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「10年以上遅刻した法、包括的差別禁止法を制定せよ」

「韓国社会差別の現住所とその代案」…世界人権宣言70周年討論会開催

パク・タソル記者 2018.12.04 18:03

極右勢力の抵抗と政界の顔色伺いで、 韓国では10年以上、差別禁止法の制定が延期されている。 差別の要素が重なり、ひとりが経験する差別が作られる。 包括的差別禁止法はこうした差別の交差性を認識し、 規律する統合的な法制が必要だとして議論され始めた。

今年は世界人権宣言 70周年を迎える年で、来年の3月に政府は差別禁止法制定などに対する国連社会権委員会勧告履行報告を控えている。 これに差別禁止法制定連帯は12月4日午前、国会議員会館3懇談会室で討論会を開き 韓国社会差別の現住所とその代案を調べる討論会を用意した。 この席で差別当事者の多様な証言が出され、 10年以上差別禁止法制定を先延ばししている制度政界に対する糾弾が続いた。

京畿地域移住労働者共同対策委員会のサウォル執行委員は 女性移住労働者が経験する強制追放、性暴力問題を指摘した。 サウォル執行委員は 「女性移住労働者の場合、女性と移住労働者というアイデンティティで複合的差別に置かれている。 彼女らの住居は扉に鍵もなく、寝室もないほど脆弱だ。 トイレもまた扉が閉まらなかったり男女区分なく使う。 こうした脆弱な住居環境の上で、社長が勝手に入ってきて 『今日は私と寝てもかまわないか』といった侮辱的な話を聞いたりもする」とし、 これに関連する相談がよくあると証言した。

実際に昨年11月、女性移住労働者のA氏(29)は同じ工場で働いていた50代の男性に殺害され、冷たい遺体になって故国に帰った。 被疑者は性暴行を試みたがA氏が抵抗したため殺害したと警察に自首した。 A氏の知人によれば当日、被疑者は出入国管理所の不法滞留移住労働者摘発があるから 安全なところに連れていってやる』と言ってA氏を車に乗せてどこかに連れていった。

国家人権委員会が2016年に実施した 「製造業分野女性移住労働者人権状況実態調査」の結果を見ると、 回答者385人のうち45人(11.7%)がセクハラ、性暴行を経験したと答えた。 回答者は被害の経験も1回に終わらず繰り返されることが多いといった。

性暴力に脆弱な移住女性労働者だが、セクハラ-性暴力予防教育はほとんどない。 サウォル執行委員は 「移住女性労働者が働く所は10人未満の零細な事業場が多い。 こうしたところは講師も送られず、教育資料で代えることが多いが、 実際に移住女性に尋ねると予防教育を受けられなかったという人が多い」と説明した。

実際に2016年の共感実態調査でも、 性暴力対処方法に関して韓国や本国で教育を受けた経験があるのかという問いに対し、76.2%が「教育の経験はない」と答えた。 未登録移住女性はこのような威嚇と事故にも申告することも難しいが、 会話が難しく、被害の立証が困難で、 登録されていない未登録移住女性労働者の場合は彼女たちを支援する機関がないからだ。

2018年、国連女性差別撤廃委員会は韓国がまだ包括的差別禁止法を制定していない点を憂慮し 「女性に対する直間接差別をはじめ、 貧困女性、民族・人種・宗教・性少数者に属する女性、 障害女性、難民および難民申請女性、無国籍および移住女性、農村女性、非婚女性、青少年、女性老人などの脆弱集団に 影響を与えている交差的な形態の差別を禁止する包括的差別禁止法を制定すること」を勧告した。

差別禁止法制定連帯の共同執行委員長で公益人権弁護士の会の希望を作る法で活動しているチョ・ヘイン弁護士は 「これまで政府は差別禁止の事由をめぐる社会的な合意が不足しているとか、 社会的議論があって差別禁止法を制定するのが難しいという立場を繰り返し、 こうした反人権的な主張を傾聴する価値がある一つの『社会的意見』として承認した」とし 「こうした政府の態度は現在、各種の人権関連の法律と全国地方自治体の人権条例など、 人権、平等に関するすべての法令に対する攻撃が横行する決定的な背景になった」と指摘した。 続いて「単一の事由を基盤とする差別禁止法だけでは人々のアイデンティティを統合的に認識するのが難しく、 現実の複合的な差別状況を効果的に扱えないという問題意識が発展した」とし 「10年以上遅刻した法、包括的差別禁止法を制定しなければならない」と明らかにした。

一方、差別禁止法はこれまで17代から19代国会で、政府案をはじめ6件の法案が発議されたが、 4件は会期満了で廃棄され、2件は自主的に撤回された。 この日の討論会の共同主催をした金鍾大(キム・ジョンデ)議員(正義党)は 「差別禁止法に対する政界の意志が不足しているとしか説明できない」とし 「政界、市民社会、労組が公論の場を作り、 法案の発議まで続く体系的な過程を進もう」と提案した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-12-10 17:21:54 / Last modified on 2018-12-10 17:21:57 Copyright: Default

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