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女性1人世帯住居環境報告書

[ワーカーズ・イシュー]私はまだ新林洞で暮らしています

ユン・ジヨン、ウン・ヘジン、チョン・ウニ記者 2019.10.08 08:51

新林洞考試村の帰り道

「昨日また新林洞で強姦未遂事件発生したって」。 すでに二回目だった。 知人からの連絡が続いた。 「記事読んだ? あなたの家の近くじゃない?」、 「酒はほどほどにして早く帰れ」。 気を付ければ避けられることではないので、あまり気にしなかった。 しかし家の近くのファーストフード店の社長が、 どこで聞いたのか、その事件の場所は家の近くだと言った。

考試村で暮らす女性たちは、どれほど性犯罪に露出しているのか? 女性の1人世帯が密集する冠岳区新林洞の夜道を徘徊してみることにした。 深夜12時近い時間、新林駅からバスに乗った。 1人世帯の密集地域だけに、バスの中には20代の青年でいっぱいだ。 停留所4つで大学洞考試村入口に到着した。 考試村だからか、表通りにはコンビニやカフェ、酒場などが不夜城を作っている。 だが路地の間を5分ほど歩くと、ますます道が暗くなる。 ある瞬間、女性たちの姿がまったく痕跡をなくした。 路地にはチラホラとタバコを吸っている男性だけが見える。 道が暗いからか、窓のあかりがさらに明るく見えた。 カーテンをおろしている部屋もあり、中が広々と見える部屋もある。 考試院であれ、ワンルームであれ、 窓のすぐ前に道があるので、のぞき見するのはもちろん、入るのも難しいことではない。

「女性安心帰り道」というものがあるというが、なかなか見つけるのは容易でなかった。 20分頃登り坂を歩き、行き止まりの路地にいくと、 やっと地面にLEDで「女性安心帰り道30m後に女性安心守る家」という文句が見える。 誰かから威嚇を感じた時、表示板を見て全力を尽くして走れということだ。 「女性安心帰り道」という表示板も、路地のあちこちについていた。 だが一部はとても暗くてよく見えなかった。 大学洞通りを30分程歩いて一番たくさん発見したのは ゴミ投棄防止のCCTVと「ゴミを無断投棄するな」という警告文句であった。

新林洞事件以後、冠岳区はCCTV、LED、非常ベル、女性安心守る家により、 女性の治安に気を遣っているという。 だが女性が安心できない路地はあまりにも多く、 誰でものぞき見て、簡単に侵入できる家は相変らず並んでいる。 チラホラと設置された非常ベルと安心守る家は、 どこで起きるかわからない恐ろしい事件を予防するにはとてもみすぼらしかった。

6か月前、初めてソウルの下宿を調べている時だった。 一人で暮らすのが心配で、唯一のソウルの友人がいるソウル大入口駅の近くで 家を探していた。 だが、家賃がとても高かった。 新林駅の近くに目を向けたが、それさえも不動産仲介業者が 「保証金500万ウォンと家賃40万ウォンでは新林駅は考試村も難しい」と手を振った。 駅前を諦めざるを得なかった記者に彼は 「考試村はヘジンさんのように一人で暮らす受験生や自炊生、会社員が多いです」 と慰めの言葉をかけた。

所得水準はそのまま住居環境を決める。 2019年基準、青年労働者は5人中1人は最低賃金を受けられない。 いくら不動産を歩き回っても、家賃と坪数、地域、交通、安全を すべて満たす家を見つけるのは難しい。 結局一つずつ諦めるしかない。 まず後回しにされるのは、やはり「安全」ではないか。 高い家賃と低い賃金は、今日も私たちを何の安全装置もない家に押しやる。

5月28日、ソウル市冠岳区新林洞のあるワンルームの建物で強姦未遂事件が発生した。 ある男性が女性を追い、玄関から侵入しようとしたこの映像はインターネットを熱くし、不安感が増幅された。 2か月も経たないうちにまた新林洞で事件が起きた。 7月11日朝、ある男性が女性の家に侵入してシャワー中だった女性を性暴行して逃げた事件だった。 似たような犯罪は周期的に、そして着実に発生した。 9月1日には同じ階に住んでいた男性が女性の家に侵入して監禁、暴行する事件も起きた。 冠岳区は女性の1人世帯が一番多く居住する地域として知られている。

住居空間で発生する女性犯罪は、ただ冠岳区新林洞」だけで起きるのではない。 6月には釜山である男性が一人で暮らしている女性の家の暗証番号をのぞき見して侵入した事件があった。 その男性は以前にも同じ犯罪を犯した前歴があった。 8月には釜山で女性が一人で暮らす家にある男性が裸で侵入する事件も起きた。 女性が暮らす家をひそかにのぞいて逮捕されたという報道も絶えない。 なぜ女性たちは、一番安全だと信じる「わが家」でさえ犯罪のターゲットになるのか。 果たして女性たちの住居空間は、彼女らが信じているほどに安全だったであろうか。 「ワーカーズ」が1人女性世帯の現況と住居不平等の問題を調べた。

[出処:ユン・ジヨン記者]

1. 1人世帯は女性の方が多い

1人世帯は増加し続けている。 速度も早く、規模も大きい。 2000年には一般世帯の15.5%だった1人世帯の割合は、昨年は29.2%まで上がった。 一般世帯に対する1人世帯の増加幅は4倍を上回る。 一般世帯が2000年〜2019年まで38.4%増加したが、1人世帯は160%増えた。

重要なことは、男性より女性の1人世帯数が以前にも多く、今でも多いという事実だ。 男性の1人世帯の増加幅のほうが大きいが、 それでも女性の1人世帯数に追いつかない。 2000年当時、女性の1人世帯の割合は57.5%で、 男性の42.5%より何と15%ポイントも多かった。 格差は狭まっているが、昨年も女性の1人世帯の割合は50.8%で男性より高かった。

ひとりで暮らす女性が最も多い年齢帯は60〜70代(34.06%)で、 20〜30代(28.3%)がそれに続く。 だがソウルを基準として見ると状況が変わる。 ソウルは20〜30代女性の1人世帯の割合が44.40%で圧倒的だ。 特にソウルに住む20〜24歳の女性1人世帯(6万9397世帯)は 同じ年齢の男性世帯(3万9816世帯)より1.7倍多い。 ソウル居住1人世帯の全体の性別割合は女性が52.66%、男性が47.33%だ。

2. 女性の1人世帯8%は住宅ではない所に住む

では1人女性世帯員の住居環境はどうか。 まず住居の種類を調べよう。 昨年基準、1人女性世帯の56%が単独、多所帯、連立、多世帯住宅に住んでいる。 マンションに住んでいる割合は33.8%だ。 そして8%が住宅以外の住居に住んでいて、1.8%は非居住用建物内の住宅に住む。 ソウル市では女性1人世帯の14%が「住宅以外の住居」に住んでいる。

年齢が低いほど、単独および多所帯、住宅以外の住居で暮らす割合が高い。 ここで一戸建て住宅とは、単独所有が可能な住宅で、多所帯住宅を含む概念だ。 一戸建て住宅に一番多く居住する女性1人世帯の年齢帯は20〜24歳(13万3779世帯)で、 その次が25〜29歳(10万7460世帯)だ。 住宅以外の住居に一番多く居住している年齢帯は25〜29歳で、 5万4271世帯が住んでいる。 30〜34歳は3万5257世帯で二番目に多い。 「住宅以外の住みか」とは、オフィスホテルをはじめ、 考試院、ビニールハウス、旅館、簡易宿舎などを通称する。

「住宅以外の住居」に居住する女性1人世帯の割合は増加し続けている。 2015年は16万7088世帯で、昨年は23万5252人と、41%増加した。 住宅以外の住居に一番多く居住している年齢帯は20〜30代で、 全体の44.4%に達する。2015年の40.8%より増加した数値だ。

3. 考試院、旅館、簡易宿舎に住む女性、所得も不公平だ

「住宅以外の住居」には考試院、簡易宿舎、ビニールハウス、旅館だけでなく、 それなりに住居環境が整ったオフィスホテルも含まれる。 そのため統計庁の資料を分析してオフィスホテル居住を除いた残りの世帯の規模を計算してみた。

ソウルで「住宅以外の住居」に居住する女性1人世帯のうち、 オフィスホテル居住を除く世帯は約28%(3万1413世帯)だ。 年齢別に見れば、20〜30代が67%(1万9813世帯)で圧倒的だ。 同じ年齢の男性割合の42.88%よりも高い。[1]

それならソウルでオフィスホテルを除く「住宅以外の住居」の世帯数が一番多い地域はどこだろうか? 考試院、簡易宿舎、旅館などに住む女性の1人世帯が一番多い区は断然、冠岳区だ。 ここだけで3887人の女性が住んでいる。 2位は江西区で2473人、3位は九老区で2220人の女性が居住している。

今回は住宅以外の住居で暮らす1人世帯の所得水準を調べよう。 2017年基準、月平均所得は183万ウォンだ。 所得100万ウォン未満が27.3%で、100〜200万ウォン未満が31.3%だ。 ここで居住する女性の平均所得(171万7000ウォン)は、 男性(227万3000ウォン)より30%以上低い。 特に200万ウォン未満を受け取る女性の割合は63%で、 200万ウォン未満所得の男性割合47.2%よりはるかに高い。

住宅以外の住居の住居費も不公平だ。 ここに居住する男性の平均月貰は32万6000ウォンで、 女性の平均月貰の33万1000ウォンより低い。 しかし問題は、月貰15万ウォン未満の最も劣悪な所で暮らす女性の割合(5.9%)が、 男性(3.6%)より高い点だ。 女性の場合、まったく住居環境が劣悪なところを選択したり、 あるいは月給の相当部分を住居費として支出しているわけだ。

4. 女性1人世帯は就職率も賃金も低い

ソウル市で1人世帯が一番多いことで噂になったのは冠岳区だ。 1人世帯の割合も47.6%で最も高く、人口数も11万2733人で最も多い。 女性1人世帯も5万3288人にのぼる。 女性の1人世帯数がその次に多い地域は江西区で、3万9231人が居住している。 江南区は3万6009人、松坡区は3万4711人でその後に続く。

冠岳区が1人世帯数で圧倒的な理由は、江南圏に隣接しているのにソウルで4番目に月貰が安いからだ。 これにより受験生、学生、会社員など20〜30代の青年層が特に多く居住している。 不動産サイトを通じて調べた結果、冠岳区、新林洞と奉天洞は13m2〜36m2までの 超小型住宅の取り引きがほとんどだった。 住居形態はオフィスホテル、連立住宅、ビラなどだった。 また、月貰は平均20m2の面積で保証金400万ウォン〜640万ウォンの間、 月貰は40万ウォンだった。 江南地域の月貰は冠岳区の倍を越える。 13m2の超小型ワンルームの価格は、 保証金1000万ウォンと月貰80万ウォンまで上がる。 1階ワンルームさえ月60〜75万ウォン程度だ。

低くても40万ウォン、高ければ70万ウォン以上の月貰に耐えなければならない 1人世帯の賃金と雇用現況はどうか。 昨年、1人世帯の賃金労働者は279万3000人だ。 このうち正規職は67.3%、非正規職は33.7%だ。 1人世帯10人のうち3人以上が非正規職だ。 非正規職どころか、女性たちには就職も容易ではない。 昨年基準、1人世帯の就職率は女性が42.3%で、男性の57.5%より低い。 2015年も2017年も、常に女性就職世帯が男性より低かった。 1人世帯数は女性のほうが多いが、就業者数ははるかに少ない。

就職に成功しても、女性たちは不安な非正規職雇用と低い賃金に苦しむ。 昨年8月基準、女性賃金労働者のうち非正規職の割合は41.5%だ。 男性26.3%よりはるかに高い。 その上、女性非正規職の割合は2015年は40.2%で着実に増加している。 社会全般的な性別賃金格差も深刻だ。 昨年基準、女性非正規職の月賃金総額は148万5000ウォンに過ぎなかった。 男性(205万8000ウォン)に対して約28%低い。 正規職の女性も違わない。 昨年の正規職女性月賃金総額は270万2000ウォンで、 男性(400万7000ウォン)より何と33%も低い。

5. わが家は安全でない

女性が暮らす家は凶悪犯罪から安全なところではない。 昨年、殺人が一番多く発生した場所はまさに「住宅」だった。 強姦、醜行などの性暴力犯罪は、住宅と路上で同じように発生していた。 問題は、住宅で行われる殺人、強姦、醜行が増加している点だ。 警察庁の統計によれば、2015年に59件だった住宅での殺人事件は昨年69件に増加し、 強姦と醜行は629件から979件に増えた。

その上、住居侵入強姦、強制醜行などの事件は2011年の341件から2015年には334件、 2017年には305件と多少減った。 だが女性1人世帯の密集地域の犯罪は増加傾向だ。 ソウル市地域別強姦犯罪現況を見ると、 女性1人世帯が一番多い冠岳区では、昨年352件の該当犯罪が発生した。 2015年より32件増加した。 江南地域は2015年の300件から昨年は406件と、何と106件も増えた。 特に麻浦地域は2015年の294件から昨年は473件と、179件も増加した。 麻浦区はソウル25区で5番目に1人女性世帯数が多いところだ。

2016年にソウル女性家族財団で発表した報告書 [2] によれば、 凶悪犯罪被害者の87%が女性だった。 このうち91.7%は強姦、強制醜行の被害を体験した。 特に強姦と強制醜行被害女性の55.6%は青年女性で、 犯罪発生の割合が一番高いところは集合、多所帯、一戸建て住宅、アパートなどの住居地であった。[ワーカーズ59号]

〈脚注〉 [1] ソウルでオフィスホテルを除く「住宅以外の住居」に住む男性は5万7469人で、 その中で一番多い年齢帯は20〜30代で、42.88%(2万4644世帯)を占めている。

[2] ソウル1人世帯女性の人生研究、ソウル市女性家族財団、2016

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-10-03 11:48:42 / Last modified on 2019-10-17 03:17:20 Copyright: Default

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