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「私のおじさん」の前でもう呻いたり悲壮にもならない女性たち

[ワーカーズ]世の中の評判

オ・スンウン(全国公共運輸労組政策企画次長) 2018.04.18 12:28

[出処:tvN]

tvNのドラマ「私のおじさん」がベールを脱ぐやいなや、猛非難を受けている。 21歳の女主人公のジアン(IU)がサラ金業者の同年輩の男性から苛酷に殴られる場面と、 続いてやけくそになって吐きだす「君、私を好きだろ?」というセリフが特に災いをよんだ。

放送前から期待する目が多くもあった。 昨年11月に公開されたドラマの題名と18歳の差がある男女俳優が出演するというニュースだけでも、女性たちは多くのことを予感し、 いつもあったファンタジーがどこに行くのかと同じ気持ちで公憤を準備した。 そしてついに公開されたドラマは韓国社会をさらったMeToo運動の波に正面からぶつかった。

早く苦労しただけに、製作スタッフが気を付けなかったはずがない。 ただ反応がこれ程だとは思わなかっただろう。 最初の放送があるとすぐに韓国日報、ハンギョレ、OhmyNews、ミディアースに鋭い批評記事が続々と掲載された。 すべて女性の筆者はドラマをいちいち批判して、製作スタッフを厳しく叱った。 女性たちの怒りがすぐに過ぎ去るだろうと思って、本当にこうなるとは思わなかっただろう。

記事ごとに「誹謗中傷」の勢いは小さくなかった。 ところでのぞき見たコメントの内容はたいして変わらない。 ドラマが嫌いなら見るな、現実とドラマは区分しろという水準だ。 MeToo運動とフェミニズムの変質を云々するのはオマケだ。 ドラマに問題があっても鋭敏で不純な「フェミたち」とは論争しないという態度だ。 本当に味気なく、のん気で足りて不誠実だ。 しかしいつまでこうしているのだろうか?

製作スタッフはまだ序盤なのだからもっと見守ってくれといった要請の立場を発表した。 人物の間に複雑な理由がある、問題の場面はぜひ必要だったという。 21歳のジアンと45歳のドンフン(イソンギュン)は単純なロマンスではなく、 相互治癒の関係だとも付け加えた。 人物関係図で両者に描いた愛情ラインはこっそり削除した。 しかしドラマの序盤から怒った女性の視聴者は、 ジアンが職場権力の暗闘でおじさんたちをはね除けて最後にひとりで笑う結末だけが唯一の出口だと話している。 ドラマの放送はまだ14話が残っている。 製作スタッフはいつまで粘れるだろうか?

結局、以前のようにはならないだろう。 2018年の大韓民国の文化批評紙面を満たしたその声に「マスゴミ」と応酬したところで力不足だということを、 もっと見守ってくれと言いながら時間を稼いでみたところで、 逃げる所はそれほど多くはないということを彼らも近い将来知ることになるだろう。

あるいはジアンとドンフンが人間対人間で特別な関係を結ぶという展開ではないだろうか? もしかしたらそれが今、女性たちが最も待ちこがれる韓国ドラマだろう。 ただ男女の出会いが本来対等になることが難しい構造なので、 そんなドラマには非常に繊細な設定が必要だ。 まして若い女性と中年男性だ。 悲しいかな「私のおじさん」は二人を対等に紹介さえしない。

われわれはあなたたちの世界を押し出す

ドラマの中のジアンの境遇は、あえて言うまでもなくわかるようなどん底の人生だ。 彼女の身なり、家風景、追いかけて殴るサラ金業者を見ただけでもそうだ。 だがドンフンの境遇は煩わしいほど幾重にも紹介され、また強調される。 彼がどこか臆して肩が重く見えても、絶対にみずぼらしく侮られないように、 製作スタッフが心を込めて仕込んだ設定がいっぱいだ。

そもそも大企業の部長で建築構造技術士だ。 ドラマのホームページはドンフンが浮かれた性分になれないからで、 実際には建築会社よりもよく勉強したとあえて説明しておいた。 お母さんには家も用意して差し上げたという。 その他にもドンフンは無能力者ではなく、進級に執着しないだけだ、 「良心的」なのでかえって「かわいそうだ」で「くやしい」人だと細かく繰り返して説明する。 女性との関係で遂に優勢で、相変らず魅力あるおじさんにするための撒き餌だ。 このように製作スタッフは「ありふれたおじさん」という自分たちの男主人公を、 本当に何も持たない男性にすることもできない。 配達された賄賂5千万ウォンをひそかに引き出しの中に入れたドンフンなのに、 何が良心的だというのまったく分からない。 しかしジアンはドンフンにはアザができた顔を見せながら、 すぐ女を殴った経験を尋ねて、別のおじさんには突然「おばさん」を卑下して挑発をする。 もうこれら全てがあまりにも異常で苦しくて我慢できない。つまらない。

ドラマ「トッケビ」で20歳のウンタク(キム・ゴウン)が叫んだ「おじさん愛してます」がすべての視聴者の心を寒からしめてやっと1年ほどだ。 もう女たちはそのおなじみのファンタジーからどんどん脱出している。 男が女を好きなら殴ったりもするという発想を捨てられないドラマでも、 男性はきちんと褒め称え、女性は簡単に殴りつけるドラマでも、 それらのドラマが問題にならなかった過ぎた日の私自身からも抜け出す準備ができている。 今後もジアンと周辺の男性たちがどのように絡まるのか、目を皿にして見守ろう。 製作スタッフが何でも弁解して頼んで絶えず顔色をうかがうようにさせるだろう。

変化の亀裂が足もとに近付いてくることを知らずに、昔の態度だけを固守していれば、 いつ危ない瞬間をむかえるようになるかもしれない。 現実とドラマを区分しろという文句ではもう足りない。 「私のおじさん」がなぜつまらないのかを騒いで共感する女性たちに、 このドラマがなぜまだおもしろいのかと反論する誠意程は見せるべき時だ。 もう女性たちはこれ以上、裏でウンウンと呻いたり一人で悲壮になるのではなく、 時ごとに紙面を覆って世論を作り、あなた方を当惑させるだろう。 あなた方の世界を押し出すだろう。 この変化に合流しよう。 心を開いて適応しよう。 ぜひ淘汰されずに共に進もう。[ワーカーズ41号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-05-01 11:59:41 / Last modified on 2018-05-01 11:59:43 Copyright: Default

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