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「利川惨事」から44日…「発注者責任特別法の制定を」

民主党乙支路委員会、建設会社と再発防止討論会

キム・ハンジュ記者 2020.06.12 17:06

労働者38人の命を奪った利川物流倉庫火災惨事が発生してから44日目。 繰り返される建設産業災害に、再発防止対策と制度改善の要求が高まっている。 共に民主党乙支路委員会が6月12日に国会で主催した討論会では、 今回の惨事を契機として工事発注者の責任を強める建設安全特別法を制定すべきという主張が出てきた。 これまで民主労総建設労組は労災発生の根本原因は下請構造にあるとし、 不法下請けの根絶を要求してきた。

[出処:建設労組]

「発注ですべての工事計画を設定…
現行法上、発注段階で安全義務は微弱」

郡山大学校のアン・ホンソプ教授(韓国建設安全学会会長)はこの日の問題提起で 「建設工事の安全確保に重要な役割を果たすべき発注に対する義務が弱く、 建設工事の安全確保のための核心義務である適正工期の設定、 十分な安全費用の反映、安全な施工のための設計と工法選定などの内容が不足している。 また、国家と地方自治体も安全確保の重要な主体だが、 現行法には国家の責務を問う条項が事実上規定されていない」と指摘した。

実際、現行法の建設産業基本法では安全管理に対する発注者、政府の責務は宣言に終わっている。 建設産業基本法第7条2項は 「建設工事発注者は施設が公共の安全と福利に合致して建設されるように、 公正な基準と手続きにより、能力ある建設事業者を選定しなければならず、 建設工事が適正に施工されるように努力しなければならない」と規定するだけだ。 また、現行の建設技術振興法は、 公共工事と少数の危険な工事を対象にするため、 安全に脆弱な民間と中小規模の工事は法の適用も受けられない。 また該当法は生産促進と安全管理の機能が混在するため、 安全管理活動と第三者監視機能に無理がある。

こうした現行法の限界を指摘してアン教授は 「建設工事の安全確保を主な目的としており、 建設工事の参加者と段階を包括して規律する『単一法』の制定が必要だ」とし 「建設安全特別法制定により『結果中心症状対応型接近』から 『発注者の工事条件決定段階中心の根本原因対応型』へと中心を移動しなければならない。 すべての建設事業の生涯周期にわたる参加者の安全責務の分担で、 死角地帯を解消しなければならない」と主張した。

もう一人の発表者、ソウル科学技術大学校のチョン・ジェウク教授も 「利川事故現場で『サンドイッチパネル』を使わずに断熱材を使っていれば、 現場でいちいち溶接せず外部で製作して内部で組み立てていれば、 まったく溶接が不要な設計方法を使っていれば、 このように危険要素を除去した後に作業をしていれば、 事故は起きなかっただろう。 こうした根本的な危険要素を除去できる最高意思決定は発注者が持つ。 施工者は工事費と設計が確定した状態で、方式を変えることができない」と話した。 工事資材、工法などの費用は結局安全に直結するが、 安全費用を確定する発注者が事故でさらに大きな責任を負っているという主張だ。 チョン教授は重大災害が発生した時に参加主体別に分けて、 発注者課徴金を拡大付与する方案も提示した。

[出処:建設労組]

多段階外注化の根絶対策には言及なく…
「『キム・ヨンギュンがないキム・ヨンギュン法』を繰り返すな」

建設現場に蔓延する多段階下請け、「危険の外注化」が労災死亡の根本原因でもある。 工事が下請に降りて行くほど資本の費用削減が発生し、 労働者の安全費用もそれだけ減るためだ。 今回の利川火災惨事も発注社のハンエクスプレス、施工者コンウの下に9つの下請があった。

惨事直後の4月30日、「労災被害家族ネットワーク、二度と」などの社会団体は 「9つの下請企業で如何に多くの日雇い労働者が行き来したのか確認できないほど典型的な多段階構造」とし 「こうした惨事が発生するたびに発注処と施工者は責任を逃れ、 下請企業の末端管理者だけが責任を取ることが多かった。 危険物質を積んでもきちんと安全管理しない現場、 危険な状況で強要される無理な工事、 責任を分散させて危険を下に転嫁する多段階下請構造など、 こうした惨事が繰り返して起きる構造的な原因を把握しなければならない」と主張した。

だがこの日の討論会では建設現場の多段階下請け対策が出てこなかった。 発表者は発注者を含む建設参加主体の責任分担を正確にしようという水準に止まった。 今まで多段階の構造上、発注者、元請の責任が大きくなかったので、 これを特別法の制定で責任を分けようという提言だ。

社会的惨事が発生するたびに何回も法律制定・改定の議論はあった。 泰安火力発電所労災死亡の時も元請責任を強化した「キム・ヨンギュン法」が 昨年1月に公布されたが元下請関係は改善されず、 労災事故も絶えることがない。 利川惨事も同じ構造で、昨日(6月11日)だけでも現代自動車蔚山工場の社内下請労働者が金型に挟まれて死亡した。 民主労総をはじめとする労働運動陣営が元請の責任強化とともに 「危険の外注化廃止」を主張する理由だ。 建設労組も数年間「不法下請け根絶」を主要なスローガンにしてきた。

建設労組のカン・ハンス労働安全保健委員長はこの日の討論会で 「労災の責任で管理、設計、発注者まで話されるのは鼓舞的だと思う」が、 「今は(多段階下請)構造を変える内容が必要だ。 これ以上、労働者に安全の責任を転嫁してはいけない」と話した。

韓国労総のユク・キルス事務局長も 「今の産安法は無用の物だ。 ヨンギュンがないヨンギュン法のような過程を繰り返してはいけない」とし 「企業は決して金より人を重く見ない。 人を金より高くしなければならない。 労災において企業に経済的規制をさらに賦課しなければならない。 政府、与党は建設安全法、重大災害企業処罰法の通過に積極的に動くべきだ」とした。

一方、重大災害企業処罰法も6月11日に発議された中で、 21代国会が労災、災害事故関連法律をどう処理するのかが注目される。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-06-26 08:03:01 / Last modified on 2020-06-26 08:03:04 Copyright: Default

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