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「残業代ゼロ」賃金制度のトールエクスプレスジャパンに対し不払賃金請求の提訴

     指宿昭一
 *同社ホームページより

 トールエクスプレスジャパン株式会社(代表取締役 CEO / ニール・ポーリントン、本社・大阪)では、時間外手当の大半を支払わない「残業代ゼロ」の賃金制度を採用しています。すなわち、同社の賃金計算は、時間外手当(A)を形式上支払ったうえで、能率手当の計算において時間外手当(A)を差し引いています。つまり、同社の労働者は時間外労働をしているにも関わらず、同社は、実質的に、能率手当以外の賃金に対する割増賃金(時間外手当(A))の支払いをしていないことになります。

 能率手当の計算において時間外手当(A)を差し引く規定は、労働基準法37条の趣旨に反するので、公序良俗に反するものとして民法90条により無効となり、同社は時間外手当(A)と同額の不払賃金(能率手当)の支払い義務を負います(国際自動車事件一審判決・東京地裁平成27年1月28日・労働判例1114号35頁、控訴審判決・東京高裁平成27年7月16日・労働判例1132号82頁参照)

 また、この規定が無効となり、能率手当の金額が増額することにより時間外手当(B)の金額も増額するので、同社はその増額分の支払い義務も負うことになります。

 このような「残業代ゼロ」の歩合給制度は、トラック・タクシーなどの運輸・交通産業で多く採用されており、社会的に強い批判を受けています。

 同社広島支店のトラック運転手8名は、このような賃金制度に疑問を持ち、労働組合(日本労働評議会トール広島分会)を結成し、同社と交渉してきましたが、6月9日の団体交渉で同社が不払賃金の支払いを拒否したので、本日14日、組合員9人(結成後1名増加)が原告となり、不払賃金請求訴訟を大阪地裁に提訴しました(第5民事部・平成28年(ワ)第5771号事件)。代理人は、中井雅人弁護士と私(指宿昭一)です。


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