

22日投開票された東京都議選で、参政党(神谷宗幣代表=写真左)が初めて3議席を得ました。しかもいずれも高位当選です(世田谷区=2位、練馬区=3位、大田区=4位)。
朝日新聞の世論調査(6月17日付)の政党支持率では、参政党は3%で公明党と同率、共産党(2%)を上回っています。共同通信の世論調査(23日付)でも3・7%で、やはり共産党(3・1%)より上です。
昨年10月の衆院選挙でも同党はけっしてあなどれないと書きましたが(24年10月16日のブログ参照)、その危険性はますます強くなっています。
今回の都議選での伸長も、SNSのアクセス数の伸びが背景にあり(写真右)、「SNS選挙」の広がりが同党を後押ししていることは明らかです。
同党は都議選で「日本人ファースト」のキャッチフレーズを前面に掲げました。今月6日の記者会見で神谷氏は、「外国人の社会保障や教育支援にお金をかけすぎなんじゃないのと不満を持っている国民もたくさんいる」とし、「SNSで一番我々が見かける言葉で、訴えてほしいことだとして選んだ」のが「日本人ファースト」だと説明しました(25日付朝日新聞デジタル)。
まさにトランプ大統領の「アメリカファースト」の二番煎じです。欧州諸国で極右政党が「移民排斥」を掲げて支持を伸ばしていることとも通底し、世界的右傾化の日本版と言えるでしょう。
ただし参政党には、米欧の右翼政治家・政党にはない重要な特徴があります。それは同党が天皇主義を根幹にしていることです。
参政党の綱領は3本柱ですが、第1の柱は、「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」です。また、「5つの約束」の4番目で、「皇室は男系男子で継承を維持」とうたっています(同党HPより)。
今回の都議選結果を受け、秦正樹・大阪経済大学情報社会学部准教授が次のようなエピソードを投稿しています。
「実は,15年ほど前、当時吹田市議だった神谷さんと勉強会で何度かお会いしたことがあります。当時,神谷氏との話の中で記憶に残っているのは,「国民主権をやめて天皇主権とするべきだ」と繰り返し強く主張していたことです。保守系の人たちの集まりの中でもかなり国粋主義的だった,あの神谷さんがこんな話題の人になるとは当時は思ってもみませんでした」(25日付朝日新聞デジタル=抜粋)
「国民主権をやめて天皇主権に」―これが神谷氏・参政党の、綱領に基づく本音・実体です。
それが「日本人ファースト」のキャッチフレーズで表された外国人排斥・排外主義と結びつくことは不思議ではありません。
また、自民党・西田昌司参院議員の「ひめゆり・歴史の書き換え」発言に対しても、神谷氏がいちはやく、「本質的に彼が言っていることは間違っていない」「西田先生だけ戦ってちゃだめ」と同調・擁護した(5月10日、青森県内の街頭演説会=5月13日付琉球新報)ことも、同氏・同党の天皇主義と無関係ではありません。
「天皇主権」をめざすこのような右翼政党が、SNSの力で支持を広げ、地方議会や国会で議席を占めていく。それは日本の右傾化・戦争国家化の象徴的な現象と言えるでしょう。