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LNJ Logo 「君が代」判決に思う〜「強制と処分」を温存する最高裁の父権主義的態度
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News Item 0116matuura
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*レイバーネットMLから

16日の「君が代」最高裁判決に関連して、
私の意見はこうです。

(といっても、主に根津さんへの判決について、
私が理解している範囲での意見です。)

1)
今回の判決は、都教委の「裁量権の濫用」についてのみ
のものでした。

 根津さん河原井さんは、上告の際、
都教委による「日の丸・君が代」の強制と処分のあり方が、
憲法の「思想信条の自由」に反しているのでは、と問うていましたが、
それは最高裁では、再考されませんでした。

なので、「処分の程度」についてだけ、検討された最高裁判決でした。

そもそも、「日の丸・君が代」の強制、
「内心の自由」を否定して一方的に、教員には、必ず「立て、歌え」と
「職務命令」まで出して、
そして、これに反対する人を処分までして従わせようとする、
このこと自体を憲法違反でないとする裁判所、
これがとてもおかしいと思います。

これが「思想信条の自由」を阻害していなくて、何だというのか?


2)
「日の丸・君が代の強制」それ自体が、「思想信条の自由」に反する
ナンセンスな制度ですから、
ましてや、これに反対する教員を処分するなんて、まったくおかしい。

すべての「処分」が、まったくもって、憲法違反、だと私は思います。

軽い、重い、やりすぎ、とかいう問題でなく、「強制と処分」これ自体があってはならない。

今回の「根津さん河原井さん06年事件」に対する最高裁判決は、
そもそも、都教委によるこの強制と処分の制度、それ自体を
合憲とした上でのことです。
「強制と処分の制度」、これにはまったく反省をもとめない、
その上で、

「あんまり周囲に影響を与えない程度に、だまって座っているだけなら、
まあ少し、処分を軽くしてあげようか?」
「こちらの許せる範囲なら、大目に見てやろう」的な、
上から目線の傲慢な印象を覚えました。
(「最高」の裁判所だからあたりまえ?)

「強制と処分」の制度自体を温存しつつ、反省する気があるなら、
処分を軽くしてやっても良い、みたいな最高裁の父権主義的な態度を、
私は、とてもいやらしく感じました。

「強制をやめろ」そして、「すべての処分をいますぐ撤回しろ」です。
(「お目こぼしはいらねえ!」 っていう感じです)


3)
今回の「根津さん河原井さん」判決は、2006年の「不起立」に
ついてです。
なのに、根津さんの「日の丸」引き下ろし事件は、1994年のことで、
かつ、これに対しては、すでに処分もされています。

なのに、なぜ今回の棄却理由に持ち出されるのか、さっぱり分かりません。
94年のことなどをわざわざ持ち出して、
根津さんが自身の思想信条から一貫して反対・抵抗してきたことを、
あたかも全く反省の色を示さない極悪人であるかのような印象を
世間に植え付けようとする裁判所のやりかたは、まったくおかしい!!


4)
1994年の根津さんの「日の丸引き下ろし事件」は、
式典を妨害するようなものだったとは、私は思いません。

東京では、子どもの成長をお国の発展のため、と見ていた
戦争中の学校のあり方を反省し、
子ども一人ひとりのそれぞれの成長を祝うものとして
「卒業式」をつくってきた戦後の歴史があったのだと
私は理解しています。

檀上で、校長が上から子どもに「卒業証書」を与えるような
「上から目線」でなく、フロアでの対面式で、
会場を、紅白幕でなく、子どもの絵で飾ったりする、
というように。

そして、「君が代」を卒業式で歌うのかどうかも
職員会議で、教員たちが話し合うだけでなく、
卒業生と在校生たち自身で話し合って決めてきた、
(そして子どもたちが「日の丸・君が代」について
検討できるような授業をしてきた、
その上で、子どもたちは自分たちで判断してきた)
そういう歴史もあったのに、

それを、上から、教育委員会が圧力をかけ、
それに校長がおしきられ、
教員、生徒の、話し合いの結果を無視し、
強引に、校長が卒業式の当日、「日の丸」を勝手に
掲げたのです。

ですから、1994年の石川中の卒業式をぶち壊したのは、
根津さんでなく、教育委員会と校長です。

これに抵抗したのが、まず子どもたち、そしてこれに応えたのが
根津さんです。

校長による石川中の民主主義のぶち壊しを、
黙って見過ごさなかった根津さんに、私は敬意を感じます。

私ならできなかったでしょう。
でも、それを見過ごしたなら、その後、教員として学校にい続ける
こともできなかったでしょう。

ここまで書いてきて、とても長くなったので、これでやめます。

だいたい私の考えはこんなところです。
自分の整理のためにも書きました。

1994年の根津さんの「日の丸引き下ろし事件」などについては、
根津さんの著書『希望は生徒―家庭科の先生と日の丸・君が代』
をご参照下さい。

2012.1.18
松浦


Created by staff01. Last modified on 2012-01-20 12:03:36 Copyright: Default

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