本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:タイムオフマニュアル、新種の労働弾圧
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1278105612323St...
Status: published
View


タイムオフマニュアル、新種労働弾圧の備急書として脚光

起亜車タイムオフ勤怠管理マニュアル、「労組活動は警備室で印鑑を」

キム・ヨンウク記者 2010.07.01 23:34

労働組合員は中高生でもないのに...

労働部が製作配布した『タイムオフ限度適用マニュアル』が、新種の労働弾圧 備急書として脚光を浴びている。『勤労時間免除者』という概念が登場したタ イムオフ・マニュアルの内容を指針書として受け取った起亜車社側は、『勤労 時間免除関連勤怠管理マニュアル』を作り、現場管理者に配布した。起亜車の 勤怠管理マニュアルは一言で労組抹殺備急書完結版だった。

▲金属労組が公開した起亜車勤労時間免除関連勤怠管理マニュアルの組合活動(事前)申込書. タイムオフが適用されれば労働組合活動のために部署長確認欄に警備室から印鑑まで受けなければならない。

起亜車勤怠管理マニュアルは、労働組合員を中高生の学校生活管理水準に転落 させるほど、深刻に労組活動を制約する内容が含まれている。すでに団体協約 で保障されている組合活動も、事前に申込書を提出しなければならない。申込 書の様式には、主任と課長、部署長の確認欄があり、活動日時と活動申請内訳 を記載しなければならない。また、こうした内容を書き込み、班長や勤怠担当 者の署名を受けなければならない。特に工場の外に出る時は、工場出入り口の 警備室で、出門時間と出門場所の確認を受け、印鑑を貰うことになっている。 金属労組のカン・ジヒョン宣伝広報室長は、「労組活動家は中高生でもないの に、組合活動をする時、学生のように主任の先生と校門警備のおじさんのハン コを貰って出て行けというようなもの」と非難した。

組合活動証明書類として会議録の提出を要求

起亜車勤怠管理マニュアルには、勤労時間免除者という単語が登場する。勤労 時間免除者は、労働部のタイムオフ・マニュアルに初めて登場した概念で、労 働部は勤労時間免除限度内で使用者との協議・交渉、苦情処理、産業安全活動 など、労組法または他の法律が定める業務と健全な労使関係発展のための労働 組合の維持・管理業務を遂行する勤労者と規定した。

労働部は、勤労時間免除者でもストライキ、公職選挙立候補など事業場内労使 共同の利害関係に属する業務と関係のない活動は、勤労時間免除対象業務と見 られないので、このような活動には有給処理をしてはならないと釘をさした。

問題は、勤労時間免除者の概念が事実上、使用者側に労組への全面介入と勤怠 管理の武器を与える形だということだ。起亜車は7月1日から労使間団体協約で 締結した組合員教育に参加した組合員を無給処理すると『勤怠管理マニュアル』 に書き込んだ。また、代議員も活動報告書により承認を受けても無給処理され る。承認されずに活動すれば無断離脱で無届欠勤になる。その次は懲戒だ。

▲起亜車勤労時間免除関連勤怠管理マニュアル

金属労組のパク・ユギ委員長は、「起亜車は代議員が会議に行く時、労務管理 部の事前承認を受けて、事後に会議結果として会議録を提出しなければならな いという内容を勤怠管理マニュアルにしている」とし「労組を会社の労務部に 直属しろということ」と非難した。パク・ユギ委員長は「これが先進的な労使 関係なら、そんな労使関係は打ち壊す」とし「こんなひどい状況を労働部が後 で操縦し、事業場ごとに便法合意書が出てくる。公開合意書と非公開合意書、 非正常な各種の合意書がある」と実態を公開した。

労働部マニュアルが、すべての労組活動に支配介入できる強力な武器になった のだ。労働人権のための労務士の会のユ・サンチョル事務局長は「労組法には 勤労時間免除者の業務範囲の定めや、免除者の活動を通知する手続きは明示さ れていない」とし「労働部がマニュアルを作って配布し、使用者が露骨な不当 労働行為を正当化している。労組活動に自主性を与えると言うが、逆に労組を 支配させ、自主性を侵害させる自己矛盾に陥った」と指摘した。

金属労組のカン・ジヒョン宣伝広報室長も「起亜車社側が専従問題だけを規定 したタイムオフ限度から、団体協約で提供してきた業務用車両とコンピュータ などの各種備品返却まで要求したのは、これを機会に労組を無力化するという 意図」と指摘した。

労働部のマニュアルによれば団体協約解止の効果

労働部のマニュアルは、単なる指針書を越え、使用者にとって強い力になった。 保健医療労組や公共運輸労組、事務金融連盟傘下事業場にも7月1日を基点とし て団体協約の内容を全て無力化する措置が取られている。社側からの専従者へ の業務復帰命令、各種の労組活動施設便宜の提供や機資材提供の中断などを宣 言したためだ。事実上、新しい労働弾圧手法と呼ばれる団体協約開始と違わな い措置だ。

事務金融連盟のある事業場では、使用者側が専従者もなくし、備品や労組事務 室も取り上げようとしている。事務金融連盟のチョン・ヨンゴン委員長は、 「労働部が使用者にタイムオフという武器を与え、労組虐殺の権限を与えた。 必ず血を呼ぶだろう」と嘆いた。

公共機関はさらに深刻だ。当初、団体協約の解止が核心問題だった公共機関の 労組は、タイムオフと団体協約解止が自然に一つの武器になり、労組無力化の 攻撃を受けている。

公共労組ガス公社支部や社会連帯年金支部は団体協約を締結したが、使用者側 は団体協約締結を翻意した。タイムオフ施行時期とタイムオフ限度を含めろと いう政府の要求のためだ。この過程で団体協約を締結できず、団体協約が解約 された。

社会連帯年金支部は3月15日団体協約解止以後、約60項目の改悪案を提示された。 組合員活動時間まで改悪が要求された。支部はこれ以上労組活動ができないと いう判断により、7月1日から全国でストライキ闘争に入った。

ガス公社支部も団体協約が解約されてから、起亜車のように勤労時間免除活動 の事前事後報告を時間単位でするようにと要求された。公共運輸労組準備委の ヒョン・ジョンヒ副委員長は、「労組活動を時間単位で報告しろということは 労組活動をするなということで、労組活動に介入するという意図」と反発した。

国民年金公団は勤務中の組合活動を大幅に縮小または削除を要求した。組合教 育時間明示の削除と分期当たりの組合員教育削除も要求している。タイムオフ 限度を契機に組合員教育の時間もすべて認められないということだ。

マニュアルが政府と使用者に有利な団体交渉指針書として悪用されているとい う指摘も多い。専従者関連条項一つで既存労組のすべての権利を根絶するとい うことを、労働部が後で操っているということだ。保健医療労組のある事業場 では、労使交渉の席に労働部職員が来て、交渉がどう進み、病院側が何と答え るのかを具体的に調査して、マニュアル通りにしなければ罰すると脅した。

ユ・サンチョル労務士は、「勤労監督官が各労働支庁に人事労務管理者を集め、 タイムオフ適用マニュアル説明して特別監督に行くとし、労使関係に積極的に 介入している」とし「労組法は労働三権を保障するはずだが、タイムオフ運営 マニュアルや労働部の態度は労働三権を制約している」と指摘した。

ユ・サンチョル労務士はまた「労組法には労組専任者賃金条項もあるが、労組 の運営のために事務室を提供し、機資材を提供することは、労組法と団体協約 によって行われたことなのに、これを封鎖するということはこれまでのすべて の労組活動を封鎖するということ」とした。

7月1日から施行されたタイムオフ制度は、結局、深刻な労使対立と混乱を呼び 起こした。法律の専門家もマニュアルで勤労時間免除業務範囲を定めるのは法 廷で3-4年間問題になると予想している。このような状況で、施行されたばかり のタイムオフをめぐり労使間での力比べは長期化する可能性が高い。現実に合 わないばかりか、あちこちに暗礁があり、最初に労と使のどちらが主導権をと るかがカギになる状況だ。タイムオフを越える合意をしても、不当労働行為と 言うのは難しいという指摘も多く、労働組合の闘争はとまらない展望だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-07-03 06:20:12 / Last modified on 2010-07-03 06:20:19 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について