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報告:8・5集会「原発の再稼働・輸出に抗する−反核、反差別、反格差の立場から」

8月5日(月)日比谷図書文化館において、「原発の再稼働・輸出に抗する−反核、反差 別、反格差の立場から〜原発体制に抗する反植民地主義の闘いを地域社会から!〜」 と題する集会が開催されました。主催はNNAA-J(No Nukes Asia Actions-Japan)で、全体 で約30人が参加。主なプログラムは、次の通りです。

.好薀ぅ評絮如崙立就職差別闘争」、∨兢眄戮気(写真上・日立就職差別裁判元原告)の報告 「日立の企業内植民地主義の実態を語る」、V綻ゝ廚気(NNAA事務局長)の問題提起 「多文化強制は植民地主義イデオロギーか否か」、ず監O打(佼成学園教職員組合)の コメント、ゴ篋衞教授(東京外語大)のコメント、質疑討論。

朴鐘碩さんの報告要旨は次の通りです。:原発事故の責任が問われているのは、東京電 力だけではない。原発メーカーの社会的・道義的責任も、問われるべきではないのか。私 が勤務する日立は、「より安全な原子力を世界に」といい、リトアニアに原発輸出をしよう としている。三菱・東芝もインド、べトナム、中東、東欧に輸出する計画だ。事故現場では、 末端の下請会社の原発労働者が被曝しながら収束工事に携わっている。日立・東芝は、 この工事でも莫大な利益を得ている。

日立の労働者は、資本の論理に従い、黙って上司から課せられたノルマを遂行するだ け。「原発事故」について語ることはタブーとなって、誰もが口を閉ざす。民主主義が存在 しない企業社会で組合役員選挙が実施される。普段組合活動に関心もない、所信表明も なく、ものを言わない組合員が立候補させられている。職場と候補者名だけが掲示され、 候補者は、経営者(幹部)に原発事故の責任は問わない。

労使一体で労働者に自由にものを言わせない日立製作所の閉鎖的な企業体質と原発 輸出は深くつながっている。私は、会長・社長に抗議文・要望書を提出し、原発メ-カとして の社会・倫理的責任、被曝避難者への謝罪、原発事業からの撤退、原発輸出中止、自然 エネルギ-開発への予算化を要求した。

日立は世界の主要都市に合弁工場、営業所、関連会社があり、約3万人の所員がいる。 関連会社は、千社を超えて総従業員数は35万人。家族を含めると日本の人口の約1%に 相当する。原発メ-カで働く労働者は、事故後、原発を製造・輸出に疑問を感じても、おか しいと感じても、業務に追われて、自分の将来を考えて沈黙する。でも、人間らしく生きる ためには間違っていてもいいから「おかしいことはおかしい」と言う勇気と決断が大切だ。 小さな怒りの声が歴史を切り開く。

40年前、日立就職差別裁判が起こったとき、労働者の人権を求める日立労組幹部、労 働者の多くは見て見ぬふりをして沈黙した。これは戦後、(日本人)労働者・組合の戦争責 任が問われなかった問題と深く繋がっている。私は、定年まで日立製作所に勤めたが、 そこで解ったことの一つは、「労働者にものを言わせない労働環境は、差別を助長し排外 主義を強化する。おかしいことはおかしいとものを言う他者(異端者)あるいは外国籍住民 を抑圧することは自らが抑圧されている」ということだ。私は、労働者にものを言わせな い、沈黙させることは「企業内植民地」であると理解している。

ものが言えない正規労働者、雇用の調整弁として、低賃金で働く非正規・派遣・外国人の 労働市場は、経団連・大企業資本にとって「広大な植民地」と言える。しかし「脱・反植民 地化は、個々人の生き方の問題である」と思う。私(たち)は、植民地なき国内植民地・企 業内植民地で生きている。戦後の原発体制は、植民地主義に繋がった。その意味で(民 族)差別を糾弾し日本の戦争責任を求めた日立闘争は、植民地主義との闘いだったの だ。

日立・東芝などでエンジニア・労働者を抑圧・解雇する手段として「追い出し部屋」が新た な問題となっている。労働者は孤立し、厳しい状況に置かれている。原発事故で見られる ように不祥事が起きても経営者責任よりも労働者一人ひとりの「自己責任」が問われるよ うな雰囲気が漂っている。

事故の反省もなく平気で原発を輸出する日立の植民地的経営、黙って働く労働者、排外 主義は深く繫がっている。労働者に沈黙を強いる植民地的経営は、安全・人権よりも効率 と利益を優先させた原発体制を確立し、水俣病など を起こした公害企業が地元住民に犠 牲を強いたように、原発輸出は相手国の人々への差別・弾圧・犠牲を押し付けるものだ。

企業社会は、何でも言える「言論の自由」が保障されていないから、原発事故はじめ企業 の不祥事・談合・偽装のような犯罪があっても、経営のあり方を批判する労働者はいな い。経営者の哲学を気楽に批判できるような、開かれた風土、風通しの良い企業文化は 企業社会に存在しない。敗戦から70年近くなるが、労働者が抑圧的な状況に置かれ、も のが言えない、上意下達の企業社会は、民主主義が育たない。労使で育てないようにし ている。今こそ、私たちは現在の植民地主義と闘わなければならない。

以上が報告要旨ですが、続いて崔勝久さんの問題提起がありました。そのレジュメは、次 のURLでご覧になれます。: http://oklos-che.blogspot.jp/2013/08/blog-post_5.html

また、2人のコメント要旨は次の記事にあります。:
http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/64586056.html
http://oklos-che.blogspot.jp/2013/08/blog-post_6.html

質疑討論も活発になされ、侵略の歴史認識の問題、原発関連の多国籍企業連合、国民 国家とコロニアリズムなどが論点となりました。日立闘争を直接知らない大学生・留学生 の参加も多く、全体として内容豊かな集会となりました。なお、NNAAは原子炉メーカーに 対する裁判闘争(「原発モンスター訴訟」)を組織する予定です。
http://ermite.just-size.net/nnaa/saiban.html

報告:佐藤和之(佼成学園教職員組合)


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