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差別排外主義を許さない!新宿•新大久保界隈でデモ

                            西中誠一郎

 10月5日新宿や新大久保界隈で「許すな!差別排外主義 10.5 ACTION」(主催:「差別•排外主義に反対する連絡会」)が行われ、約100人の市民がデモ行進に参加した。

 同連絡会は、2009年当時、埼玉県蕨市に在住し在留特別許可を求めていたフィリピン人家族への「在特会」等の嫌がらせ行為に対するカウンター行動の教訓から活動を立ち上げ、差別•排外主義に反対する様々な取り組みを行ってきた。毎年秋に街頭デモを行い、今回が4回目。台風が迫る大雨の中、「外国人差別反対!」「あらゆる人種差別、排外主義反対!」「ヘイトスピーチも、レイシズムも許さないぞ!」「生きる権利に国境はないぞ!国境を越えて連帯しよう!」「みんなで声を上げよう」と道行く人たちに呼びかけ、約3キロの道程をデモ行進した。

 デモに参加した人たちが日頃取り組んでいる課題は多彩だった。外国人労働者支援、セクシャルマイノリティの人権問題、朝鮮学校支援、労働運動、野宿者支援、痴漢えん罪事件で警察の不当な取り調べを受けた直後に絶望して自殺した青年の母親、入管問題、地方自治体の市議会議員など、様々な形で人権問題に取り組む市民が参加した。

 デモ行進の途中、参加者数人に参加理由を訊いた。友人の不当な懲戒解雇問題に取り組んでいる男性。「安倍首相は他国との戦争ができる国づくりを進め、国内では労働者の権利を剥奪している。他国との戦争では、労働者同士が殺されます。労働者同士の殺し合いなんて絶対に反対。労働者の権利を守ることは、戦争に反対することだし、戦争につながる排外主義にも反対することだと思っている」

 海外旅行先で、人種差別的な出入国審査を受けた経験がある60歳代の男性。「日本の法制度には国籍条項が多い。例えば定住外国人の地方参政権や無年金問題など。それを変えたい。公権力による差別の影響もあり、最近は友人の中にも国籍差別をする人が増えてきていると感じる」

   視覚障害のデモ参加者に話を聞くと、千葉県柏市議会議員の内田ひろき氏だった。「障害者差別と外国人差別では『優生思想』という形で、同じ攻撃が仕掛けられていると感じる。それに反対するデモに連帯したいと思い参加した。マスコミと権力が一体となって、差別排外主義やナショナリズムを煽っている点について、市議会でも質問してきた。(市長は)地方自治体の多文化共生施策と関連づけて、『新大久保で起っているような人種差別的な攻撃は、自治体からなくしていこう』と答弁した。

 『いじめ』による人権侵害や、えん罪事件なども根っこは同じ。いじめ問題はファシズム的な教育の中で作られる。差別的なでっち上げが常態化し、警察によるえん罪事件も後を絶たない。子ども、民衆、労働者を差別し分断する社会構造に対して懸念をもっている。連帯できる会派と協力して、市議会でも差別排外主義に反対する意見書を採択する流れを作っていきたい。

 近隣の自治体に波及していく取り組みが必要。差別を先導するような国策を粉砕していくような広域自治体の取り組みが必要だと考えている」

 今年夏には、国連•自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会の日本審査がジュネーブで開催された。刑事司法手続きのあり方や、元日本軍「慰安婦」の人権問題、歴史認識やヘイトスピーチ問題、朝鮮学校の高校無償化排除問題、在日外国人の年金問題、障害者差別、部落差別や女性差別問題など数多くの人権勧告が、日本政府に対して出された。しかし政権閣僚は「日本政府と認識が違っており大変遺憾。国連にはさらに理解を求めるが、勧告には法的拘束力はない」(下村博文文科大臣の9月26日の記者会見)と筆者の朝鮮学校無償化排除問題に関する質問に答えるなど、国際社会から日本政府に向けられた厳しい批判の声に、まともに取り組む姿勢を示すことすらしない。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1352139.htm

 日本国内でも、「在特会」等のヘイトスピーチ問題が大きな注目を浴び、政府も立法措置などの対応を迫られているが、その背景にある差別的な社会構造を根本から改善しなければ、オリンピック向けのアピールにしかならない。

 デモ行進が新大久保のコリアンタウンに差しかかると、韓国語のシュプレヒコールも上がった。降りしきる雨の中、沿道のビルからカメラを向ける人々や、チラシを受け取る通行人の姿もあった。

 10月に入ると東京都国立市議会や奈良県議会で、「ヘイトスピーチ」の法規制を政府に対して求める意見書が全会一致で採択されるなど、地方自治体からも声が上がり始めている。その先には、憲法改悪の背景にある歴史認識問題や、積年の課題となっている国内人権機関の設置や、個人通報制度の批准など、日本政府と市民社会が早急に取り組まなければならない、重要な人権課題が横たわっている。


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