してほしい」という姿勢はかわらない。そのクリーニング店に限らず、多くの求人がその地域の最低賃金を提示しているのが現実である。だからこそ労働組合が機能していても、していなければなおさら、労働者の賃金を上げるには最低賃金を上げる必要がある。

 動画は、渡辺さんが所属する全国一般三多摩労働組合朝倉玲子書記長が、最低賃金1500円を公約に掲げ、この夏の参議院選挙に出馬した際の応援演説のようすだ。消費低迷の折、抜本的解決策として全国一律最低賃金1500円は必須であると思われるが、前述の「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」が各政党にアンケートを取った結果でも、どの党からも財源を提示するなど説得力のある回答はなかった。ちなみに全国一律最低賃金1500円(1300円)はほとんどの党が真っ先に公約に掲げる政策である。

 しかし、このキャンペーン自体がなかなか国民に浸透しない理由の一つに、時給1500円という表現方法に、月給取りの会社員たちが、自分のことではないと思い込んでしまう誤解がある。じつのところ20万そこそこ支給されている会社員のほとんどが時給1500円以下である。家族手当や残業代も含めて30万円以上支給されていてさえ、本給は時給1500円以下となることが多い。渡辺さんが応援する朝倉参議院選候補者は「だれもが時給1500円 月給として26万円もらえる社会を実現」と訴えており、それが実現すれば家庭経済は大きく上向き、消費に回る金額も増えるはずだ。細かい計算をしなくても、本給として支給されている金額を、働いた時間で割ることで、だいたいの自分の本当の時給がわかる。

 この夏の参議院選挙では、賃金よりむしろ年金問題に注目が集まっているが、年金のうち、厚生年金部分は働いていたときの収入によって支給額が決められる。希望的予測として現役時代の平均給与の5割が厚生年金として支給されるとして、本給が時給1500円月給26万円に満たない平均給与であれば、その半額の支給で、死ぬまで生きていかれる年金額になるだろうか?

 さらに「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」が指摘するように、最賃の決定の仕方が不透明で、地域間格差の根拠が薄弱である。それを評して「日用品の値段、スマホの使用料金が東京と埼玉で違うわけはないのにこの差はなんなのか」と渡辺さんは問題を提起する。

 年金の問題に関して言えば、日用品の値段、スマホの使用料金に違いがないのに、地域間格差から生まれる生涯賃金の違いから、年金の支給額にも差が生じている。しかしそれは仕方ないことだと受け流してしまう国民性に、動画の渡辺さんは選挙活動を通じて活を入れている。その刺激に早くわたしたちが目覚めないと、金がないなら田舎で暮らせなどという暴論が、公的な筋から堂々と出てくるスキを生んでしまうとおもう。〔北穂さゆり〕


Created by staff01. Last modified on 2019-07-14 12:02:50 Copyright: Default

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