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佐々木です。

『ひとのために生きよう!団結への道ー労働相談と組合づくりマニュアル』を読 みました。

著者の東京東部労組副委員長の石川源嗣さんとは、同労組での新支部結成を描い たビデオ『組合づくり』の制作時にお会いして以来のおつきあいです。

「いま日本の労働運動が歴史的な退潮期を迎えているのはまちがいない。『なぜ ここまで追いつめられているのか』との声が聞こえてくる。運動の活況期の手法 はいまそのままでは通用しない。従来の運動の継続では労働運動の復活はありえ ない。創意が問われている」(「はじめにー死ぬのがいやなら組織せよ」より)

26年間地域労組のオルグとして活動してきた石川さんの、運動の現状に対する 差し迫った危機感を感じさせることばです。最近の労働相談では、賃金・解雇問 などと並んで「(会社が)辞めさせてくれない」という相談が増えているそうで す。暴力や脅しで労働者が強制的に働かされる「労働者の奴隷化」が深く進行す る現実。「問題の本質は、個々の労働者が思想的、社会的に企業内に閉じこめら れて監禁状態にあること、さらに会社内での労働者の完全無権利、経営者の完全 独裁体制という究極の労使関係が形成されていること」だと石川さんは書いてい ます。そしてこのような現実がどのような歴史的経過を経て形成されたのか、戦 後労働運動の敗北の過程とその原因が明らかにされます。

「労働者の完全無権利」「経営者の完全独裁」を変えるためには、労働組合が強 化される以外にはないわけですが、東部労組でも労働相談の件数は近年著しく増 えているのに、それが新規の組合員獲得と連動しない。職場でも孤立した労働者 の相談が多く、労働組合結成には至らないなどの悩みを抱えているそうです。日 本の労働運動の中では唯一「元気」といわれ、ここからしか運動の再生はないと も言われる地域労組(個人加盟労組)がいま抱える悩みをどう解決していくのか、 本書はそれへのきわめて実践的な解答です。

タイトルの『ひとのために生きよう』は、「夜回り先生」として子どもたちの相 談相手になっている水谷修のことばだそうです。はじめはピンとこなかったこの タイトルも「『ひとのために生きる』ことは、人間が社会的関係の中でしか生き られないためであり、他者との関わりによって唯一、人間らしく生きることがで きる」という石川さんの思いにふれて納得できました。これは労働組合の原点を 語ることばだったんですね。

『ひとのために生きよう! 団結への道ー労働相談と組合づくりのマニュアル』
(同時代社 03-3261-3149 定価1500円+税)


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