


トランプ大統領は22日午前(日本時間)、イランを空爆したことを発表しました。まったく一方的な攻撃です。
イスラエルのネタニヤフ首相は、「トランプ大統領は自由世界を力強く導くイスラエルの偉大な友人だ」と絶賛し、一体ぶりを誇示しました。
イラン外務省は「アメリカがイランとの戦争を始めたという事実を忘れてはならない」と強く非難しました。
一方、石破茂首相は22日、記者団から「(アメリカのイラン攻撃を)日本政府として支持するか」と問われ、「これから政府内できちんと議論する。しかるべき時にお答えする」と述べ(写真右)、批判しないばかりか、「支持する」可能性さえあることを示しました。
欧州諸国では、イギリスのスターマー首相がSNSで、「イランによる核兵器の開発は決して許されない。外交的解決に至るよう強く求める」と述べ(22日夜のNHKニュース)、イランに矛先を向けて事実上アメリカを支持しました。ドイツやフランスなどの反応は22日夜現在報じられていません。
アメリカのイラン攻撃は、国連憲章はじめ国際法規に明白に違反する蛮行です。それはロシアのウクライナ軍事侵攻と本質的に変わらない軍事大国の侵略・覇権主義です。
日本を含めG7 (NATO加盟諸国)はこれまでもロシアは非難してもイスラエルは批判しないというダブルスタンダード(二重基準)でしたが、今回のアメリカの蛮行を批判しない、あるいは支持するなら、彼らの言う「法の支配」「平和と安定」なるものがアメリカ中心のNATOの戦略的欺瞞にすぎないことを白日の下にさらけ出すことになります。
トランプは「イランの核開発を阻止する」ことを大義名分にし、G7 諸国もそれに同調しています。それならなぜ、核兵器を保有しているイスラエルを批判し核兵器を放棄させないのでしょうか。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の発表では、今年1月現在、イスラエルは90発の核弾頭を保有しています(17日付京都新聞=共同)。
イランの核開発は許さないがイスラエルの核兵器保有は容認する。これがダブルスタンダードでなくてなんでしょうか。
そしてそもそも、アメリカなどが錦の御旗にしている国連安保理の「核兵器開発禁止」決議とは、アメリカを中心とする核兵器保有国がその独占を維持するための戦略にほかならないことを銘記すべきです。
日本政府がアメリカを批判できないのは、軍事同盟を結んでいる日米安保条約が足かせになっているからです。アメリカのイラン攻撃は安保条約の危険性、その廃棄の必要性を改めて示しています。