本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:台湾と韓国、つながりはグルメ天国だけでない
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 201905005
Status: published
View


台湾と韓国、つながりはグルメ天国だけでない

[ワーカーズINTERNATIONAL]両岸問題に対する韓国活動家の悩み

ナ・ヒョンピル(国際民主連帯) 2019.05.10 09:51

▲台湾労働組合と市民社会団体会員が2015年にハイディス永豊グループ本社前で共同記者会見を行い、永豊餘グループを糾弾し労働者と遺族の面談に即刻応じるよう要求している。 [出処:台湾ハイディス労働者連帯戦線]

台湾を訪れる韓国人が増加している。 飛行機で3時間の距離にある台湾は、グルメ天国といううわさが立って、 人気観光地になった。 各種のテレビ番組で台湾が上得意の素材になったおかげか、 首都台北の西門町通りに行くとここが明洞なのかわからないほど、 ハングルの看板と韓国人観光客であふれている。 だがまさに台湾人が頭を痛めている中国との武力紛争に韓国はあまり関心がないようだ。

漸増する中国の威嚇

中国が固守する「一つの中国」の原則は、台湾の市民の運命と直接連結している。 中国は台湾の現民進党政府が独立路線を堅持すれば、武力使用も辞さないと何度も公言した。 実際に、中国と台湾の間の軍事力の格差を考慮すると、 台湾は中国の侵攻を防御するのは難しいのが事実だ。 民進党政府を支援するトランプ行政府が中国との貿易交渉で事実上、 中国に屈辱的な譲歩を強要しているが、 いくら米国の圧迫が強くても、 中国が台湾の独立まで認めるはずはない。 両岸(台湾-中国)関係は来年1月の台湾総統選挙結果を左右する最大の変数になっている。 中国は露骨に蔡英文総統、あるいは民進党候補の再選を防ぐため、 武力侵攻の威嚇を極大化すると展望される。

現在も台湾に対する中国の全方向的な圧迫により、民進党政府の支持率が低下している。 台湾人たちは中国の観光客が減り経済圧迫が大きくなって、 前回の地方選挙の時に野党の国民党の手をあげた。 地方選挙敗北の原因について、改革を押し通せなかった蔡英文政府に対する審判だという意見もあった。 しかし確実なことは、4年前の選挙で行政と立法権力を同時に掌握した民進党の歴史的な勝利は今では霞んでいるという憂慮が広がっていることだ。

当初、台湾の社会運動は脱原発政策と性少数者問題をはじめとして、 蔡英文政府に大きな期待をかけていた。 だが中国の強い圧迫の中で台湾の市民社会が要求してきたさまざまな人権の議題は 蔡英文政府勝利の起爆剤になった独立の熱気とともに座礁の危機に処した。 また次期台湾総統と立法院の選挙は米中間の対立問題まで重なり、 台湾だけでなく、東北アジア全体の平和にも直結する重要な選挙になってしまった。 特に、台湾の選挙の結果は韓半島の平和の問題や韓国社会にも大きな影響を与えると展望される。

韓国の社会運動は台湾とどのように連帯できるか?

台湾の社会運動は、歴史などのさまざまな面で韓国と似た背景を持っている。 それでも民主主義と人権運動は、アジアでは他に見ないほど発展している。 特に性少数者や環境運動は、韓国の社会運動に模範になる。 台湾の労働運動はハイディス整理解雇闘争の時に韓国の活動家と積極的に連帯した。 しかし、こうした台湾の社会運動も、両岸問題から自由ではない。 例えば、国家人権委員会を作ろうとしていた台湾の人権活動家は 国連の助けを受けるどころか、国連ビルに入ることさえなかった。 台湾の活動家からこうした問題を聞くときは、残念さを越えて台湾の独立に韓国の社会運動がどのような立場を持つべきか悩むようになる。

一方では、米国との関係に対しても悩みを感じるのは同じだ。 台湾の民進党政府は現在高まっている両岸関係の危機の中で、 台湾守護を名目として莫大な米国製の武器を輸入し、 トランプ行政府の対中国封鎖政策に協力している。 朝鮮半島と似た動きだ。 文在寅(ムン・ジェイン)政府も朝鮮半島平和政策を進めるにあたり、 トランプ行政府と積極的に歩調を合わせて米国製の武器を積極的に買い入れている。 果たして今の韓国政府は、いや、韓国社会は中国の武力を含む台湾への圧迫と米国との関係などの両岸問題にどのような立場を持たなければならず、持つことができるだろうか? 他の国家の問題よりも直接的に韓国社会に影響をおよぼす問題なのに、 活発な討論がなされていないのは残念なだけだ。

去る4月18日には中国で殺人的な労働条件で悪名高い工場の富士康(Foxconn)の郭台銘会長が国民党候補として総統選挙に立候補することを公式化した。 台湾の最大財閥の彼が国民党候補になり、総統に当選すれば、 中国の武力侵攻の憂慮は解消されるだろう。 しかし財閥が権力をつかめば、国家人権機構より富士康(Foxconn)の労働搾取が一般化されるかもしれないという憂慮をもたらす。

台湾の未来は台湾の有権者が投票で決めるだろうが、 台湾の市民社会活動家が処した困難と恐れ、 そして孤立感を調べ、連帯する方法を探すことも韓国の社会運動の役割だと考える。 台湾と韓国は好むと好まざるとにかかわらずつながっていて、 台湾の活動家の悩みと困難は決して他人事ではない。[ワーカーズ54号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-05-18 19:45:06 / Last modified on 2019-05-18 19:52:40 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について