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News Item 202001006
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KEC 10年の闘争、そして残る性差別

[イシュー:女性は労組委員長してはいけませんか?]イ・ジョンヒ金属労組亀尾支部KEC支会支会長インタビュー

ユン・ジヨン、ウン・ヘジン記者 2020.01.03 13:25

2010年のKECストライキの時、会社が女性労働者に加えた暴力は恐ろしいものだった。 6月30日の早朝、職場閉鎖とともに用役600人ほどが女性寄宿舎に押しかけた。 全員が寝ていた時間で、女性労働者たちはさらに当惑した。 彼らは悪態を聞きながら、服も着ないまま引き出された。 鎮圧の過程で男性用役が女性労働者の胸に触る性暴力も発生した。 組合員たちは怒りで声も出ないほどだったと当時を回想する。修羅場そのものであった。

会社が4か月間、職場閉鎖を解かなかったため、 女性組合員たちは10月21日に工場占拠座り込みに突入してストライキの強度を高めた。 今回は警察が女性労働者を威嚇した。 警察のヘリコプターが工場の外に設置された3棟のテントの上を低空飛行した。 この過程でテント全体が崩れて組合員が怪我をした。 テントの1つは妊婦用テントだったが、怪我をした女性5人のうち4人が妊婦であった。 1人は腰を負傷し、応急治療を受けなければならなかった。 組合員たちはヘリコプターに対し大声で叫び、通報もしたが対応できなかった。 KEC亀尾工場の女性組合員たちは、賃金および団体協約交渉が決裂したため、 6月9日に全面ストを始めた。 6月30日、使用者側は職場閉鎖を断行し、 これを皮切りに2回の大量解雇と労組弾圧をした。 この日以後、金属労組KEC支会は労組弾圧に対抗して10年間、闘争を続けている。

[出処:キム・ハンジュ記者]

女性支会長

2017年、KEC亀尾工場に30年の労組の歴史で初めて女性指導部が誕生した。 イ・ジョンヒ氏は事業場初の女性支部長で、2年間労組を率いている。 彼女が女性支会長になれたのは、これまでの闘争の過程で 女性労働者がいつも先頭に立っていたためだ。 男性組合員たちも、女性組合員がいなければ現在までの闘争を作れなかったと話す。

女性支会長に対する憂慮もあった。 一部は性差別をしてきた使用者側に対抗して女性代表が戦うということそのものを ばくせんと心配した。 「支会長は男がするほうが良くないか」という話も聞いた。 それでも当時、MeToo運動の影響と労組民主主義に対する共感の中で、 イ・ジョンヒ氏は出馬を決心した。 これまでの8年間のKEC闘争を率いた前支会長もイ・ジョンヒ氏を信頼した。

30年働いても管理職になれないKEC女性労働者

KECは雇用労働部の「積極的雇用改善措置(Affirmative Action、AA)」の対象企業だ。 2017年に女性管理者が一人もいなかったためAAに選ばれた。 2019年9月には国家人権委員会が差別是正勧告をした。 この勧告によれば、20年以上在職している生産職労働者108人のうち 女性52人全員が社員でしかなかった。 だが男性56人は全員が管理者級だ(2018年基準)。 2001年に最も低い等級(J1)で入社したイ支会長も、 現在まで一段階しか昇進できなかった。 現在、主席副支会長の事例も違わない。 主席副支会長は30年間在職しているが、現在J3等級だ。 真上が管理者級だが社員級の一番端の号俸に20年間留まっている。

会社の性別賃金格差を含む性差別のしくみは事業場のあちこちで見つかる。 育児休職争奪闘争などは、70年代の女性労働運動を連想させる。 どこかの事業場と同じく、KECにも育児休職制度が存在しているが、 5年前までは無用の物だった。 そのため女性組合員は育児休職使用運動を展開した。 2010年までは、妊娠すればすぐ退社をしなければならなかった。 出産後に復帰する女性組合員には、たびたび難しい仕事を配置した。

女性組合員に男性更衣室の清掃をさせたり、妊婦椅子をなくした。 その上、二回の整理解雇でも性差別が作動した。 使用者側は低等級の労働者を整理解雇対象にした。 女性の大多数が低等級なので、 使用者側による整理解雇の方針は、女性労働者を対象にしているのと同然だった。 管理者たちは平気で「男は金を稼がなくちゃ」と言った。

2010年までは、交渉に男性委員だけが配置された。 これは女性が交渉委員の役割が上手にできないという認識があったためだ。 その上、会議途中の休み時間に男性どうしでタバコを吸いながら、 今まで議論した案をひっくり返す文化も存在した。

管理職の性暴力の問題もある。 イ・ジョンヒ氏が初めて発令され、会食の場で発生したことだった。 ある管理者が同期を隣に座らせて股を触った。 過去にはこうしたことがとても多かった。 現在はセクハラ事件が発生すれば、加害者を他の部署に発令措置している。

女性が率いる労組

2010年、当時の組合員720余人の半分以上が女性だった。 KEC支会は社員職労働者がたくさん加入していたので、女性組合員の割合が高い。 長い闘争の間、彼らの闘争力が証明されたので、女性たちが労組を率いる雰囲気もある。

イ・ジョンヒ氏は女性支会長として、やりたい運動がある。 現場の女子社員のうち1人でも管理職に昇級し、ガラスの天井を破ることだ。 それで事業場内の性差別とは何かを知らせる活動が重要だと考える。 彼女は女性団体と連帯して性別賃金格差糾弾記者会見を行い、 事業場内では男性が参加できるキャンペーンも繰り広げた。 今後もマスコミを通じてKECの性差別問題を公論化させる計画だ。 現在、KEC支会は男女差別関連の勤労基準法、雇用平等法違反で労働部に告訴した状態で、 賃金差別問題も追加で対応する予定だ。

資本の労組破壊手段、『損害賠償請求』を粉砕したKEC支会

KEC支会は2019年7月に損害賠償費用30億ウォンをすべて清算した。 イ・ジョンヒ支会長は去る3年の過程を考えれば胸が詰まる。 使用者側は2010年のストライキで損害を受けたとし、 156億ウォンの損害賠償請求訴訟を出した。 2016年9月、裁判所は30億ウォンの損賠調停判決をした。 損賠対象の組合員の通帳から毎月最低賃金の150万ウォンを除き、 全額が押収された。損賠の対象ではない組合員も、 1か月に15〜45万ウォンを支援した。 全額清算ができたのは、2010年の労組の勝利と組合員の粘り強い同志愛のためだった。 KEC闘争は資本の「損賠訴訟による労組弾圧」という手法を粉砕した事例だ。

2012年、検察は労組破壊企業という疑惑でKECを押収捜索した。 雇用労働庁の押収捜索で発見された「職場閉鎖出口戦略ロードマップ」、 検察が発見した「人員構造調整ロードマップ」には、 人員構造調整、親企業第二労組設立などの内容が含まれている。 労組破壊の目的で作成されたこの文書は現実になった。 複数労組法が施行された2011年7月、全国で初めて親企業の第二労組が設立された。 第二労組の設立後に行なわれた整理解雇の対象者75人は、全員支会所属組合員だった。 そして2017年、裁判所は整理解雇が不当だと認めた。

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-01-14 05:55:46 / Last modified on 2020-01-14 05:55:47 Copyright: Default

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