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[立場]韓米日軍事同盟強化のために女性に対する戦争犯罪に免罪符を与えた12.28慰安婦交渉

社会進歩連帯 作成日 2016.01.08 19:20

昨年12月28日、韓日両国間で慰安婦交渉が妥結した。 日本政府は慰安婦問題は「軍の関与の下に」進められたものであり、 安倍総理の名義で「謝罪と反省の心を表明」するとし、 日本政府の予算10億円で「心の傷を治癒するための事業」を進めることにした。 これに対し韓国政府は「今回の発表に至るまでの措置を評価し」、 日本政府が表明した措置が確実に実施されることを前提として国際社会で相互非難・批判を自制することにした。 また、合意文には慰安婦問題は「最終的および不可逆的に解決される」という文句も明示された。

一部では今回の交渉をめぐり、慰安婦問題を否定してきた従来の日本政府の立場から、それでも一歩進んだ協議案だと評価しているとも言う。 しかし相変らず人権と被害者の尊厳回復の観点から見れば、はるかに至らない水準だ。 日本政府が犯罪の主体であることと、犯罪の不法性は明確に定義されなかった。 また、法的責任の認定と賠償義務を見れば、 日本政府は10億円という金を払うだけで、むしろ韓国政府に義務の遂行を押し付けたに過ぎない。 その上、被害当事者との合意ないという批判と修正の要求があがるのは当然だが、 これを「最終的かつ不可逆的な決定」として交渉内容に対する社会的な公論そのものを封鎖してしまった。

その上、交渉直後に見せた日本政府の行動は、心からの謝罪というよりは面倒な問題が一つ解決して、 もうこれ以上関与しないという厚かましい態度に近かったため、さらに強い批判を受けている。 日本の安部晋三総理は「今後、この問題に対しては一切話さない。すべて終わりだ」と話した。 日本のマスコミは日本大使館前の少女像を撤去することが10億円の財団支援金の条件だったと報道した。

12・28交渉に対する対内外的な反対にもかかわらず、 韓国政府は「(今回の交渉は)政府が最善を尽くした結果」であり、 これに反対するのなら「これからどの政権もこうした難しい問題には手を付けられない」という弁解と脅迫で一貫した。 今回の交渉で慰安婦問題は当分の間、国内政治、そして韓日二国間関係において深刻な問題になるだろう。

交渉の意味:韓日軍事同盟、切れた輪を繋ぐ

しかし今回の交渉の意味は、韓国と日本の談合としてだけで整理することはできない。 韓米日軍事同盟を強化しようとする米国の圧力が背景にあるためだ。

オバマ政府は就任以後、粘り強くアジア・太平洋地域が米国の経済的・戦略的利益の核心であり、 対外政策の中心でならなければならないという「アジア-太平洋への回帰戦略」を推進してきた。 この戦略の核心的な考慮事項は中国の浮上だ。 米国は中国の浮上が長期的にアジア・太平洋での米国の利益を侵害するものと見て、 その牽制戦略として「アジア再均衡(rebalancing)戦略」を打ち出している。 アジア再均衡戦略で中国の浮上を牽制する核心的な米国の同盟国としての役割強化と協力が要求される国が、まさに韓国と日本だ。

しかし相互防衛条約へと続く軍事協力を通じ、相対的に堅固な軍事同盟である韓米、日米同盟とは別に、 韓日軍事同盟の締結は米国にとって困難な宿題のようなものだった。 韓日両国がずっと歴史問題で対立してきたことで軍事協力を制度化するのが難しい「切れた輪(missing link)」だったためだ。 実際に、李明博(イ・ミョンバク)政権末期の2012年6月、 1945年以後初の韓日両国間の正式な軍事協定として進められてきた「韓日軍事秘密保護協定(GSOMIA)」が国内世論の反対で失敗した。 当時、世論が悪化した主な理由も慰安婦、独島などの歴史問題であった。

そのため米国は昨年開かれた韓米首脳会談と日米首脳会談などを通じ、 韓日両国が慰安婦問題を妥結させるよう圧迫し続けた。 今回の12・28交渉も、米国の圧力がなければ不可能だっただろう。 しかし慰安婦問題に対する米国の関心は、想像通りに被害者の人権、尊厳の回復より、 韓米日三角同盟の完成という外交・安保的動機によるものだった。 したがって、米国の圧力の中で拙速に締結された12・28交渉は、当初から当事者の要求にはるかに至らないものにならざるをえなかった。

米中の対立と戦争の威嚇を深化させる韓日軍事同盟

韓日両国政府とも、当分は国内世論を宥和させることに集中するだろう。 これにより協約の履行、またはその過程で争点が発生するかもしれない。 したがって、韓米日政府は今回の慰安婦交渉の履行の意志を再確認し、 国際的に認めさせる手順を踏むだろう。 例えば、韓国内の外交安保研究所である世宗研究所は来る2月22日、 島根県が「竹島の日」の行使の前後に韓日関係がまた冷却する可能性があるため、 早期に韓日首脳会談を開いて「慰安婦妥結の歴史的な意味とともに合意の履行に関する意志を再確認」すべきだと主張した。 また、3月31日から米国のワシントンで開かれる核安保首脳会議の時に韓米日首脳会談を開催し、 協約に対する米国の支持を公式に確認する可能性も提起されている。

こうした過程を経た後に始めて韓日軍事同盟を強固化する手順を踏むだろう。 韓日軍事秘密保護協定と韓日相互軍需支援協定(ACSA)、ミサイル防御システム関連の合意が着々と進められるだろう。 最近の北朝鮮の4回目の核実験で、こうした流れはさらに加速するだろう。 すでに1月7日、日本の萩生田光一官房副長官が記者会見で 「慰安婦交渉を契機として日・韓、日・米・韓の安保協力が前進」するとし、 北朝鮮の核の威嚇に対応するためにも「(韓日軍事情報保護)協定の早期締結を含む安保協力をさらに推進」すると明らかにした。

TPP(環太平洋経済パートナー協定)も加速するものと見られる。 TPPは単純な自由貿易協定を超え、米国が主導する(経済的な)対中国包囲網の性格を持つ。 韓国は最大の貿易国で、北朝鮮問題に協力しなければならない中国に気を遣ってTPPに加入しなかった。 米・日は対中国包囲網を完成するために韓国が参加することを望み、韓国政府もこれに同調している。 しかし韓国が一足遅れて加入するためには、既に参加している12か国全体の同意を受けなければならない。 したがってその一つである日本の同意が重要だったが、これまでは慰安婦問題のため困難に陥っていたのだ。 その「障害」が除去された以上、日本の同意下に韓国がTPPに加入することが可能になった。

青瓦台は慰安婦交渉の直後に「国民の皆さんと慰安婦被害者おばあさんが大乗的な次元で今回の合意を理解して」ほしいという対国民メッセージを発表した。 彼らが語る大乗的な次元とはいったい何だろうか? 強制動員に対する当然の被害補償と慰安婦おばあさんの尊厳を、 韓米日軍事同盟の強化、TPPのような経済的中国包囲網の完成と交換したのだ。 このような中国包囲・圧迫戦略は、東北アジアでの軍事的対立と緊張をさらに高めるだろう。

歴史を忘却した者たちの談合は中断されなければならない

現在、韓国をはじめとする世界各地で今回の慰安婦交渉に反対する運動が強まっている。 1月6日に開かれた1212次「慰安婦」問題解決のための定期水曜デモは、 平日昼の時間帯にもかかわらず、1500人が集まった。 また同日、世界13か国41の地域では、同時多発的集会が開催された。 日本でも「被害当事者が除外され、少女像撤去の要求は破廉恥だ」として抗議集会が開かれた。 現在、慰安婦問題解決のための「世界1億人署名運動」が進められており、 市民自らが10億円(100億ウォン)を集める「韓日慰安婦犠牲女性と手をつなぐ運動」が進められている。(挺身隊対策協ホームページで署名運動に参加できる。)

徹底的に反人権的な12・28交渉は、直ちに撤回されなければならない。 今回の交渉は当初、韓国挺身隊問題対策協議会(挺身隊対策協)をはじめとする当事者と市民社会運動が提起してきた要求である 「日本軍慰安婦犯罪認定」、「法的賠償」、「国会決議謝罪」などにはるかに至らないだけでなく、 基本的な民主的原則さえ無視した被害者と国民の期待を徹底的に裏切る外交的な談合に過ぎない。

1991年にキム・ハクスンおばあさんが恐ろしい慰安婦被害証言をした後、 国内の市民社会と国際社会がその痛みに共感して問題解決のための運動を作ったのは、 戦争による人権蹂躙、そして女性に対する暴力が再びあってはならないという歴史の教訓を再確認しようという意味だった。 しかし韓米日3か国の政府は慰安婦問題を軍事同盟のための野合で強制終結させてしまった。 今や、この交渉を無力化させるための国内外の運動を拡散させなければならないだろう。

2016年1月8日
社会進歩連帯

原文(社会進歩連帯サイト)

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2016-01-12 05:11:44 / Last modified on 2016-01-12 05:11:46 Copyright: Default

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