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「ミャンマーが光州と似ているから」で終わらせず

[メディアタック]やはり言論が問題なのか

クォン・スンテク(言論改革市民連帯) 2021.04.05 08:38

目次

(1) 韓国に響くミャンマー青年の声

(2) 三本指を立てるミャンマーのZ世代

(3) ミャンマー女性が作る民主主義、軍部の居場所はない

(4) 全斗煥からミャンマー軍部まで、独裁と手を握った企業

(5) 「ミャンマーが光州と似ているから」で終わらせず

大学1学の時だった。 桜の花が見事に咲いていた春。 5・18を一か月先に予定していたある日、ある先輩がこんな話をした。 「韓国は5月抗争を知る世代とそうでない世代に分かれる」。 初めはどういうことかと思った。なぜ5・18を知らないのか。 明らかに高等教育の歴史の本に載っている事件なのに…。 もちろん、現代史は教科書の後の部分に配置されていて、 試験範囲ではないため正確に『学んだ』という記憶はないのだが。 その日、教科書に書かれたその文句ではすべて説明することができない5・18について聞いた。 無慈悲な「国家暴力」と多くの光州市民の犠牲、 それを踏み台として根をおろした民主主義。 その後、光州の望月洞を訪問した。 そしてはっきり知った。 先輩が言ったあの言葉の意味を。

5・18光州民衆抗争が起きて、いつしか41年という歳月が流れた。 その間、5・18は映画〈華麗なる休暇〉、〈26年〉、〈タクシー運転手〉をはじめとする テレビ番組や記事で着実に再照明された。 そんな理由で5・18を「光州事態」と呼ぶ人々は「概念ない」という話は聞く。 「光州市民」を「暴徒」と呼んだり、「北朝鮮軍介入説」もとんでもない話だということも分かる。 こうなるまで本当に長い時間がかかった。 そんな光州の姿と、最近ミャンマーで行われている民主化運動が似ているという評価が多い。

ミャンマー民主化デモ者な孤立…議論の道の遮断

ミャンマーで軍事クーデターが発生したというニュースが伝えられたのは、2月1日。 すぐ軍部勢力に反対する平和デモが行われた。 しかし軍部勢力は銃を前に出して制圧した。 独裁に反対するデモ参加者が増えるほど、 そして国際社会の否定的な世論が高まるほど、 軍部勢力の暴力はさらに強化された。 ミャンマーで流血事態という惨劇が起きた過程はこうだった。 大規模デモが開かれる週末が過ぎると「血の日曜日」というニュースが必ず聞こえてくる。 在韓ミャンマー青年連帯は、確認された死亡者だけで196人だと明らかにした(4月4日基準。 ミャンマー市民団体政治家支援連合(AAPP)によれば、 クーデター以後のミャンマー死亡者数は564人にのぼる)。 そしてその数は1日ごとに増えている。

ミャンマー軍部勢力がクーデターとともに言論統制に動いた点は凝視するに値する。 軍部勢力は報道指針を破って「クーデター」という視点で報道した「ミャンマーナウ」と 「7デイニュース」、「ビルマの民主の声(Democratic Voice of Burma/DVB)」、 「ミジャマ」、「キトゥティトゥメディア」の5つのメディアを強制的に閉鎖措置した。 ミャンマーの独立メディアとしてデモ状況を報道していた「イラワディ」はフェイク・ニュースを流して社会不安をあおったという容疑で軍部から告訴された (何となくおなじみの単語に苦笑いする)。 国連人権事務所によれば、最低37人のジャーナリストが逮捕されたともいう。 テイン・ジョー〈AP通信〉記者などの外信記者も例外でない。 軍部勢力はインターネットも部分的に遮断して市民の通信を妨害している。 このようにミャンマーは徹底した統制の中にある。

しかし軍部勢力は国営メディアを通じてクーデターの正当性を説明している。 MRTVは「2021年2月1日に国家非常事態を発表した後、 いくつかの大都市では多くの混乱と平和ではないデモがありました。 デモをしている市民はこれに反対して警官を攻撃しました。 それにより警察4人が怪我をし、保安車両にも被害が発生しました。 警察は市民を保護するために昼夜なく法を遵守しながら仕事を続けています」と宣伝している。 国営新聞も警官の負傷のニュースを中心としてデモ隊の暴力性を強調する。

ミャンマーの「言論統制」、本当に光州に似ている…しかし

こうしたミャンマーの言論統制の状況を見れば、 本当に光州に似ているという気がする。 1980年5月、光州は徹底的に孤立させられていた。 マスコミは「他の地域の不純人物および定着スパイが事態を極限的な状態に誘導するために、 皆さんの地方に潜入し、とんでもない悪性流言飛語の流布と公共施設の破壊放火装備および財産略奪行為等を通じ、 計画的に地域感情を刺激扇動して騒動行為を先導したことに起因したのです」という 当時のイ・ヒソン戒厳司令官の話をそのまま報道した。

5・18光州民衆抗争の当時、放送局がデモ隊のターゲットになった理由はそこにある。 光州市民は空挺部隊の暴力には沈黙して政府の発表だけを一方的に報道した放送局に抗議した。 その過程で光州MBCの建物は全焼し、光州KBSのTV主調整室は火で焼かれた。 このように、韓国のマスコミが自らの役割を放棄した時、 世界に「光州民衆抗争」を知らせた人々は外信記者だった。 代表的な人物が今は私たちにもおなじみのドイツのカメラマン、ユルゲン・ヒンツペーター。 彼は危険を押し切って抜け道を通って光州に潜入し、 自分のカメラに国家暴力の実状を込めた。 「軍隊がデモ隊に行った残忍な行為は私たちが直接目撃した重傷者を見れば推察できます」という それらの映像は現在まで5・18の重要な記録として残っている。

しかし世の中は変わった。 ミャンマー軍部勢力の言論統制は、2021年には効果がない。 ミャンマーの実状はSNSを通じて、そのまま世界に生中継されている。 ミャンマーの軍隊が運営するチャンネルは、 逆にFaceBookとYouTubeなどで遮断されている。 もはや子供だましは通じないということだ。

韓国のマスコミも、いつよりもミャンマー民主化運動に高い関心を見せている。 韓国映像記者協会は4月2日、 「1980年5月の韓国のジャーナリストの無気力と空白を、 外国記者による命がけの激しい取材・報道が埋めたように、 ミャンマーの民主主義抗争に対する積極的に取材と報道を通じて借りを返す」という立場を明らかにした。 鼓舞的な事件に違いない。

またマスコミが問題なのか

ただし、それとともに韓国社会がぜひ考えるべきことがある。 「なぜミャンマーに対してだけ?」という質問だ。 単に「ミャンマーが光州と似ているから」と結論付けてはいけない。 質問は続く。 香港の民主化デモに対する政府とマスコミの温度差はどのように説明が可能なのか。 済州のイエメン難民に対する報道機関と私たちの態度はどうだったのか。

ミャンマーの状況に注目しながら、こうした質問をしている時、 紛争地域専門のキム・ヨンミPDがSNSに書き込んだ文が目に飛び込んだ。 政府が国内に滞留中のミャンマー人に対し、 人道的次元で特別滞留措置を施行するという発表を国民が当然と受け止めるばかりでなく、 税金の浪費という話も出てこないのが不思議に思ったというのだ。 現在、韓国ではミャンマーのデモ隊支援のための募金まで続いている。 彼は「さらに息絶えようとしているイエメンやシリアの人々を滞留延長するといえば大騷ぎになったはずなのに…」と残念さを表わした。

キム・ヨンミPDは 「ミャンマー速報が毎日韓国のマスコミに出てきて、 これほど早く正確に伝えられた現地の状況を、韓国国民が胸痛く思っている」とし、 「やはり情報が多ければ、国民が共感して境遇を理解するので立場が変わるんだ。 結局ジャーナリストの問題だったのか?」と諮問した。 同じ質問を投げたその文がうれしかった。 そしてやむを得ず身を置いているここから出てくる結論もまた同じにならざるをえないと考えた。 「やはり、マスコミが問題だったのか」という。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-04-07 01:11:30 / Last modified on 2021-04-07 01:23:15 Copyright: Default

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