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[人権、映画に会う] 「土方」を語る

建設日雇い労働者を描いたドキュメンタリー 「土方」を製作した金ミリェ監督

イ・ジンヨン

よじれた韓国の資本主義の現状を象徴し、「不良と不正の温床」とされる建設 業。建設業界のあらゆる問題を量産する不法多段階下請けの堅固なピラミッド の末端には、土方人生の汗と怒りが渦巻いている。土方人生の道を歩いてきた 父が味わわなければならなかった不当性の実体を目撃した監督の怒りと、注目 もされない「底辺」の生への愛情から出発した映画、「土方」は後半の作業の 真っ最中だ。7月末に製作完了を控えている金ミリェ監督に会った。

金ミリェ監督

作品を始めた契機は?

70年代にソウルに上京して、建設日雇い労働者の暮しを始めた父が、IMFの時 に長い間失業状態に置かれていた。一生欲張ることなく誠実に働いてきた人が、 その時、突然路上生活者になると宣言した。そんな状況を招いた建設日雇い労 働の現場の面々をカメラで撮らなければという思いが着実にあった。これまで 女性労働者、生コン労働者の闘争を扱ったドキュメンタリーを製作してきたが、 今回の作業に対する構想は胸の中にあり続けてきた。

「どうすれば問題を解決できるだろうか」と悩みながら、当時全国建設日雇い 労働者協議会を訪ね、父の日常を注意深く記録した。ところが最初は建設現場 に接近することも容易ではなかった。父と共に働いている労働者の方は、最初 カメラで撮られることを拒否したが、関係が緊密になると良い話をたくさん聞 かせてくれた。

いわゆる「オヤジ」(仕事の注文を受けて現場の労働者を管理・統制する役割 を遂行)に付いて回り、建設現場を行き来していた父が歳を取って体が動かな くなり、数年前には現場警備に就職した。相変らず賃金の不払いが繰り返され るという困難を経験し、結局、現場警備職を解雇された。現在は土方人生が終 わったわけだ。一度も人生の主人公にならなかった父は、今回の作業でメイン の登場人物になったことを喜んでいる。

建設現場のある労働者(作品とは無関係) [出処]キムジョンウ

作品の主な軸は? どんな内容か?

賃金不払いとこの上なく劣悪な労働環境を誘発する構造的原因は何か、不法多 段階下請けの問題を暴く一方、これを改善するための実際の闘争の事例を見せ る予定だ。韓国のセヨン建設に対する闘争、日本の朝日建設に向かった戦いを 主な二本の軸に設定するが、父と日本の歳をとった労働者の暮しはどうかも描 くつもりだ。

日本の事例を浮上させて話したいことは?

日本の建設日雇い労働者の福祉政策は、労働者の苦しい闘争の結果で、その上 にちゃんと構築されているように見えるが、現在の日本の労働者が直面する状 況はかなりぜい弱だ。日本の建設資本は歳を取った労働を排除し、若い労働者 を雇ってわずかな賃金しか支給しない。歳を取った労働者たちは、建設日雇い 労働者の通りである釜が崎で野宿生活を続け、最期をむかえている。一部の歳 を取った労働者の闘争が続いているが、全般的に動力が足りない。相対的に若 い労働者が多く、相対的に組織化の割合が高い韓国の状況をとても羨ましがっ ている。

運動の動力が消耗していく日本の状況を反すうしつつ、運動の必要性を痛感し てほしい。日本の「経験」と韓国の「力」が出会い、学ぶ機会になることを希 望する。

作品の完成後は、どのように配給するつもりなのか?

韓日建設日雇い労働者たちに見せたいという気持が強い。初めて日本の労働者 と接し、作業の意図を述べた時、「世界は変えられる」と励ましてくれて、 「労働者が好むドキュメンタリーを作れ」と助言してくれた。韓国の労働者も、 「おれたちのカメラマン」と感じて作業を支持してくれた。

また運動陣営の内にも土方への差別的視線が存在する。運動団体が今回の作品 に接して、その点が変われば良い。

人権一日消息第2848号[入力] 2005年07月08日8:42:20

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2006-02-23 11:21:46 / Last modified on 2006-02-23 11:21:46 Copyright: Default

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