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LNJ Logo 韓国:国家人権委員会、非正規法案に意見
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News Item 20050414kir2
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人権委の「意見表明」の意味と影響

労使政対話の過程で労働界に力を貸すことに

労働界‘社会的正当性’を獲得…人権委“非正規職は例外的な雇用形態”

「非正規職は決して雇用の一般原則になってはならない。 非正規職は雇用形態において例外的、制限的に使用されなければならない。 また、非正規職に対する差別が許されてはならない。 これは韓国が加入している経済的・社会的・文化的権利に関する国際人権規約や ILO協約、世界人権宣言などの解釈から明らかだ。 憲法が宣言する平等の原則、勤労の権利も、 こうした原則を後押ししているとわれわれは確信する。」

人権委のチョヨンファン委員長が2年かけて悩み、苦心の末に出した人権委の 「意見」が含む意味と精神だとして発言した内容だ。 人権委は、非正規職問題が、差別、乱用など人権的側面で深刻な事案として、 去る2003年にT/F(タスクフォース)チームを設置し、 本格的に調査及び研究をはじめた。 昨年は、公共部門非正規職の実態の結果を発表し、代案を提示するなど、 一貫した関心を持ってきたのであり、 そのような文脈で政府法案に対する意見まで出すことになったわけだ。

強制力がないとしても、国家機関である人権委員会が政府法案が「不充分」だ として修正を要求しただけに、現在進められている労使政の対話に相当な影響 を及ぼさざるをえない。チョヨンファン委員長は記者会見で、「人権委の意見 表明が国会で進められている労使政の合意過程を促進させる方向に作用するこ とを切実に願う」と話した。

これは、まず労働界に力を貸すことになるものと見られる。人権委の意見が、 労働界の主張と大きな枠組で一致しており、社会的正当性が認められたためだ。 財界と労働部は、労働市場を考慮していない意見とし「法案の修正計画はない」 と反発しているが説得力に欠けると指摘される。非正規法案の出発は、当初、 労働の柔軟性よりも乱用され、差別される非正規労働者の「保護」に焦点が当 てられていた点がこれを後押しする。

これと共に、非正規職問題をめぐり社会的な世論が活性化するものと予想され る。政府内で非正規職という「同じ」事案をおいて「別の」立場を提示する等、 論議の余地が生まれたし、非正規職問題解決法をめぐる人権的側面が浮上した ためだ。これに伴い、4月に処理を控えている非正規法案日程も支障をきたす 可能性が高まったという展望が出ている。

キム・ソヨン記者dandy@labortoday.co.kr

原文


「政府の非正規法案は差別解消に不充分、修正すべき」

国家人権委員会、期間制について 事由制限・同一労働同一賃金明文化を提示

労使政は非正規法案を巡り本格的な対話を始めたが、国家人権委員会(委員長 チョヨンファン)は、政府法案が「非正規職に対する差別を実質的に解消する には不充分」として「修正が必要」という意見を表明、以後どのような影響を 及ぼすのかが関心を集めている。

人権委は、14日の午前に記者会見を開き、政府が国会に提出した「期間制及び 短時間勤労者保護などに関する法律案」と「派遣勤労者保護などに関する改正 法律案」について5か月の間検討した結果、このように意見が集められたと明 らかにした。人権委の立場は去る11日の全員委員会で、委員8人のうち7人(1人 は棄権) が賛成して作られたもので、事実上、労働界の主張と脈が一致してい る。

人権委が発表した意見によれば、期間制労働者の場合、合理的な事由がある場合 に限り、制限的に許可するべきだという事由制限の規定をおくことが必要だとして 乱用防止のために使用期間も一定に制限しなければならないと指摘した。

人権委は事由制限を強調し、ここに期間制限という補完装置を用意しようとい う立場で、これに違反する場合、「期間の定めがない勤労契約を締結したもの」 (正規職)と見なし、保護の実效性を高めなければならないという意見を提示した。 政府の法案は、期間制労働者を3年以上雇用すれば契約満了を理由で解雇できない 期間制限方式だけを取っている。

これと共に、期間制法案に同一価値労働同一賃金の規定を明文化し、賃金面での 差別をなくすべきだという人権委の立場は注目される部分だ。 人権委のチョンガンジャ常任委員は「政府は労働委員会による差別禁止規定を 用意しているが、事例を蓄積するという方式であり、判断基準がない」とし、 「同一価値労働同一賃金の条項は基準の役割をする」と話した。

政府の派遣法改正案に関しても、人権委意見はこれまで労働界が問題と指摘し た事案がそっくり含まれている。まず、派遣業種を全業種に拡大した政府の ネガティブリスト方式に対して、人権委は現行のポジティブリスト方式が 望ましいと明らかにした。

また派遣労働者の使用許容期限(現2年)が過ぎた場合、使用事業主が「直接雇用 したものと見なす」という現行の見なし規定を維持することは妥当だと意見を 出した。政府案は現行の見なし規定を使用者の私的自治侵害などの理由で 雇用義務条項に変更したことがある。

人権委はこの他に、間接雇用形態である派遣労働者も使用事業主を相手とする 団結権と団体交渉権を実質的に行使できるように、使用事業主の事業場 労使協議会に派遣労働者が参加する道を開き、労働三権を保障すべきだという 意見も表明した。

キム・ソヨン記者dandy@labortoday.co.kr

2005-04-14午後5:54:06入力(C)毎日労働ニュース

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与党反発「人権委が扱うことか?」

民労「積極的に歓迎」・…ハンナラ 「一つの基準なる」

国家人権委の意見表明に対して与党は不快感を表し、努めて無視する態度を見 せた反面、民主労働党は積極的に歓迎している。ハンナラ党は法案審議過程で の一つの基準になるという意見を明らかにした。

労使政実務会議を主管してきたヨルリンウリ党のイモクィ議員は14日の午後、 国会で党第5政調委員長の資格で記者会見を開き、「人権委が非正規法案に対して なぜこの時期に意見表明をしたのか、納得しがたく、荒唐無稽だ」と強い不満を 表した。会見の前に李議員はヨルリンウリ党のチョンセギュン院内代表と意見を 調律したものと知らされた。

李議員は会見で「内容が正しいとか間違っているということとは別に、 非正規法案に対する意見表明が人権委の業務領域なのか確実でない」とし 「人権委の意見表明は、国民経済と国家経営に対する無知に始まる」と強く非難した。 李議員は「国家の主要法案に対しては各団体や学界の誰でも立場を明らかに することができ、人権委も多くの意見の一つと見なし、国会は労使政の対話を 中心にわれわれの行く道を行く」と対応方針を明らかにした。

しかし金融労組幹部出身の与党の金英柱議員(比例代表)は「人権委の意見を積 極的に歓迎する」と明らかにした。金議員は「参与政府発足初期に、非正規職 保護を強調して法案制定・改定の議論が始まったが、立法過程で趣旨が色あせた 側面がある」と指摘した。

ハンナラ党環労委幹事のペイルド議員はこの日「人権委意見が適切によく出て きた」とし、「国会の法案審議の過程で一つの参考基準になるだろう」と評価 した。続いてペ議員は「政府機関である人権委と政府与党が異なる声を出した だけに、政府与党自ら人権委の意見を参照して、修正案を出して内部の交通整理 をすべき」とし、「ハンナラ党は政府法案に相変らず反対している」と話した。

民主労働党の段炳浩議員は人権委発表の直後に記者会見を開き、積極的に歓迎 した。段議員は「極めて常識的で穏当な判断であり、民労党が提出した法案の 主要内容と似ている」と期待感を示した。彼は「ただし人権委が派遣制廃止の 意見を出していない点は遺憾」とし、「政府は今回の決定を重く受けとめ、労 使政は人権委の決定を尊重し実質的な非正規縮小と保護方案を合意しなければ ならない」として主張した。

チョサンギ記者westar@labortoday.co.kr

2005-04-14午後5:54:42入力(C)毎日労働ニュース

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労働部「困った…」

「保護80%法案」といっていた労働部主張‘MUSSEK’

政府の非正規職法案に関する国家人権委員会の意見表明に対して労働部は遺憾 を表明する等、困惑している。

現在進められている労使政対話の影響だけでなく、これまで労働部が広報して きた「保護80%法案」は、人権委で「そうではない」と判定されたためだ。労 働部は、労働界、学界などから「法案には問題が多い」と繰り返し主張をして も、「政府の法案は80%が保護に合わされている」と耳を閉じてきた。

だが、国家機関である人権委さえ「政府法案が過半数に達する非正規職の規模 を縮小し、不合理な差別を是正して労働人権を保護するには不充分」という点 を明確にした。2年間、非正規職問題を研究して、5か月間の法案の集中議論、 公聴会を通した多様な意見収斂などを経た人権委の意見であるだけに、説得力 は高い。

これに対して労働部の関係者は「非正規職法案は非正規職勤労者の権利保護と 雇用拡大という2つの目的をもっているが、人権委意見は権利保護だけに焦点 を合せている」とし、「権利保護だけに焦点を合せると、雇用が減らざるをえ ない」という立場を明らかにした。

だが労働部の主張は矛盾していると指摘されている。「保護80%法案」といっ ていた労働部の主張は、つまり非正規法案が「権利保護」に重心がおかれてい たことを見せるものだからだ。

人権委の意見表明にも、労働部は「既に法案を国会に提出した状態なので法案 の修正計画はない」と明らかにし、「労使政が対話を進っている状況で、この ような意見を出したのは、どちらか片方に肩入れする結果を産み、混線をあお る恐れがある」と不満をあらわすこともした。

キム・ソヨン記者dandy@labortoday.co.kr

2005-04-14午後5:54:21入力(C)毎日労働ニュース

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財界反発、「人権委の業務範囲を逸脱」

「企業雇用創出阻害になる」

国家人権委員会の非正規職法案に対する勧告に対し、財界は強く非難した。

韓国経営者総協会は「国家人権委員会の勧告に対して深刻な憂慮を禁じ得ない」 とし、「労働市場、国家経済発展、雇用創出などに対する考察無く、無条件に 差別解消という偏狭な視点から問題を見るべきではない」と明らかにした。

経済人総連は「国家人権委が意見を発表したこと自体が業務範囲を逸脱するもので、 労働市場の問題を人権・政治的問題として扱おうという発想は誤り」とし、 「国家人権委の今回の立場発表は、とにかく差別解消という点に偏っており、 労働界の過度な要求をそのまま受け入れるものでしかない」と非難した。

経済人総連は「非正規職と正規職間の勤労条件格差は、不当な『差別』という よりは、熟練度、忠誠心、年齢、経歴、企業規模の間の差から起因する正当な 『差』が大部分」とし、「国家人権委の勧告通りに法案を修正すると、労働市 場の硬直化が進み、窮極的に失業を量産して企業の雇用創出も阻害する」と 憂慮した。

経済人総連は続いて「非正規職法案に対する労使政の間での真摯な議論が始まっ ている現時点で、国家委員会が一方的に偏向した立場を発表し、労使の葛藤を あおって混線を招き、問題解決を一層難しくしている」と主張した。

イウノ記者bankol@labortoday.co.kr

2005-04-14午後5:54:28入力(C)毎日労働ニュース

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二大労総、人権委非正規法案意見「歓迎」

「政府与党は人権委の勧告案を受け入れろ」

非正規職使用事由制限と同一価値労働同一賃金を骨組みとする非正規法案に関 する国家人権委意見に対して、二大労総は一斉に歓迎の論評を出した。

民主労総は14日に論評で「今回の勧告案が非正規職問題解決に対して核心的で 重要な方向を提示したという点に注目してこれを歓迎する」と明らかにした。

民主労総は「中間搾取と不法派遣を産んでいる派遣制の廃止案を出していない 点や、政府が案を提出していない特殊雇用労働者の労働権保障に対する言及が ないなど、残念な部分がなくはないが、全体的に重要な方向を提示した」とし、 「勧告案は現在、労使政代表者会議で論議されている非正規立法案議論の過程 にも積極的に受容されることを期待する」と明らかにした。

韓国労総も声明を出して「国家人権委の決定を積極的に歓迎する」とし、 「政府与党は国家人権委の政策勧告を全面的に受け入れた法改正に即刻 突入することを要求する」と明らかにした。

韓国労総は「人権委の立場表明は、これまで韓国労総が主張してきた非正規法 案の内容がどれほど細心な研究と実体調査を通し、非正規労働者の現実をよく 反映した案だったのかを如実に見せる」と主張した。特に韓国労総は、「国家 人権委が深思熟考を繰り返した末の大切な決定が、万一与党政府与党によって 黙殺されたり歪曲されれば、決して座視しないことを厳重に警告する」と 強調した。

キムハクテ記者tae@labortoday.co.kr

2005-04-14午後5:54:36入力(C)毎日労働ニュース

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2005-04-15 21:14:50 / Last modified on 2005-09-05 05:15:58 Copyright: Default

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