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民営化の終着駅、鉄道産業のアウトソーシングと非正規職化

鉄道庁-鉄道公社-株式会社へと続く鉄道民営化の歴史

ユン・ジヨン記者 2013.12.17 16:31

2004年まで鉄道産業の労働者は鉄道庁に所属する公務員の身分だった。だが2005年、政府の鉄道産業民営化政策で鉄道庁が鉄道公社と鉄道施設公団へと上下分離し、一緒に労働者たちの身分も公務員から公社職員に変わった。

今年、政府と鉄道公社が水西発KTX分離民営化を断行し、今では鉄道労働者は 株式会社の職員として退任を迎える状況に置かれた。公共部門の「鉄鉢公務員」 という皮肉は過去の話になり、今は人員効率化による各種の勤労環境の悪化を 心配しなければならない境遇に置かれたわけだ。

そればかりか、鉄道庁から公社に分離する過程で無分別に拡張された外注化は、 水西発KTXの分離民営化を契機としてさらに勢いよく襲いかかろうとしている。 これまで急速に増加してきた鉄道産業の非正規職化もさらに広がる展望で、 鉄道産業は近い将来、非正規職を量産する産業に変貌する可能性が高い。

[出処:チャムセサン資料写真]

鉄道庁-鉄道公社-株式会社へと続く鉄道民営化
効率を打ち出して人員削減と外注化、非正規職発生

鉄道産業民営化の出発は1998年に遡る。当時、金大中(キム・デジュン)政府は 鉄道庁を公社化しようとした金泳三(キム・ヨンサム)政府の政策を再検討し、 「公社化」ではなく「民営化」へと方向を旋回した。しかし労組と市民社会の 反対で、鉄道産業民営化推進に支障が起き、盧武鉉政権は鉄道構造改革の方向を 「民営化」から「公社化」へとまた変更することになる。

結局、2005年1月1日、政府は鉄道庁を鉄道公社と鉄道施設管理公団に分割して 鉄道産業発展基本法を制定した。当時、労組は鉄道構造改革と鉄道産業発展 基本法が民営化に進む土台になるとして反対したが、政府は鉄道の上下分離 で鉄道の負債を解消するとし、これを推進した。

事実、「鉄道庁」の公務員が「鉄道公社」の職員になり、勤労条件は多少改善 した面がある。社会公共研究所のパク・フンス客員研究員は「鉄道庁の公務員 だった時は、勤労基準法が適用されず、ひどい低賃金などの劣悪な勤労条件に 苦しんできたが、公社に転換した後、それによる勤労条件が適用されたことで 勤労環境は良くなった面がある」と説明した。

だが鉄道公社はすぐ運営効率化のための強力な人員構造調整と赤字雲影合理化 方案を持ち出した。直接の整理解雇の方式ではなかったが、人員を補充せず、 人員の規模を削減する方式だった。鉄道労組のチェ・ウンチョル報道担当者は 「李明博(イ・ミョンバク)政権になった2008年から2012年まで、5115人の鉄道 公社の定員が削減された」とし「人員を採用せず転換配置などをする方式だった」 と説明した。

またチェ・ウンチョル報道担当者は「退職前の人にはインセンティブを提供し、 はやく退職させて、また非正規職として雇用する慣行もできた。代りに定年を 延長する方式だった。こうした人員も、200人程度いる」と説明した。賃金など の勤労条件は良くなったが、人員が補充されずに労働者の労働時間は増えた。 パク・フンス研究員は「鉄道公社の事業量と新規路線の増加にもかかわらず、 人員は補充されなかった。そのため労働者の休日勤務は頻繁になり、休暇も きちんと取れないということが発生した」と明らかにした。

さらに大きな問題は、運営効率化による外注化が増え、必然的に非正規職も増 えた点だ。チェ・ウンチョル報道担当者は「5115人という人員削減の代わりに、 同じ程度の人員が外注化された。新規路線は増えても人員は限定されていたため」 とし「軌道産業は子会社や、子会社の協力社などへの外注化が横行ている状態だ。 鉄道庁だった時には子会社も外注化もなかったが、公企業に転換した後、子会社 の設立と外注化が急速に進んだ」と明らかにした。

実際に2008年から2012年末まで、最近5年間の鉄道公社子会社別の人員変動現況 を見ると、「コレイルネットワークス」と「コレイルテック」等の子会社で 非正規職の規模が着実に増えている。

コレイルネットワークスの場合、2008年には45人だった非正規職労働者が、 2009年には443人、2010年には504人、2011年には586人、2012年には686人(合計 人員1539人)に増えた。コレイルテックはさらに深刻だ。2009年の正規職はやっと 47人、非正規職は1149人で、2012年には正規職49人、非正規職1279人を記録した。 正規職より26倍以上、非正規職が多いわけだ。

また鉄道公社は施設維持や保守などの業務の相当部分を外注化して、効率化を 試みた。2013年現在、線路維持補修外注業者は3社で、建築物や付帯設備の委託 管理用役は5社、一般鉄道電車の電力設備維持補修用役は16社で、合計24社の 外注業者が入っている。鉄道庁の時には正規職職員が責任を持っていた業務を 子会社に分割したりアウトソーシングして、人員効率化をしたのだ。

水西発KTX分割民営化を始め
鉄道産業は外注化と非正規職の天地

現在、鉄道公社が進めている水西発KTX株式会社の設立は、子会社分割とアウト ソーシングの加速を呼ぶ可能性が高い。当初、鉄道公社は水西発KTX株式会社の 設立のために初期資金4千億ウォンと人員約1700人が必要だと発表した。しかし 血税の浪費に対する非難が強まり、突然資本金8百億ウォン、人員400人で運営 すると言葉を変えた。

チェ・ウンチョル報道担当者は「1700人の新規人員を補充しなければならない と言っていたのに、今では400人で会社を運営するという。そうすると残りの 1300人はすべて外注化するということ」と声を高めた。

公共輸送政策研究院のイ・ヨンス研究委員は「国土部は水西発KTX子会社分割時、 莫大な設立費用の議論を避けるために、列車の運行に直接関連する列車の運営 などの核心人員だけ直営とし、整備や維持補修などの周辺業務はすべて外注化 する方案を発表した」とし「これは、水西発KTX株式会社での効率化を踏み台と して、コレイルもこうした手順を踏んで行くという目的」と強調した。

またパク・フンス研究員は「国土部は過去に(水西発KTX株式会社職員の)年俸は 2千万ウォンで充分だと明らかにした」とし「税金を引けば月150万ウォン程度 だ。だがこの場合にも勤続手当で賃金が高くなり、仁川空港公社非正規職解雇 の過程のように携帯メッセージ一通で労働者を解雇する状況が繰り返される」 と説明した。

鉄道労組によれば、国土部は今年の水西発KTX分割を始め、地方路線と広域路線 の民間参加によるすべての鉄道路線の民営化を計画している。また、国土部は 6月に「鉄道産業発展方案」で、車両整備分野と線路の維持補修業務を子会社に 移管する事実上の分割民営化方針を発表した。水西発KTX分割民営化を信号弾に、 巨大なアウトソーシングと非正規職化が予告されたわけだ。

公共部門の民営化で現れる弊害は、すでにKTの例で十分知らされている。2001 年に、韓国通信公社をKTに民営化した後、株主高配当指向が強化される反面、 労働者の賃金はほとんど停滞している。人員構造調整も進められ、1997年から 昨年までに何と2万9300人も減少した。10数回もの構造調整で98年以前には6万 人だったKTの労働者は現在3万人程度しかいない。

KTが行ってきた一部の業務を外注化し、KT労働者の大規模な子会社への配置も 行われた。KTの前職・現職職員の死亡者数は、2009年の34人から2012年には56 人と毎年増加し、自殺者も2010年から今年の7月までで約20人になる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-12-17 21:43:15 / Last modified on 2013-12-17 21:43:15 Copyright: Default

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