渡部通信：問題の多い英語スピーキングテスト

渡部通信：明けない夜はない（327 ）＜若者を再び戦場に送るな！（77 )問
題の多い英語スピーキングテスト＞

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都教委包囲首都圏ネットワークでは、今年2月26日、
都教委に対して、「日・君」強制・職階制・業績評価・学力テスト
・英語スピーキングテスト、などに反対する要請行動を行った。
それに対し3月17日付けで回答が来た。しかし私たちは納得せず、
6月4日に質問項目を増やし再質問を出した。
すると6月24日付けで再回答が届いた。
それはこちらの質問にはまともに答えず、彼らの言い分だけを述べたものだった。
そこで私は、「明けない夜はない」（320、7月4日）で次のように書いた。
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都教委は自ら行っていることに対しては、全く反省も無ければ責任も負いません。
その結果、そのしわ寄せは全て現場に丸投げです。
そして、諸問題は解決するどころかますます悪化しつつあるのが現状です。
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8月20日、都議会議事堂第１会議室でスピーキングテストに反対する
「夏の市民集会」が開かれた。（50名以上参加）
そこで、「入試改革を考える会」代表の大内裕和・武蔵大学教授は
＜問題点＞として以下の5点を述べた。

１．試験制度としての問題点
（１）不受験者の仮結果推定の問題点
A君：英語学力検査（80点） テスト受験の結果（Ｂランクで16点） 計96点となる
Ｂ君： 〃 （78点） 〃 不受験だが（仮結果Ａで20点） 計98点となる
しかし、公開質問状（現在まで43弾提出）でこのような例を指摘すると、
都教委は「起こり得ないと限定するものではないと考えます」と、訳の分からない回答だ
った。
また、不受験者の仮結果推定には、「最も適切な方法」と主張するだけ。
しかし、不受験者の人数は公表されない。
（２）グレード（等級）の問題点
100点→80点はＡ，79点→65点はＢ，・・・34点→1点はＥ，0点はＦ。
つまり、33点違っていても「同点」、1点違いでも「4点差」となる。
そして大内さんは、自分たちは「スピーキング能力を伸ばすことに反対しているのではな
く、
入学試験として成り立っていないから反対なのだ」と強調された。

２．試験運営上の問題点 これには以下のように多くの問題があった。
・同一問題なのに受験生を前半と後半に分ける⇒問題・解答漏洩の危険性。
・教室内に多すぎる受験生人数⇒周囲の受験生に解答が聞こえて、解答に影響する。
・試験監督の募集が困難⇒試験当日まで募集を行っているので研修が不十分。
入試に関わる試験監督であることも知らずに行っている者もいる。
・2024年11月実施のテストでは、各教室の監督が記入した「実施報告書」を勝手に改ざん。
・また、タブレット端末の不具合、試験監督によるミスで255人もの再受験者が発生（
2023年の4倍の人数）
つまり、「スピーキングテストを公平・公正に行えるような運営体制にはなっていない」
のである。

３．時間・費用のコストパーフォーマンスの悪さ
・テスト時間はわずか10～15分。なのに12：30集合、13：00テスト開始、15：40解散（計
5時間以上かかる）
受験を控える中３生の11月の貴重な1日が失われる。
・このテストに2024年度は43億円、6年間で210億円の巨額の税金が投じられる。
・実施時期が結果活用としては「遅すぎ」、高校での学習活用としては「早すぎ」
・事業者ブリティッシュ・カウンシルの財政危機（2025年3月17日、産経新聞）
コロナ禍の影響による資金繰りの悪化から約380億円の負債を抱え、
所有する芸術作品を手放すことや、事業縮小の可能性がある。
その財政赤字の補填に使われているのではとの疑いもある。
したがって、「前述の43億円、210億円がどのように使われているか、
適正な価格であるかの精査が必要」とも述べられた。

４．東京都内の区教育委員会、市教育委員会の対応
「東京都の管轄ですから」といって逃げている。
しかし、区や市の中学校3年生の人権が守られる環境で、公平・公正な試験を受ける
権利が脅かされているとすれば、区・市の教育委員会にも責任はあるはずである。
2024年11月のテストでは、トラブルがあった教室で内側からカギをかけられ、
生徒が「軟禁」状態になったり、帰宅が大幅に遅れたにもかかわらず保護者への
連絡がなかった例もあった。

５．ESAT-J（中学校英語スピーキングテスト）住民訴訟（2022年11月21日～）
これは大内さんらが原告となって、
①「公の支配」に属さない教育への公金投入
②個人情報保護法制違反
③日本経済研究所の非弁行為
④入学試験の公平性・公正性に反する 最小経費最大原則違反
をテーマに、小池東京都知事を訴えた裁判である。
次回は、2025年9月18日 弁論準備手続き期日（非公開）で、
原告は、東京都とベネッセ（最初の業者）との契約の詳細をはっきりさせるために、
瀧澤佳宏・東京都教育庁・教育監の証人尋問を要請。
2026年上半期には東京地裁で判決が出る予定、とのことである。

その後、教育関係者や保護者からの意見、集会に参加した都議などの紹介があり、最後に
、
新たな『中学校英語スピーキングテスト（ESAT-J）結果の活用中止に関する請願』
（2025年11月10日必着）の署名活動への協力が呼びかけられた。（添付します）
以上からも明らかなように、
この英語スピーキングテストは、全くお粗末なテストであり、「労多くして益無し」であ
り、
受けさせられる生徒、保護者、中学校の先生方にとっては「百害有って一利無し」なので
ある。

にもかかわらず、都教委は都議会で追及されても「適切に実施された」と繰り返すばかり
であり、
都教委包囲首都圏ネットワークの再質問に対するで再回答（6月24日付け）でも、
以下のように回答するありさまである。
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試験は適切に実施されており、学校における様々な指導と、その学習成果を確認する
スピーキングテストの双方を実施することが生徒の英語力を伸ばすことに
つながります。そのため、引き続きスピーキングテストを実施してまいります。
（所管 グローバル人材育成部国際教育企画課）
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全く話にならない。一事が万事、これが都教委の教育行政の実態なのである。
これでは現場教職員は息もつけない。
そして、こうした都教委の硬直した姿勢が、
不登校の増加・教員の精神疾患の増加・深刻な教員不足などの
状況を招いているのである。

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