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李俊錫の当選がさらに深刻な試験地獄を作らないように

[寄稿]彼の自由主義公正の談論を越えろ

ミョンスク(人権運動ネットワーク・パラム常任活動家) 2021.06.14 09:06

李俊錫(イ・ジュンソク)氏は58.8%の党員と世論調査の圧倒的な支持で保守野党の国民の力党代表に当選した。 高齢の政治家が並ぶ韓国政党政治で、30代の党代表当選は時代の変化や大衆の期待を反映したのは明らかだ。 年を取った政治家たちは青年が体験する不平等で苦しい人生を解決できないという判断と、 それでも代弁する人がいない現実は、 李氏を青年世代の代表者として見せる。

では果たして彼は青年世代の立場を代表するのか。 当然違う。 だが彼が青年世代の「特定の声」を代弁したのは明らかだ。 特権があふれ出る韓国社会に鳥肌を立てる人々に彼が掲げた「公正」は、 あるいはやるに値する。 李俊錫党代表の登場は、韓国社会の核心キーワードである 「公正」と「世代問題」を制度政治の場で本格化した。

[出処:国民の力ホームページ]

自由主義を「公正」で包装しただけ

だが私は彼の「公正」が新鮮に感じられない。 包装紙だけ変えて価格だけ上げた商品のように感じる。 彼が打ち出した公正が「国民の力」という保守政党が指向する価値である自由主義から大きく変わらないからだ。 あるいはもっと危険なのは、自由主義が「公正」という包装をしたことだ。 自由主義は社会体制や構造の不平等を無視した自由市場経済と個人の競争を原理として、 個人の人生と社会が運営されることを望ましいと見る。 歴史的に、自由主義は封建的な身分制に対する批判と資本主義生産、 ブルジョア階級の登場と共に現れた。 胎生的に能力主義を基盤とするが、資本主義体制の階級的不平等には触らなかった。

李氏が書いた本の題名も「公正な競争」だ。 彼はまるで私たちの時代の権力を持たない人々が味わう侮辱的な人生と不平等が 単に競争が公正ではない「だけ」だと勘違いさせる。 当然、不公正と特権は問題で、これは清算されなければならない。 鄭ユラや長(チョ・グク)事態が代表する大学入試過程での違法と不法などは 「競争ぐらいは公正にしよう」という言葉にうなずかせる状況なのはそのとおりだ。 しかし、それは社会構造的に根を張った不平等を是正できない。

今、多くの青年が味わう、いや前世代が味わう学歴差別、性差別、非正規職のような雇用形態による差別は 「競争ぐらいは公正に」して解決するものではない。 いや、今の韓国社会は階級的な差だけでなく、 多様な差別のシステムを活用している。 年上だから、若いから、女だから、障害者だから、性少数者だからと不利益を受ける。 はなはだしくは男性にもっと高い点数を与えて男性だけをさらに多く選ぶ 性差別的採用試験は単にいくつかの銀行だけの問題ではなく、社会全体に広がっている。 同じ仕事をしても非正規職だからと半分しか賃金をもらえず、雇用不安に苦しむ。 年齢が上でも下でも女性の場合、非正規職の特殊雇用がさらに多い。 不公平な体制を是正せず、試験と努力だけでは安定した人生を享受することができない。

普遍的権利を特権化させる公正競争

自由主義が一定程度、標榜する機会の平等という価値は、 参政権など近代人権で一定の寄与をした。 しかしそれで不平等は是正されることはなく、 労働権や住居権のような社会的権利が強調され、 結果の平等という価値に進んだ。 しかし李俊錫氏が標榜する「公正競争」は、 すべての人が享受すべき権利を「一定の能力がある者」だけに与えるということだ。 各種の国際人権規約が語る参政権、労働権、住居権、教育権、文化圏などの 市民的・社会的な権利を競争で勝った者だけに享受させろと主張する。 人間なら当然享受できるのが人権だ。 しかし競争を強調することで人権を資格化させる。 彼の公正談論は普遍的権利を特権化させるだけだ。

その上、彼は国際社会が社会的少数者の差別を是正する措置をなくそうという。 選挙で彼は「すべての割当制廃止」の要求を押し出した。 差別を是正するための積極的措置を不公正だと攻撃した。 累積した差別をなくすための少数者割当制を特典であるかのように歪めた。 障害者義務雇用制、女性割当制、地域人材義務選抜などが特典だという主張は 「不公平な体制で利益を受ける人々」の特権を維持させるという主張に違わない。

何よりも彼が強調する公正競争の核心には試験がある。 彼は党代表受諾演説でも、試験で党の主要役職者を選択するといった。 報恩人事と人脈管理で不適切な人が職責を引き受けるのが引き起こす問題を是正すると評価することもできる。 しかし彼が始終一貫して試験が公正だという信念を表現してきた点に注目させる。 ソウル大の合格者が江南圏にますます押し寄せる「良い学閥の中産層化」が語るように、 試験さえ階級的な不平等に基づいている。 試験に集中できる豊かな家の環境とアルバイトをしながら試験の準備をしなければならない人の差はつとめて無視する。 留学に行っても金と人脈が必要だという事実には沈黙する。 体制の不平等を語らなかった結果、 競争で敗れた人に「無能」の烙印までおす。 機会の平等を超えて結果の平等につながらなければならないという人権の価値を後退させるだけでなく、敗北者という烙印までおす。

開発独裁時期に強化された各種の試験制度と入試制度等による能力検証が、 現時代に合っているのかも問題であろう。 さらに試験という画一化された基準で差別を正当化している。

自由主義を超える進歩勢力は弱い

では人々はなぜ彼の公正競争に歓呼するのか。 自由主義的公正談論、差別的公正談論が不平等を是正できないということは分かるが、 まさに「公正に競争でもしよう」という主張が 「苦しい現実から脱出する機会」と見せているのではないか。 共に民主党も相変らず不平等を是正する政策を打ち出さず、似たような公正を叫ぶが、 「それでも若く有能に見える」李俊錫に引かれるのではないだろうか。

二つの巨大保守政党の政治以外の政治的ビジョンが見えず、 異なる声が聞こえない現実が問題だ。 自由主義的公正談論を超える平等談論が編み出す公正の声が小さいためではないか。 今こそ不平等を変えるという人々がもっと集まって実力を発揮しなければ、 勢力化されなければ、 われわれは誰もが「公正競争神話が作った試験地獄」に落ちてしまうだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-06-22 08:30:38 / Last modified on 2021-06-22 08:30:42 Copyright: Default

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