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ロヒンギャ問題をながめる韓国活動家の悩み

[ワーカーズ]インターナショナル

ナ・ヒョンピル(国際民主連帯事務局長) 2017.12.08 14:37

▲ロヒンギャ難民村[出処:ウィキペディア]

国連難民機構韓国事務所前の集会

去る9月24日、韓国に居住するミャンマー人約700人がソウル市乙支路の国連難民機構(UNHCR)韓国事務所前で集会を開いた。 この集会を主導したのは韓国市民社会とともにミャンマーの民主主義と移住労働者の権利保護のために戦ってきた人々だ。 長い間、軍事独裁政権に対抗して外国で戦う彼らのために、韓国の市民社会は物心両面で支援してきた。 そんな彼らが国連難民機構を標的にして集会を開き、次のように叫んだ。 「ロヒンギャはミャンマーの少数民族ではない」、 「ARSA(ロヒンギャ軍事組織)のテロ行為をやめろ」、 「ARSAのテロリストは消えろ」等、 彼らのスローガンはミャンマー政府の立場と同じだった。

やっと政権を取ったアウンサン・スーチー政権がロヒンギャ問題で揺れてはいけないという切迫感もあると、つとめて理解しようとした。 しかしとうてい理解できない点は、ロヒンギャがミャンマーの少数民族ではないと国連難民機構の前で叫ぶ姿だった。 これはロヒンギャ人が「法的に」ミャンマーの市民権がないために発生する人権侵害であり、 難民問題についてミャンマー政府には責任がないということだ。 またこの問題について国連がミャンマー政府を批判するのは誤りだというメッセージでもある。

韓国の活動家は彼らのスローガンに大きな衝撃を受けた。 数十年間累積した弾圧と差別はもちろん、最近数年間、民族浄化の水準で強行されたミャンマー政府軍とアラカン仏教徒民兵の殺人と強姦、および放火に抵抗するために、 やっと数十人の武装組織が軍警の警戒所を攻撃したことでテロリストと烙印を押し、 ミャンマー政府軍の大量虐殺を正当化する姿に衝撃を受けた。 ではミャンマーの軍事独裁政権に対抗して武装闘争をしたミャンマーの活動家は軍部独裁政権の立場ではテロリストではなかったのか? では彼らは相変らず武装闘争を続ける他のミャンマーの少数民族はなぜテロリストと規定しないのだろうか?

何よりも韓国で移住民として、難民として、移住労働者として生きていく彼らが、 市民権がないという理由で弾圧を正当化するシュプレヒコールをあげる光景は、 本当に信じ難いことだった。 彼らが叫んだ論理によれば、ミャンマーの移住労働者自身も味わっている韓国の入管事務所のいわゆる「不法滞留者」に対する人間狩りも正当になる。

難民の権利を保護するために活動する国連難民機構の前で集会を開いたのも疑問であった。 韓国で難民として認められて生きていくミャンマーの活動家に聞きたかった。 もしロヒンギャ人が韓国に難民申請をすれば、あなたはどのような意見なのか? もし彼らが難民認定を受ければ、ミャンマー政府の弾圧があるということを韓国政府が認めるという意味だが、 では韓国政府に対しても抗議デモを組織するのかということだ。

われわれはなぜ連帯して戦ったのか?

ミャンマーの民主化活動家はこう主張する。 相変らず軍部が軍統帥権を持っており、アウンサン・スーチー政権は軍部の力から自由ではなく、 ミャンマーの民主主義は今まさに歩き出したところなので、 アウンサン・スーチー政権を理解すべきだと。 だがミャンマーの実権者であるアウンサン・スーチーがロヒンギャ事態に対して見せる姿は、 そんな背景を考慮してもノーベル平和賞受賞者として、一時はアジアの民主主義の象徴だった人であるとは信じ難い水準だ。

アウンサン・スーチー女史は11月20日の演説(1)でも、ロヒンギャを「不法移民者」と呼んでいる。 アウンサン・スーチーだけではない。 2009年の光州人権賞受賞者であるミンコナイン氏が最近韓国のマスコミ(2)を通じ、 今回の事態について表明した意見も驚きだ。 彼はヨーロッパ連合がこの問題を強調する理由は 「ムスリム側に立ってイメージを変える」という意図があるからで、 この地域の地下資源からの経済的利益とここに中国が関心を持っているという話にも言及している。 この事態をヨーロッパ連合のイメージメーキングと経済的利益の面から接近する彼の認識は、 この問題に注目する全世界の多くの市民の一般的な認識からはかけ離れているのは明らかだ。

国際社会が願うミャンマーの民主主義の未来は、このようなものではなかった。 ある人々が集団的な国家暴力で犠牲になる事態が発生したとすれば、 集団的な国家暴力を経験したので、少なくとも彼らをテロリスト集団と侮辱しない政府ができると期待した。 特に、民主主義と人権を叫ぶ人々が政権を取れば、いくら軍部の影響が強くても、 人間に対する最低限の礼儀と尊重を見せると信じていた。 しかし残念ながら、ロヒンギャ事態が勃発してから今まで、一緒に戦ってきた人々からロヒンギャ人が味わう苦痛への遺憾と慰労の言葉はみあたらない。 われわれはいったい何のために共に戦ってきたのだろうか?

連帯は人を問わない

ロヒンギャ事態を扱う韓国のオンライン記事のコメントを読むと、 ロヒンギャ人は国のミャンマー植民地統治に賦役したのでやられてもいいという論理が力を増している。 満州国将校と彼の娘を統治者として受け入れた国家の国民が主張するには説得力がない論理だが、 たとえロヒンギャ人が帝国主義に賦役したとしても、彼らに強行されている暴力が正当化されないのはあまりにも当然だ。 国際人権団体セーブザチルドレンが最近発表した報告書によれば、 ミャンマーの軍人は一歳の赤ん坊を火の中に投げ捨てる暴力をはじめ、 少女を集団強姦するなどの深刻な犯罪を行っている(3)。 これに対してその被害者と連帯して加害者に責任を問うことに反対することは、 どんな論理を持ってきても国際社会から自らを孤立させることだ。

ミャンマーの民主主義のために微力ながら共に戦ってきた団体の活動家として、 韓国の市民社会がロヒンギャの痛みに連帯しようとするのは、 彼らがムスリムだったからではなく、苦しんでいる人だということをミャンマーの活動家もよく知っているだろうと信じる。 そしてミャンマーの活動家にロヒンギャ問題に対し、普遍的人権の問題として接近してくれることを要請するのは、 ロヒンギャの人々の肩を持とうというのではなく、 ミャンマーの民主主義が成功することを望む切実な気持ちからだという事実をミャンマー活動家が理解してくれることを期待する。 「すべての人は人権を持っている。そして連帯は人を問わない」という言葉は、 実際に守ることが容易ではない原則かもしれないが、 この原則で韓国とミャンマーの活動家が互いに同意して同じ所を眺めて戦っていることを再確認したい。

(1)http://time.com/5031310/aung-sansuu-kyi-myanmar-rohingya/ (2)http://h21.hani.co.kr/arti/world/world_general/44327.html (3)http://www.savethechildren.org/site/c.8rKLIXMGIpI4E/b.9536117/k.9DB4/ Rohingya_Crisis.htm

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-12-22 18:55:16 / Last modified on 2017-12-22 18:59:11 Copyright: Default

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