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「笑いが病気を作る」...ドイツ、日本での感情労働は?

[監視統制、崖っぷちの感情労働者](10)感情労働の解決ためには非正規職制限、事業主の制裁が必要

チョン・ウニ記者 2013.11.21 18:51

世論調査機関のC社に就職したカレンK。彼女は毎日、会社に行ってコンピュー タの前に座り、知らない人々に電話をかける。通話が始まるとカレンは優しく 挨拶して意見を聞く。「対話する時は相手方がわかるように笑ってください。 コンピュータに情報を記入する時は、間違えないように正しい姿勢を維持しな ければなりません」。5時間、常に繰り返される日常だ。

電話では、カレンはできるだけ親切に話さなければならない。繰り返される同 じ質問だ。人々はよく面倒くさがって怒ったり、何も言わず電話を切ってしま う。1時間たつと、もう笑うのも大変だ。最後には感情が消える。しかし彼女が そうして電話しなければ、時間当り6ユーロ(約8500ウォン)の賃金は削られる。

11月初めにドイツの左派言論ノイエスドイチェラントは、カレンの話を伝えな がら、ドイツでの感情労働に注目した。

コールセンター、ホットラインで働く多くの人々はカレンと同じ状況だ。腹を 立てた消費者と、長時間待って疲れた人々は電話相談労働者に不快感を浴びせ る。しかし会社は職員がすべての状況に対し、自分の感情を統制しろと話す。 韓国と似た状況だ。

感情労働に対するドイツや日本での制度的な対応は、国内より進んでいると言 われていされたが、実はあまり違わない。「お客様は王様」というフレーズは、 ドイツや日本でも通用するからだ。

ただ、ドイツでは非正規職増加、サービス業拡大、競争強化など、産業条件の 変化によって、感情労働をはじめ心理的な病気に対する社会的関心が高まって いる。感情労働に対する別途の労働政策はないが、一般の労働者に対する労働 保護と労災要件に「心理的負担」を強調し、包括的な対策を用意している。

▲ドイツ統合サービス労組(Verdi)が労働条件改善を要求して、激務に苦しむ感情労働者の日常をパフォーマンスで表現している。[出処:http://www.verdi.de/]

「お客様は王」と命令する企業

ドイツで感情労働に対する社会的関心が高まったのは、実は最近だ。ドイツで は今年の初中盤に心理的負担、ストレス等が労働者の健康に及ぼす影響につい て相次いで発表され、特に5月の初めには10年間での心理的な問題による病暇が 約2倍になったと発表され、感情労働に対する社会的関心の端緒になった。

2001年には3360万人が心理的な問題で病気休暇を取ったが、2010年には5 350万 人で、10年間で6.6%から約13.1%と2倍近く増加した。特に医療サービス、社会 福祉、教育分野労働者、女性と非正規労働者がさらに強い心理的な苦痛を訴え ている。

ドイツの労働政策専門家、ウタ・クレマン左翼党連邦下院議員は、このような 政府の資料を公開してドイツ社会を揺さぶったが、まさにドイツ政府は法的な 措置は必要ないという立場だ。学問的な研究も社会的条件も整っていないと見 ているためだ。

しかし最近、全労働者の心理的な病が社会的問題に浮上し、政府も動き始めた。

ドイツ、労働者の健康に心理的労災を含む

ドイツでの心理的負担への政府の対策は、ヨーロッパがWHO指針を基礎として 1989年6月12日、労働に対する「労働者健康保護と安全改善のための措置遂行」 の指針を導入したことをモデルにする。1946年のWHOの定義によれば、健康は 肉体的、精神的、社会的な健在を包括し、病気からの自由だけを意味するもの ではない。

ドイツはこうしたヨーロッパの指針について1996年8月に労働保護法を改正し、 国内法に適用する。ここでは「心理的負担」という概念は登場しないが全体的 な脈絡と核心的な概念は、心理的負担を包括すると解釈されている。この法は 労働者の健康を保護するために技術、労働組織、労働条件、社会的関係、雇用 環境に対する措置を計画すべきだと叙述する。特に1997年、ドイツ連邦裁判所 の判決は、労働保護に関する健康の概念は、労働者の心理的な健在を含むとし、 心理的な負担に対する保護義務を明確にした。

ドイツ政府は心理的な負担は「人間の外部にあり、彼に心理的に効果を及ぼす と把握される影響の全体」と規定する。時間圧力、労働強度、顧客との困難と 共に感情労働もここに属する。

ドイツ連邦議会、危険評価項目に「心理的負担」を導入

最近の社会的な関心の中で、9月20日、ドイツ連邦議会は「連邦労働災害基金法 改正案」を通過させ、危険評価項目に心理的負担の事項を入れるべきだと規定 した。これは連邦と州の法的な災害保険の共同目標として規定された。危険の 評価は、労災の要件を規定して、今後の災害保険の受給に重要な基準になる。

ドイツ政府がこのように心理的な病気を労災の主要項目で浮上させた理由は、 国家経済への影響が大きいと見たためだ。ドイツ統計庁によれば、業務成果を 阻害して、病気休暇の13%を占め、早期退職の最も頻繁な理由で作用するだけで なく、国家経済的な面で年間290億ユーロが心理的な病気のために消耗している。

そのためにドイツ財界も労働者団体と共に労働者の心理的な安全のための措置 に対処することにした。

9月5日、韓国の雇用労働部に該当するドイツ連邦労働社会省(BMAS)と、ドイツ 使用者連盟(BDA)、そしてドイツ労総(DGB)が共同で「労働の世界での心理的な 健康のための共同宣言」を発表した。彼らは業務による心理的病気は防止され るべきで、労働と健康保護、心理的な病を誘発する危険評価の改善と、利用、 経営上の健康保護に合意した。

しかし実際的な対策は用意されていない。経営界がさらに積極的な措置に対しては 消極的だからだ。

韓国経済人総連に当たるドイツ使用者連盟は、心理的な病気を優先的に業務に 遡及させるのは間違いだという立場だ。労働権の保護はすでに充分で、労働は むしろ心理的な健康に肯定的な効果を持つと見ている。会社員の方が、失業者 より心理的な病気にかかることは少ないと見ているためだ。

感情労働の解決には非正規職の制限、事業主の制裁が必要

しかしドイツ労総はむしろ「反ストレス措置」など、使用者の制裁が必要だと いう立場だ。

ドイツ労総(DGB)は、ストレスから労働者を保護しない使用者に対して制裁措置 を賦課し、雇用でのストレスを減らす「反ストレス措置」、経営、職員協議会 や、職員の決定権増大、労働権と労働法を遵守しない使用者の制裁拡大を要求 している。

しかし心理的な負担、感情労働の問題を窮極的に解決するには、まず労働者の 基本権を守られなければならないという指摘だ。ウタ・クレマン左翼党議員は 基本的に、非正規労働と不安定労働に対する制限、労働条件改善と反ストレス 措置が必要だと提起する。

これ以外にも、ドイツの学界では最近、感情労働が病気を引き起こすと発表し、 今後の政策代案の糸口を生んでいる。

ノイエスドイチェラントによれば、ドイツの学界では、持続的に良い気持ちや 親近感、または自然な感情に反する場合、多くの人々が病気にかかると明らか にした。研究を行ったロストック大学のフリーデマン・ネルディンガー教授は 感情的な不協和音が感情的脱力と燃え尽きを招くと伝える。

これに対して一部では、感情労働が労働者に及ぼす影響のために労働者への 感情調節教育がますます重要になると主張するが、アウグスブルク大学の ダニエラ・ラステッター教授は教育された方法で固有の感情に影響するのは 危険だと警告する。

ラステッター教授は「私が私の心的世界に、持続的に外部の規定を介入させる べきだとすれば(...) いつか私は何が私の実際の感情で、何が操作された感情 なのか、区別できなくなるだろう」と指摘する。全く親切でなくても固有の感情 を維持する方が健康に良いが、企業の要求と衝突する。研究はまた、主体的な 労働者の方が多様な激務でよりよく処理できると提示した。しかしコールセンター や世論調査機関、相談会社では、こうしたケースは稀だ。

日本、感情労働者別に配慮しないが「労働者の精神健康の維持、管理に注目」

レイバーネット日本によれば、感情労働は日本でも社会的問題になっている。 しかし今のところ、日本でも感情労働に限定された別途の公的支援や制度はな い状況だ。

日本における感情労働は、精神的なストレスによる労災認定基準によって、 「業務による心理的負荷」と規定する。また日本では「同一労働・同一賃金」 についての職務分析の文脈で、感情労働を労働の内容として認める。

日本社会で最近、感情労働の問題が増加している事実は統計でよくわかる。

日本厚生労働省の資料によれば、2012年の精神疾患を問題として申請した労災 は1257人に達した。このうち社会福祉および看護師業は111人、医療業87人、 警備業および建物清掃業は74人で、介護人および看護労働を行う人が多数を 占めた。この分野の労働者数や割合を考慮しなければならないが、労災認定件数が 増えたことは事実だ。

日本では例えば、ある労働者が精神障害により自殺した場合、職務内容と病気 の間の因果関係を立証できれば、労災として認められる。日本では、労働者の 精神健康の維持、管理にも注目しており、労働安全衛生法により事業者は事業 場での労働者心健康維持のために、適切かつ効果的な措置を実施するための 「労働者心健康維持増進のための指針書」がある。

この基準によって発病の原因になった作業をしたと認められれば、労災と認定 される。また、そのために労働者が自殺や自害などを起こせば使用者に対して 使用者責任と安全配慮義務など、職場環境を配慮する義務に違反した責任など を問うことができる。

しかし現実的には感情労働だけを問題として労災が認められる場合は殆どない。 現在の労災認定基準では、感情労働のように長期間続く低強度の精神的ストレ スと発病との因果関係を証明するするのはかなり難しいためだ。

日本財界「感情教育強化しよう」...労働界「事業主が被害防止策を出せ」

現在、日本社会では多様な方面でこうした感情労働の問題についての対応策を 提示している。

例えば、企業の健康管理を担当する人々は採用時に感情労働の適応性を考慮し、 感情労働に耐えられる「強い心」を育てる訓練を実施する機会を提供しようと 提案する。

しかし労働界は、これは感情労働による被害を労働者に転嫁する措置だと批判 する。日本の労働運動は、まず感情労働による被害防止を最優先と、事業主が 職場におけるストレスを把握して予防すべきだと反論する。

例えば、日本労働科学研究所慢性疲労研究センターは労働と疲労を管理するシ ステムが感情労働を予防するのに役に立つという。

この企画はニュースミン、ニュースセル、メディア忠清、蔚山ジャーナル、チャムセサン、チャムソリの共同企画です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-23 14:59:13 / Last modified on 2013-11-23 14:59:53 Copyright: Default

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