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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 最良の英知を結集させたご自慢の一品

 郵政民営化問題について、郵政全労協が数回にわたりパンフレットをだしている。2001年12月末発行の総括版的なパンフは、地域の郵便局利用者にも読んでもらえるよう解りやすい工夫がされ、本文だけなら8ページのコンパクト、厳選して掲載されている幾つもの図表も説得力があり、且つ、値段は激安の0円だ。郵政現場の仲間がプロジェクトを組んで、最良の英知を結集させた、ご自慢の一品だ。

 ところが、郵政全労協はご自慢が足りない。数ヵ月後に作った、これも非常に出来の良いリーフレットは、全国の仲間がシャカリキで配布しているが、内容の濃いご自慢すべきパンフの自慢不足は明らかなので、ボクが代りに、ここで宣伝・紹介してしまおうと思う。

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 パンフの表題である「社会的有用性のある郵政事業を目指して(郵政事業改革のための提言)」が、まずすごい。「事業の公共性を守る」という意味を、現在の世の中の情況との関係で深く捉え返し、「社会的有用性を創りだそう」と一歩も二歩も踏み出した呼び掛けになっている。働く人や利用者のみならず福祉や自然環境など含め社会全体を視野に入れた「社会的有用性」だ。競争蹴落とし主義に対してセーフティーネット、営業効率主義に対して人間的な真の効率など、対抗的対案戦略がこの背景にあるだろう。

 副題は「民営化反対!『官営』から『公営』へ」。今「公営」と言われているものの実体は、官僚が自分らの利権のために運営している「官営」であって、「庶民のための公共性」はイチジクの葉にすぎないものになっている。現在「民営化無き民営化路線」を突き進み、働く者にも利用者にも酷い事業になっているが、これが正式な「民営」となれば正式な本物の儲け主義となりより酷い事業になってしまう。「民営」事業の正式目的は、「公共性」ではなく「利潤」だ。「官営」はダメ、「民営」はもっとダメ。

 したがって真の「公営」へ。付言すると「共営」の方が、パンフの意図を誤解されることなくよりストレートに表現するだろう。「パブリック=公共」が、日本ではお上の専有物のように意味付与されてきた。「公」という「国家・政府」と「世間・衆人」の本来対立的な概念を一つの言葉で表す文字が日本には存在する。「公営」は「公けの機関が運営すること(広辞苑)」で、一般的には現在の「国営」と同じだと理解されてしまう。しかし「共営」という言葉は、一般的には使われていない。

 「社会的有用性のある郵政事業を目指す」こと自体は、公権力との闘いを目的としていない。しかし、利権防衛のために「民営化」に反対し「公共性」は単なる口実にしている郵政官僚や全逓本部は敵対してくるし、郵政事業という国民の財産を分捕ってしまおうという「民営化」論者の金融資本とか大蔵族の小泉純一郎とかも敵対してくる。従って、「社会的有用性のある郵政事業を目指す」ことは、必然的に、働く者の自己決定権と大衆自治の拡大、労働者と利用者の手に郵政事業を取り戻す闘いを歩むことになる。だから意味内容からすると「共営」がストレートだ。

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 ナント、表題と副題を説明しただけで残り字数はわずかになってしまった! で、パンフ中身の大見出しだけを記す。「民営化や民間開放はユニバーサルサービスの崩壊につながります」「赤字の原因は利権構造にあります」「利権を温存し、営利企業化を目指す『新生ビジョン』」「『官営』から『公営』へ・・・私たちの提案」。これら記述すべては(まったく唐突に何の論証も無しに言ってしまいますが)、4・28反処分闘争の道そのものです。 

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙6月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:40:58 / Last modified on 2005-09-29 06:44:50 Copyright: Default

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